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介護保険と医療保険の違いを教えて!訪問看護で優先されるのはどちらの保険?

公的保障の介護保険と医療保険にはどんな違いがあるのでしょうか。また、訪問看護を利用する際、どちらの保険が優先されるのか、併用可能なのか等、自宅での療養・介護を選択した場合に気になることをまとめました。あなたのさまざまな疑問にお答えします。

目次

介護保険と医療保険の基礎知識

介護保険と医療保険、これらはどんなときに頼りになる保険なのでしょうか?基本となる内容を見ていきましょう。

●介護保険とは?
40歳になると誰もが加入する社会保険です。65歳以上は第1号被保険者、40歳~64歳は第2号被保険者として区分されています。

介護保険制度による介護保険サービスを受けたいときは、まず要介護認定を受けます。要介護認定を受けたいときは、市区町村の介護保険を担当する窓口、もしくは、住んでいる地域にある地域包括支援センターに申請します。すると、下記のような手順で要介護認定が行われます。

○要介護認定の手順
1)要介護認定を申請する
2)認定調査を受ける
3)主治医意見書を作成してもらう
4)審査判定
5)認定結果の通知


認定調査は、市区町村の職員が自宅を訪問して行われます。主治医の意見書はかかりつけ医に作成してもらいますが、かかりつけの病院がない場合は紹介してもらえるので心配はいりません。

要介護認定の一連の作業が終了後、30日以内に認定された要介護度の通知が来ます。

要介護認定は、日常生活に支障がある程度の人は「要支援1、2」、常に介護が必要な人は「要介護1~5」の7段階に区分されます。

認定が出た後、担当するケアマネージャーがケアプランを作成してくれます。こうして、介護保険サービスが利用できるようになるのです。

介護保険に加入すると、介護保険サービスの利用料が自己負担割合だけで済むようになります。

自己負担割合は所得に応じて1割、2割、3割の3段階に分かれます。つまり、実際にかかった介護保険サービス料の9割、8割、7割は、介護保険から給付される仕組みなのです。

具体的な自己負担割合は下記の通りです。


ただし、介護保険サービスは1ヶ月ごとに支給限度基準額が設定されており、その限度額を超した分は全額自己負担となるので注意が必要です。


●医療保険とは?
日本は「国民皆保険」です。すべての人が公的な医療保険に加入することで、いつでも治療を受けられ、私たちは安全でかつ安心な暮らしが保障されているのです。

さらに、医療機関にかかったとき、健康保険証を提示すれば、私たちは医療費を自己負担割合に相当する分のみの支払いで済むようになっています。これは助かりますね。

医療保険での自己負担割合は下記の通りです。


このように、6歳未満の子どもは8割、70歳未満の人は7割、70歳以上の人は8割・9割、所得の多い人は7割が、加入する健康保険から給付される仕組みです。

ただし、加入する健康保険は、職業によって異なります。その分類は下記の通りです。

・サラリーマンなど、会社が所属する健康保険組合に加入している人
⇒加入する組合の「健康保険」

・協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入している人
⇒協会の「健康保険」

・公務員など共済組合に加入している人
⇒共済組合の「健康保険」

・船員として船舶の所有者に雇われている人
⇒「船員保険」

・自営業者やフリーランスなど、上記の組合や協会に加入していない人
⇒「国民健康保険」

・75歳以上の人
⇒「後期高齢者医療制度」

このように、誰もが何かしらの医療保険に加入することになっています。

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介護保険と医療保険の違い

要介護認定を受けた人が利用する介護保険と、病気やケガのときに利用する医療保険。この2つの公的な保険にはどのような違いがあるのでしょうか?3つのポイントから比較してみましょう。


1)利用できる条件が違う
介護保険と医療保険は、利用できる人の条件が異なります。

介護保険の場合は、40歳以上の人が加入します。そして、65歳以上の人は要介護認定を受けた人が、40歳から64歳の人は厚生労働省が定めた16種類の特定疾病(※)にかかり、要介護認定を受けた人が利用できるようになります。
(※)参考:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

医療保険の場合、日本国民が全員、公的医療保険に加入します。そして、医療保険に加入した40歳未満の人とその家族、40歳~64歳の人で特定疾病にかかっていない人、65歳以上でまだ要介護認定を受けていない人が利用することができます。

介護保険とは違い、誰もが利用できる医療保険は、私たちの暮らしにより密着した保険であるといえるでしょう。


2)受けられるサービスが違う
介護保険と医療保険では、受けられるサービスが異なります。では、どのようなサービスが利用できるのでしょうか?

