国民年金を払わないとどうなる?払えない時の免除・猶予制度とは | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

国民年金を払わないとどうなる?払えない時の免除・猶予制度とは

年金の保険料が高い、払っても将来もらえないのでは?と感じたとき、もしも払わないとどうなるのでしょうか?国民年金の保険料を払わないと老後の年金がどうなるか、払えない時に利用できる年金保険料の免除や猶予制度について、FPが解説します。

目次

公的年金のしくみ

公的年金制度は、おもに老後の生活に備えて現役時代に加入して保険料を積み立て、老後を迎えたときに年金を受給するしくみです。日本では、国内に居住している20歳以上の人がすべて加入することになっています。
公的年金にはおもに「国民年金」のほかに「厚生年金」があり、2階建ての構造になっています。1階部分は「国民年金」、2階部分は会社員や公務員が加入する「厚生年金」で、それぞれ老後の資金を準備する公的な制度です。

●1階部分の「国民年金」は、20歳以上の人が加入する
国民年金は日本の公的年金の基礎部分にあたります。
20歳以上60歳未満の人が保険料を支払い、65歳以降になると老齢基礎年金として一生涯にわたって受け取ります。保険料は毎年度定められており、2019年度は月額16,140円、2020年度は月額16,540円の予定です。60歳までの間に国民年金に加入していた期間や納めた保険料の総額に応じて、65歳から受け取る年金額が決まります。20歳から60歳の40年間にわたってすべての保険料を納めた場合は満額の年金額を受け取ることができます。2019年度の年金額は満額で780,100円です
国民年金に加入する人は、働き方などに応じて3種類の区分があります。自営業や農業に従事している人、学生や無職の人は「第1号被保険者」と呼ばれ、保険料を自分で納めます。会社員・公務員の人は「厚生年金」に加入しますが、自動的に国民年金にも加入し「第2号被保険者」と呼ばれます。第2号被保険者の保険料は、勤務先と本人が半分ずつ負担し、本人分は給与天引きで納めます。会社員・公務員の配偶者で年収が130万円未満の人は「第3号被保険者」と呼ばれます。おもに専業主婦やパート収入が130万円未満の人があたります。第3号被保険者の人は自分で国民年金の保険料を納める必要はないことになっています。

●2階部分の「厚生年金」は、会社員・公務員が加入する
会社勤めの人は、国民年金の第2号被保険者であると同時に、2階部分の厚生年金に加入します。厚生年金の保険料は給与天引きされますが、ここに国民年金の保険料分が含まれています。
厚生年金の保険料は給与や賞与などの金額に応じて決まります。残業代などの影響で会社から受け取る報酬は月により変動がありますが、おおよその平均的な1カ月のお給料(正確には標準報酬月額といいます)の18.3%が、厚生年金の保険料です。このうち半分が個人負担として給与天引きされ、もう半分は勤務先が負担します。例えば標準報酬月額が30万円であれば、うち9.15%分の27,450円が天引きされますが、同じ金額を勤務先も負担していますので、合計で54,900円の保険料を納付していることになります。
厚生年金に加入した人も、加入期間や納めた保険料に応じて、老後に受け取る年金額が決まります。つまり年収の高い人ほど納めた保険料が高く、受け取る年金も多くなります。
厚生年金を受給し始める年齢は性別、生まれた年によって異なりますが、男性は1961年4月2日以後、女性は1966年4月2日以後に生まれた人は65歳から、国民年金部分の老齢基礎年金と一緒に受け取り始めます。2017年度末現在では、厚生年金保険の年金を受け取った人の平均額は月に144,903円(国民年金部分を含む)だったそうです。年間にすると約178万円になります。

[図表1]

年金保険料を払っていないと将来の年金はどうなる?

