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国民健康保険料(税)の減額、免除の申請・新型コロナウイルス対応について

国民健康保険料(税)が、収入状況の減少率によっては、減免、猶予される制度が始まっています。コロナウイルス感染症の緊急経済対策としての制度と、失業や自己都合退職等による減免制度について、必要書類、申請方法など確認しておきましょう。

目次

新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した世帯が対象

新型コロナウイルス感染症により経済活動がストップし、収入が激減した自営業、フリーランス、短時間労働などで生計を立てている人は少なくないと思います。国民健康保険に加入している人の、健康保険料(税)について、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した場合の減免制度を、まず確認します。

国民健康保険料(税)は市区町村により金額が違います。ただ、国は上限額を決めていて、基礎課税額63万円、後期高齢者支援金等課税額19万円、介護納付金課税額17万円を上限としています。合計すると99万円となりますので、所得水準によっては、大きな負担となっています。

・収入が3割以上減少すると、減額や免除の可能性
対象となる世帯は、

1.新型コロナウイルス感染症により、主たる生計維持者が死亡し、または重篤な傷病を負った世帯

2.新型コロナウイルス感染症の影響により、主たる生計維持者の事業収入等(事業収入・給与収入・不動産収入・山林収入)の減少が見込まれ、次の要件のすべてに該当する世帯

となっています。1.に該当する世帯は全額免除となります。

2.の収入減少世帯の「次の要件のすべてに該当する世帯」とは、

・主たる生計維持者の事業収入等のいずれかの減少額が前年の当該事業収入等の額の30%以上であること。
・主たる生計維持者の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること。
・減少することが見込まれる主たる生計維持者の事業収入等に係る所得以外の前年の所得の合計が400万円以下であること。

となっています。

・収入の3割減少の確認
収入が減った割合をどのように判断するのか気になる人も多いと思います。厚生労働省は、「見込み」で判断して良いとしています。

申請までの一定の期間の帳簿や給与明細などを提出し、年間を通じた収入の見通しを立てるなど、一定の合理性を担保しつつ判断することが考えられるとしています。

また、既に持続化給付金を受けている人も少なくないと思いますが、国や、都道府県から支給される各種給付金(特別定額給付金や持続化給付金等)については計算に入れなくて良いとしています。

減少する金額から、保険金や損害賠償等で補填される金額を控除する必要はありますが、持続化給付金について考えなくて良いのはありがたいですね。

・減免される金額
前述したとおり、1.生計維持者が死亡、または重篤な傷病を負った場合は、全額免除になります。2.収入が3割以上減額した場合の減免の割合は下の表の様になります。

ただし、事業等の廃止や失業の場合には、前年の合計所得金額にかかわらず、対象保険料(税)額の全部を免除するとしています。

一方、後述する従来からの減免制度である非自発的失業者にあたる場合は、従来の制度を優先させることになっています。

・国民健康保険組合に加入している組合員の場合
同種の事業・業務の従業員を組合員として組織されている国民健康保険組合の場合は、一般の国民健康保険加入者と、減免される免除割合が異なります。

組合の中には、規約により、前年所得金額等によらずに定額の保険料を設定している場合も多く、市区町村の国民健康保険のように前年所得金額に応じた割合により保険料の減免を行うのではなく、より簡素な仕組みとして、減少率に応じた保険料の減免を行うことになっています。

組合員の事業収入等の減少率(組合員の事業収入等の減少額の、前年の当該事業収入等に対する割合)に応じた次の表の各区分による減額又は免除の割合は以下のとおりです。

・減免の対象となる保険料(税)額
それでは、対象となる保険料(税)について、確認しておきましょう。2020年2月1日から、2021年3月31日までに納期限が設定されている保険料(普通徴収)としています。

年金から差し引く、特別徴収されている場合は、支払日がこの期間分となります。

世帯の中で複数の所得がある場合には、すべての前年の所得の合計金額に対し、減少見込みの収入による前年の所得額の割合を計算し、世帯の保険料を案分することになります。

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立川市のホームページに、減免額の計算例が出ていましたので、参考にしてください。世帯全体の所得に対して、主たる生計維持者の所得割合を計算し、世帯の年間保険料にかけ、減免対象保険料額を計算しています。

この例では、世帯の前年の合計所得金額が300万円以下なので、その100%が減免対象となります。世帯の年間保険料額42万5,800円から減免額29万5,140円を引き、13万600円を払うことになります。

・収入が2割以上の減少だと支払猶予できる?
厚生労働省からの2020年3月10日の事務連絡によると、行政の判断で保険料(税)の徴収猶予を行うことが可能とされていますが、判断は各市区町村にゆだねられています。