・介護保険で利用できるサービス
介護保険では、要支援か要介護のどちらに認定されたかで、利用できるサービスが異なります。では、どのようなサービスが利用できるのか、それぞれの場合を見てみましょう。

○要支援認定で利用できるもの
【訪問型】
介護予防・生活支援サービス事業の訪問型サービス(ホームヘルプサービス)、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導

【通所型】
介護予防・生活支援サービス事業の通所型サービス(デイサービス)、介護予防通所リハビリテーション(デイケア)

【短期入所】
介護予防短期入所生活介護(福祉系ショートステイ)、介護予防短期入所療養介護(医療系ショートステイ)

【在宅に近い生活ができるサービス】
介護予防特定施設入居者生活介護

【在宅生活者向け】
介護予防福祉用具貸与、介護予防福祉用具購入費の支給、介護予防住宅改修費の支給

【地域密着型介護予防サービス】
介護予防認知症対応型通所介護(デイサービス)、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)

○要介護認定で利用できるもの
【訪問型】
訪問介護(ホームヘルプサービス)、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導

【通所型】
通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)

【短期入所】
短期入所生活介護(福祉系ショートステイ)、短期入所療養介護(医療系ショートステイ)

【在宅に近い生活ができるサービス】
特定施設入居者生活介護

【在宅介護者向け】
福祉用具貸与、福祉用具購入費の支給、住宅改修費の支給

【施設入所】
介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院

【地域密着型サービス】
定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護(デイサービス)、認知症対応型通所介護(デイサービス)、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護 (認知症高齢者グループホーム)、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 (小規模特別養護老人ホーム)、看護小規模多機能型居宅介護

・医療保険で利用できるサービス
病気やケガなどによる診察や治療、薬の処方、入院、手術など、医療機関でのサービスを受けられます。

また、医療保険は加入者本人だけでなく、加入者に扶養されている家族も同様に医療サービスを受けることができます。

利用する際は、病院等の窓口で健康保険証(被保険者証)を提示しましょう。保険証を提示すれば自己負担分の支払いで済みます。


3)支給限度基準額が違う
介護保険と医療保険の違いで最も顕著なのが、支給限度基準額(利用限度額)があるかどうかという点です。介護保険は利用限度額が設定されていますが、医療保険には限度額がありません。

・介護保険の支給限度基準額
介護保険では、利用者が介護保険サービスを利用した際、かかった費用の7割~9割(所得に応じて割合が異なる)が支給されます。そのため、利用者は自分の自己負担割合(1割~3割)に相当する額のみ負担すればよいわけです。

しかし、介護保険から支給される額には支給限度基準額(利用限度額)が設定されています。支給限度基準額と自己負担額は下記の通りです。


2割負担、3割負担になると結構な金額となっていますね。

しかし、支給限度基準額の範囲内であれば、1ヶ月分の介護保険サービスの利用料が高額になっても心配はいりません。なぜなら、「高額介護サービス費」という助成制度があるからです。

1ヶ月間に介護保険サービス料として支払った合計額が高額介護サービス費の自己負担上限額を超えた場合、申請すればその超えた分が後から払い戻されます。

ただ、支給限度基準額を超えて全額自己負担になった分については、高額介護サービス費の支給はないので注意しましょう。

ちなみに、住民税課税世帯と現役並み所得者のいる世帯の場合では、1ヶ月あたりの自己負担上限額は4万4,400円となっています。住民税非課税世帯の場合は2万4,600円です。

・医療保険には支給限度額がない
介護保険とは異なり、医療保険から支給される額に限度額はありません。1ヶ月間で医療サービスをどれだけ利用したとしても、私たちは自己負担分のみで済むのです。

とはいえ、医療保険でも高額な医療サービスを受ければ、自己負担分も増えてしまいます。そんなときは、「高額療養費制度」を利用しましょう。

これは、毎月1日から末日までの間に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、申請すれば超えた分が後から払い戻される制度です。自己負担限度額は所得に応じて設定されています。

病院などではいったん窓口で自己負担分をすべて支払う必要がありますが、事前に限度額適用認定証を入手しておけば、窓口では自己負担限度額までの支払いで済むようになるので活用するとよいでしょう。

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訪問看護など自宅で受けるサービスで優先される保険は?

介護保険、医療保険、いずれの場合も、病院や施設で過ごすのではなく、自宅で受けられるサービスがあります。自宅で受けられる介護・医療関連のサービスを5つみていきます。

◇訪問看護
訪問看護は、地域にある訪問看護ステーションから看護師やリハビリのための理学療法士などが利用者の自宅を訪問して医療的ケアをしてくれるサービスです。

介護保険の対象となるものと、医療保険の対象となるものがあります。詳細は後述しますが、利用するときは、適用されるのが介護保険と医療保険のどちらを使うかによって、1回の利用時間や1ヶ月の利用回数に制限があります。
※利用できる保険:介護保険、医療保険