しかし、毎月欠かさずに公的年金の保険料を納めるのは、家計にとって必ずしも楽なことではないでしょう。厚生年金に加入している人は給与天引きされるため、保険料を納めないわけにはほとんどいかないでしょうが、特に国民年金に加入している人は納めるのが正直きついと感じることがあるのではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、2018年度の国民年金の納付率は68.1%です。近年上昇傾向にあり、7割近くの人は国民年金の保険料を納めていますが、約3割は未納のようです

[図表2]
国民年金 保険料の納付率の推移

●未納の場合は知らせが届く
国民年金の保険料を納付していなければ、日本年金機構から「国民年金未納保険料納付推奨通知書(催告書)」というお知らせが届きます。通知書には、年金の加入状況や直近の保険料の納付状況のほか、いつの分の保険料が未納であるか、未納金額が記載されています
国民年金の保険料の納付期限は納付対象月の翌月末日です。たとえば2019年9月分の保険料は2019年10月末まで納めることができます。ただ、納付期限をすぎても2年間は、後から納めることができます。2年たつと時効になり、納めることができなくなってしまいます。もしうっかり納付を忘れてしまった月があれば、速やかに納付できるとよいですね。保険料を納めるための納付書がない場合は、通知書に記載されている年金事務所へ連絡すれば再発行してもらえます。
なお、過去には保険料を過去10年間までさかのぼって納付することができる制度(付加保険料の特例納付制度)や保険料の納付期間を10年間や5年に延長する制度(後納制度)が、期間限定で行われていたことがあります。今後もし同様の制度が実施されることがあれば、利用を検討してもよいでしょう。

図表3:国民年金未納保険料納付推奨通知書(催告書)見本

出典:日本年金機構「国民年金保険料を納付いただいていない期間がある方に、お知らせをお送りいたします」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2019/201902/2019021801.html

もし長期間にわたって保険料の未納が続くと、強制的に徴収されることもあります。日本年金機構は2015年度から強制徴収を強化しており、保険料を納める経済力があるとみなされた人に督促をしたり、財産調査や差し押さえを行ったりしています。対象になるのは所得額が300万円以上で7カ月分以上の未納がある滞納者のようです。
しかし、経済的な事情などから保険料を納められないときもあるかもしれません。国民年金の保険料を未納のままだと、将来どうなるのでしょうか?

●保険料を払わないと、老後の年金は受け取れない
国民年金の保険料は、20歳から60歳の人が必ず納めることになっています。将来に受け取る年金は納めた保険料に応じて支給されますので、納付しないと老後に満額の年金を受け取ることはできません。20歳からの40年間で納めなかった保険料がある場合は、所定の計算式によってその分が受け取る年金額から減額されます。
受け取る年金額は、満額の年金額に対して、12カ月×40年間の480カ月のうち保険料を納付した月数などで按分して決まります。たとえば30年間納付したなら、360カ月/480カ月=75%の年金額になります。この場合、2019年度に受け取る金額は、国民年金の老齢基礎年金の満額781,000円のうち585,750円になります。
ただし、保険料を納めた月数が少ないと、年金をまったく受け取れないことがあります。老齢基礎年金を受け取るためには、国民年金の保険料を納めた期間と免除された期間(「受給資格期間」といいます)が合計で10年以上あることが要件です。これが10年に満たないと、国民年金保険料を納めたことがあっても、将来に老齢基礎年金を受け取ることはできません

●保険料を払わないと、遺族年金や障害年金を受け取れない
国民年金の保険料を納めないと、老後の年金以外でもデメリットがあります。それが、「障害年金」と「遺族年金」です。公的年金には、老後に受け取る老齢年金以外にも、障がいを負ったときや亡くなったときにも年金が支給されるしくみがあるのです
「障害年金」は、自分がケガや病気などが原因で「障害認定」を受けたとき、「遺族年金」は自分が死亡したときに遺族が受け取る年金です。これらの年金は、国民年金の保険料を納めていないと支給の対象になりません。国民年金の保険料を払わないと、将来の年金額が少なくなってしまうだけでなく、万が一の際に公的な保障を受けられないことにもなるのです。