特に、国民健康保険として徴収している市区町村は、独自の基準で猶予するかどうかを判断することになると考えられます。

一方、2020年4月30日、地方税法等の一部を改正する法律(令和2年(2020年)法律第26号)が公布されたことにより、国民健康保険として徴収している市区町村は、2割以上収入が減少している期間が1か月以上あり、かつ納付が困難と認められた場合、無担保かつ延滞金なしで1年間、徴収を猶予する可能性が高いと考えられます。

収入が1か月だけでも2割以上減少した月があれば、市税として払っている当面の資金繰りが心配な人にとって役に立つ可能性はありますが、保険料として払っている人は、猶予はしてもらえないかもしれません。

あくまでも猶予してもらっても支払いはしなければなりませんが、各市区町村で確認してみるとよいでしょう。

減免を受けるための必要書類、申請方法

改めて、国民健康保険料の新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策としての減免を受けるための、必要書類、申請方法について確認しておきましょう。

・必要書類の例
A.死亡し、または重篤な傷病を負った世帯の必要書類
・医師の診断書(新型コロナウイルス感染症により、死亡または1か月以上の治療を有する傷病であることなどが確認できるもの)

B.収入等の減少が見込まれる場合の必要書類
・主たる生計維持者の2020年1月から申請する月までの収入がわかるもの、事業帳簿や給与明細書など
・世帯全員の昨年の収入、所得が分かるもの(確定申告した人は、2019年分確定申告書の控えの写し、確定申告書に収入金額の記載がない場合は収支内訳書または青色申告決算書の写し)

C.世帯の主たる生計維持者の事業等の廃止や失業の場合
・原因が新型コロナウイルスの影響と分かるもの(休業届、廃業届、解雇通知書、雇用保険受給資格者証等の写し)

A.B.C.共通の書類

・国民健康保険料(税)減免申請書
・市区町村によって、申請者の本人確認書類、独自の確認書、国民健康保険証の写しなど

市区町村により対応が違いますので、必ず該当のホームページ、電話などで事前に確認しましょう。

・手続
市区町村により、対応に差はありますが、必要書類については、電話で申請し郵送もしくはホームページからダウンロードし、必要事項を記入の上、添付書類とあわせて、任意の封筒で郵送としているところが多いようです。今のところオンラインでの申請を受けているところは見あたりません。

申請して減免が決定された場合は、減免後の納入通知書が届きます(おおむね2か月ほどかかるようです)。
減免できなかった場合は不承認決定通知が届きます。

基本、子どもを除き、世帯全員が住民税の申告をしていることが前提となります。事前に確認するようにしましょう。

コロナウイルスと関係なく国民健康保険料(税)が軽減されるケース

コロナウイルスの影響とは関係なく、国民健康保険料(税)の軽減を受けられる制度もあります。倒産や解雇など一定の理由により失業した人や、所得水準により国の法律に従い減免できる場合があります。

また、条例により、子育て世代への減免のある市区町村もありますし、所得が低く、保険料(税)の支払いが困難な場合など減免が認められることもあります。

・倒産や解雇など一定の理由により失業した人の場合
(国民健康保険法施行令による制度・非自発的失業者への減免)

2010年から、国民健康保険料(税)の軽減措置は、倒産や解雇などによる離職(特定受給資格者)や、雇い止めなどにより離職(特定理由離職者)した人も受けることができます。

具体的には、雇用保険(基本手当)の受給手続後、住居所を管轄するハローワークから交付する雇用保険受給資格者証の12欄「離職理由」が、11,12,21,22,23,31,32,33,34と記載がある人が対象です。

軽減額としては、前年中の給与所得を100分の30とみなして所得割額を算出します。東京都立川市の2020年度の所得割料率でみると、医療給付費分6.58%、後期高齢者支援金分2.24%、介護納付金分1.69%となっており、合計すると10.51%にもなりますので、少なくない減額になります。

基本的な考え方としては、在職中と同程度の保険料負担で、医療保険に加入することができるよう設計された法律です。在職中の健康保険料の事業主負担分を考えると、任意継続被保険者として2年加入するよりも有利なケースも多いので、しっかり比較して検討したいところとなります。

軽減対象となる期間は、離職日の翌日の属する月から、離職日の翌日の属する年度の翌年度末までの期間となります。例えば2020年5月に離職した人は、2022年3月までの保険料(税)負担の軽減を受けることができます。

・一定の所得水準の世帯に保険料(税)の軽減
(国民健康保険法施行令による制度、ただし減額割合は市区町村の事情により変えられる)