◇訪問介護
訪問介護はホームヘルプサービスともいい、ホームヘルパーが利用者の自宅に来てくれて、食事や排泄などの日常生活での介護を行ってくれるサービスです。

場合によっては、買い物への付き添いや洗濯などの生活援助も行います。訪問看護とは違い、訪問介護は医療行為を認められていませんが、一定の要件を満たしたヘルパーであれば、痰の吸引や経管栄養の処置を頼むことも可能です。 ※利用できる保険:介護保険


◇訪問診療
訪問診療は、通院できない人のために、医師が利用者の自宅を訪問して診療や治療、薬の処方、療養相談、健康相談などを行ってくれる医療サービスです。診療計画に基づいて、定期的に訪問、診療してくれます。
※利用できる保険:医療保険


◇往診
往診は、訪問診療と同様に、医師が自宅に来てくれて診察や診療、治療を行う医療サービスです。訪問診療と異なるのは、定期的な訪問ではなく、患者から依頼のあったときに都度訪問する点です。
※利用できる保険:医療保険


◇居宅療養管理指導
居宅療養管理指導とは、医師や看護師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などの専門家が利用者の自宅に来てくれて、健康管理の指導やアドバイスを行ってくれる医療サービスです。

ただ、医師や歯科医師は家に来てくれても治療は行わないため、介護保険が適用されるサービスになっています。 ※利用できる保険:介護保険

●サービスを受ける際に優先される保険は?
訪問看護、訪問介護、訪問診療、往診、居宅療養管理指導。これら5つは、利用者が自宅で受けられるサービスです。

なかでも、訪問介護、居宅療養管理指導は介護サービスなので、介護保険が適用されるものです。また、訪問診療、往診は医療サービスなので、医療保険が適用されます。

訪問看護だけは、介護保険・医療保険のどちらでも利用できるサービスです。

もし、利用者が介護保険、医療保険の両方に加入していた場合、どちらの保険が優先されるのでしょうか?

この場合、原則として利用者が要介護認定を受けていれば、介護保険が優先されます。介護保険に加入していても、まだ要介護認定を受けていなければ、医療保険が優先されます。

つまり、要介護認定を受けているかどうかで、介護保険と医療保険のどちらが優先されるかが決まるのです。

例外もあります。厚生労働省が定める特掲診療料の施設基準等別表第7号に掲げる疾病等者と、急性増悪等で特別訪問看護指示書が出ている人は、要介護認定を受けていても、医療保険が優先されます。

介護保険と医療保険は併用できるの?

原則的に、介護保険と医療保険は併用できない決まりになっています。その例として高齢者がよく利用するリハビリで見てみましょう。

医療保険のリハビリは病気を治療するためのもので、介護保険のリハビリはその人にとって必要であれば受けられるという特徴があります。ただ、これまで医療保険でリハビリを受けていた人が要介護認定を受けたときは、介護保険でのリハビリに変わってしまいます。

しかし、例外として介護保険と医療保険を併用できるケースもあります。それは、介護保険のリハビリを受けている人が、別の病気になり新たに医療保険でのリハビリが必要になった場合です。

例外はもう1つあります。それは、厚生労働省が定める特掲診療料の施設基準等別表第7号に掲げる疾病等者(末期がん、多発性硬化症、重症筋無力症などの定められた19種類の疾病)に該当する人、または、急性増悪(※)等で治療を要する人は、医療保険を利用することができるのです。
(※)急性増悪とは呼吸器疾患が急激に悪化すること。

つまり、命をつなぐために病気の治療が必要な重症度の高い人は、介護保険と医療保険の併用ができるということです。

介護保険と医療保険について、主な内容と違いについてはおわかりいただけましたか?

要介護認定を受けたら介護保険が優先されること。さらには介護保険と医療保険の併用は原則的にはできないが、例外があることも解説しました。もし、家族に介護が必要になったときは、役所の介護保険を担当する窓口か、地域包括支援センターに相談してください。

また、介護費用の負担などお金に関するお悩みはファイナンシャル・プランナーに相談するのもおすすめです。

※本ページに記載されている情報は2020年7月7日時点のものです

【参考文献】
厚生労働省資料「平成30年8月から現役並みの所得のある方は、介護サービスを利用した時の負担割合が 3割になります」
https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf
厚生労働省「我が国の医療保険について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html
東京都世田谷区「支給限度基準額」
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/001/001/002/d00014864.html
我が国の医療保険について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html ほか

前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)

ファイナンシャル・プランナー (CFP(R)認定者)、ライター、整理収納アドバイザー

2006年よりライターとしてメルマガやWebコラムなどを執筆。自分の専門分野を持とうとファイナンシャル・プランナーの資格を取得。お金とモノの持ち方にはつながりがあることに気づき、整理収納アドバイザー1級を取得。お金だけでなく暮らし全体の整え方を伝授するべく活動中。お金や暮らしの整理、家計見直し、ライフプランのほか、自らの経験から遠距離介護の相談も行う。