年金未納で「財産差し押さえ」の催告状が!対処法と年金知識

どうしても年金保険料を払えないときは免除制度・猶予制度を利用できる

しかし、経済的な理由でどうしても年金保険料を払えない時は、免除や納付の猶予をしてもらう制度があります。

●国民年金保険料の免除制度とは
保険料免除制度は、前年の所得が一定以下である、失業したなどで、国民年金保険料を納めるのが経済的に難しいときに、保険料の納付が全部または一部免除される制度です
経済的に困難かどうかは、免除を受けようとする本人や世帯主、配偶者の前年の所得で判断されます。それぞれの所得の状況を総合的に審査され、免除される保険料が決まります。免除される範囲は、(1)全額、(2)4分の3、(3)半額、(4)4分の1の4区分があります。どの区分で免除されるかは審査によりますが、申請するときに希望を出すこともできます。
日本年金機構によると、全額免除になる所得の目安は{(扶養親族の数+1)×35万円}+22万円です。たとえば妻1人を扶養している人なら、(2×35万円)+22万円=92万円になります。
免除された国民年金の保険料は、後で払う必要はありません。ただし、一部免除の場合は減額された保険料を払わないと未納になってしまいます
また、将来に受け取る老齢年金の金額は免除された範囲に応じて調整されます。全額免除された場合には、全額納付した場合の年金額の1/2(2009年3月分までは3分の1)に、4分の3免除された場合は5/8(2009年3月分までは1/2)に、半額免除された場合は6/8(2009年3月分までは2/3)、4分の1免除された場合は7/8(2009年3月分までは5/6)になります。
かりに20歳から40年間にわたり全額が免除された人が、2019年度に受け取る年金額は780,100円の約半額の390,100円になります。ただし免除された人が万が一障害年金や遺族年金を受け取る対象になったときには、免除されたことを理由に年金額が調整されることはありません

[図表4]
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度


●免除されても後から追納できる
国民年金保険料を免除されると、保険料を納めなくても年金を受け取ることはできるものの、年金額は減ることになります。そこで、保険料の追納制度を使って後から納めると、その期間分の保険料を支払ったものとして、年金の受取額を増やすことができます
追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の保険料です。例えば、2019年7月に追納が認められれば、10年前の2009年7月分以降の保険料のうち、免除された部分を追納できます。追納するときには、古い期間分の保険料から順に納めます。
また、免除された期間の翌年度から3年度目以降に追納するときには、当時の保険料に加算額が上乗せされます。たとえば2016年4月の保険料を免除されたとき、納めるはずだった保険料を2018年度までに追納すれば加算はありませんが、2019年4月以降に追納すると保険料が加算されます。

●出産前後4カ月分の国民年金保険料はすべて免除に
出産日が2019年2月1日以降の人からは、出産予定月または出産月の前月から4カ月間の国民年金保険料が免除されることになりました(双子以上の場合は、出産月の3カ月前から6カ月分)。たとえば7月15日に出産した場合、6月分から9月分まで4カ月分の保険料が免除されます。
これは、自営業やフリーランス、学生などで国民年金の第1号被保険者の人なら、経済的な事情があるなしにかかわらず免除されます。免除された期間は保険料を払ったものとみなされて、将来に受け取る老齢基礎年金の金額に反映されます。
出産による国民年金保険料の免除は、出産予定日の6カ月前以降に市区町村の窓口で手続きをします。出産後に手続きをすることもできます。

●国民年金保険料の納付猶予制度とは
もうひとつ、国民年金保険料を納めるのが難しいときには、支払いを猶予してもらう制度もあります。保険料納付猶予制度というものです。
20歳から50歳未満で、本人と配偶者の前年の所得がそれぞれ一定額以下の場合に申請し、承認されると保険料の納付が猶予されます。納付猶予を認められる所得の目安は{(扶養親族の数+1)×35万円}+22万円です。たとえば妻1人を扶養している人なら、(2×35万円)+22万円=92万円になります。
また、学生の場合は在学中の納付が猶予される「国民年金保険料の学生納付特例制度」があります。大学、大学院、短期大学、高校、高等専門学校などに通う学生で、本人の所得が一定以下なら申請できます。
所得の基準は「118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等(2019年度の場合)」で、親の収入は問いません。学生証や在学証明書など、在学期間がわかる書類を添えて申請すると、在学中は保険料を払わなくても未納にはなりません。ただし卒業後や退学した後には猶予されませんので、通常通り納付する義務があります。
いずれの納付猶予制度も、保険料を支払う時期を猶予されるものです。猶予されている期間は受給資格期間にはカウントされますので、この期間と保険料を支払った期間が合計で10年以上あれば、将来に老齢基礎年金を受け取れます。ただし、年金額には反映されません。猶予された期間は納付した保険料はゼロとの前提で老齢基礎年金が計算されます。
猶予された期間分の保険料は、上述の免除と同様に追納できます。10年以内に保険料を払えば、将来の年金額を増やすことができます

[図表5]

国民年金は本当に将来受け取れるのか?