世帯主と国保加入者の前年の総所得金額等の合計(軽減判定所得)が、以下の基準を超えない場合、保険料の均等割額が軽減されます。

前年所得に応じて自動的に軽減を行う市区町村については申請不要となります。ただし、世帯全員の所得合算になりますので、軽減を受けたい場合、所得がなくても、住民税の申告をするようにしましょう。

具体的な所得水準と、均等割額の軽減率については、一例として、こちらの表も参考にしてください。

世帯の中に、前年は給与所得があり会社の健康保険制度に入っていた人で、失業などで国民健康保険に加入した人がいる場合などは、注意が必要になります。世帯が同一であれば合算されますので、急に判定所得が上がり、保険料が高くなることが考えられます。

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所得水準によっては、保険料が生活の重荷になるケースもあると思います。同じ住所に住んでいても、別世帯と認められることもありますので、市区町村と相談するのも一つの方法です。

・後期高齢者医療制度の創設に伴い始まった制度
75歳になったことで後期高齢者医療制度に移行した人と同じ世帯の75歳未満の国民健康保険について、これまでと同様の軽減措置が受けられるよう、移行した人の所得や人数も含めて軽減の判定を行います。確認してください。

市区町村独自の基準により、保険料(税)の減免、猶予が認められる


国民健康保険法は、「特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。」と定めています。

市区町村の国民健康保険料のホームページなどで確認し、具体的に相談すると良いと思います。
ここでいくつか例を見てみましょう。

・東京都武蔵野市の子育て世帯向け減免
2020年度から武蔵野市独自の減免制度が始まっています。原則、手続きは不要で、各世帯の減免対象世帯を市が決定し、7月初旬に送付予定の納税通知書に減免の決定通知書が同封されます。

対象者は、子が2人以上いる前年の世帯所得が400万円以下の世帯です。軽減額は、2人目の子の均等割額の半額、3人目以降の子の均等割額の全額となります。

・経済状況による、申請による減額と免除の規定
国分寺市のホームページでは以下の様な場合、国民健康保険税が減免を受けられる場合があるとしています。

1.災害(震災、火災、水害など)で、その資産に重大な損害を受けた場合
2.納税義務者の死亡または障がいで、収入が皆無または著しく減少して生活困窮となった場合
3.納税義務者の失職または廃業で、収入が皆無または著しく減少して生活困窮となった場合
4.納税義務者・扶養家族の疾病・負傷で、収入の減少・医療費負担の増加があった場合

収入額を確認できる資料と、資産状況を確認するための金融機関預金通帳、印かんを持参のうえ、保険年金課窓口で申請してください。生活保護法による保護の基準の1.5 倍未満であることをもって減免の可否を決定するとしています。

市区町村ごとに独自の条例などがあるので、家庭の事情や収入と資産状況などと合わせて検討し減免を受けられる場合や、支払いを猶予されることもあるようです。

・注意しておきたいこと
例えば、従業員500人以下の会社で働くパート主婦の場合、年収130万円を超えると夫の社会保険の扶養から外れます。自分で国民健康保険と国民年金に加入して、それぞれ保険料を払うことになります。

また、国民健康保険に加入している人が、株式などの譲渡所得や配当を確定申告すると、保険料(税)の計算上、金額が上がる要因になる場合があります。

住民税の課税方式として申告不要制度を選択することにより防げますが、よく制度を確認しておきましょう。

ここまで、国民健康保険の減免について見てきました。また、国民健康保険の制度では、今回の新型コロナウイルスの例外的な対応を除き、厚生年金にある傷病手当金は基本支払われません。

厚生年金保険加入者と比べ、病気になった時などにカバーできる公的保障は薄くなりますので、民間の保険制度でカバーする必要性を検討しましょう。また、既に加入している保険を見直し、支出のスリム化をはかることも一つの方法ですので、ファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。

※本ページに記載されている情報は2020年7月9日時点のものです

【参考文献】
新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援に関するQ&Aについて(厚生労働省保険局国民健康保険課)
https://www.mhlw.go.jp/content/000631881.pdf

倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004o7v-img/2r98520000004oa7.pdf

武蔵野市HP国民健康保険税について
http://www.city.musashino.lg.jp/kurashi_guide/kokuho_nenkin/kokuminkenkouhoken/1004710.html

Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html

向藤原 寛(むこうふじわら ひろし)

ファイナンシャルプランナー CFP(R) 証券会社にて25年間証券業務に従事。資産形成、管理、承継に強いFPとして、お客様のライフプランを中心に有料相談。証券業務、保険募集業務の実務経験を活かし、最適な金融商品選択をすることもサポートする。お客様が望むライフプランの実現を最大限に支援することを目的に活動。FP相談ねっと認定FP、相続アドバイザー協議会上級アドバイザー、資産形成・承継研究会代表。