このように、国民年金の保険料は経済的に厳しいときには免除や猶予の措置があるなど、無理なく将来に備えられるしくみになっています。しかしなかには、国民年金の保険料を払っても老後の年金はもらえないのではないか? と思う人もいるかもしれません。
すでに厚生年金の受け取り開始時期が段階的に60歳から65歳に引き上げられているのに続き、現在は65歳とされている国民年金の受給開始年齢が引き上げられる、年金額が今後減額されるといった議論もされています。

●現在のところ公的年金にまさる制度はない?
たしかに、支払う保険料と受け取る年金を比べると、かつてに比べて払った保険料に対する受取額は少なくなってきています。1940年生まれの人が20歳から60歳まで負担した国民年金保険料が総額300万円のとき、老後に受け取る年金の総額は1,400万円と、支払った保険料に対して受け取る年金額は約4.5倍です。これに対し2000年生まれの人は払い込む保険料総額1,700万円に対して受取総額2,500万円と、約1.5倍にとどまる見込みです
とはいえ、銀行の預金や民間保険会社の個人年金保険などと比べても、資金準備でいまだに有利なしくみであることはわかるのではないでしょうか。自分でお金を貯めたり運用したりして1.5倍に増やすのは、それほど簡単ではないはずです。
国民年金は未納する人が多いので財源が破たんする、将来には受け取れないと考える人がいるかもしれませんが、財源は加入している私たちが納めた保険料だけでなく、国庫による負担によってまかなわれています。また、老後に受け取る年金だけでなく万一の場合の遺族年金・障害年金もあることを考えると、加入するメリットは少なくないでしょう。年金を受け取れないかもしれないから、経済的に厳しいから一切保険料を払わない、と結論付ける前に、こうしたしくみや、自分にとって必要な老後資金を準備する方法を具体的に考えてみることも大切ではないでしょうか。

[図表6]


公的年金のしくみを理解して、老後のイメージを明確にしていけたらよいですね。そして、保険料を払うには家計が厳しいときには免除制度、猶予制度などを活用することも検討してみましょう。ファイナンシャル・プランナー(FP)は、これらのしくみを踏まえて、家計のやりくりや中長期的なキャッシュフローのアドバイスをしてくれます。老後に向けてどんな準備をするか、相談してみてはいかがでしょうか。

※本ページに記載されている情報は2019年7月31日時点のものです

【参考文献】
■厚生労働省「公的年金の意義」
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/meaning/index.html
■日本年金機構「20歳になったら、どのような手続きが必要ですか?」
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/hatachi-tetsuduki.html
■日本年金機構「公的年金の種類と加入する制度」
https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/shurui-seido/20140710.html
■日本年金機構「厚生年金保険料額表」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/index.html
■日本年金機構「・昭和16年(女性は昭和21年)4月2日以後に生まれた方は、60歳から65歳になるまでの間、生年月日に応じて、支給開始年齢が引き上げられます。」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-03.files/kaishi.pdf
■厚生労働省「平成29年(2017年)度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
https://www.mhlw.go.jp/content/000453010.pdf
■厚生労働省「教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?」
https://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/01/01-02.html
■国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html
■国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html

加藤 梨里(かとう りり)

マネーステップオフィス株式会社

お金と健康に関わる記事制作、監修、コンテンツ開発・企画専門。大手メディア等での執筆実績1万本以上。家計、住宅、保険、教育、老後、税金から食事、栄養、運動、病気の予防・未病まで信頼性の高い情報を専門家が精査し、わかりやすいコンテンツを制作しています。