【FP監修】独身者の貯金額、平均は?老後の不安にも答えます | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

【FP監修】独身者の貯金額、平均は?老後の不安にも答えます

独身者の貯金の平均額っていくら?30代、40代の平均貯金額は?自分の貯金は平均以上?もしもずっと独身だったら貯金はいくらあれば老後に足りる?十分な貯金のためには月々いくら貯めればよい?人には聞きづらい、独身の人の貯金について解説します。

目次

■独身者の貯金の平均はいくら?

独身の人は、自分の収入を主に自分の生活のために使うケースが多いのではないでしょうか。家族を養う必要がない場合は、自由にお金を使えそうです。しかし将来のことを考えると、十分なお金を貯めておきたいもの。いったい貯金はいくらあれば足りるのか、今の自分の貯金額は平均と比べて多いのかが気になり、今よりも節約して貯めなければと心配している人もいるでしょう。
そこでまずは、独身の人の貯金の平均額をみてみましょう。

●独身者の貯金の平均は約1,100万円~1,300万円
総務省の平成26年(2014年)全国消費実態調査によると、単身世帯の貯蓄額の平均値は男性が1,118万円、女性が1,279万円です。男性よりも女性で平均値が100万円以上高いことがわかります。
ただ、男女いずれも1,000万円を超える貯金を持っているという結果に驚く人もいるのではないでしょうか。「私は1,000万円も持っていない……」と不安に思う人もいるかもしれません。それもそのはず。実際に平均値以上の貯金を持っている人はそれほど多くないのです。

[図表1]
単身世帯の貯蓄高の分布(男性)


[図表2]単身世帯の貯蓄高の分布(女性)

●6割以上は平均以下
持っている貯蓄残高の分布をグラフ(図表1、2)でみてみると、左側に偏っています。金額が低いほど該当する人の割合が多く、金額が高いほど該当する人の割合が少ないことがわかります。つまり、貯金が多い人よりも、貯金が少ない人の人数が多いということです。
貯蓄残高が200万円を下回る人も、男性で約30%、女性で約24%を占めています。男性の3人に1人、女性の5人に1人は、貯蓄が200万円未満ということです。しかも、このグラフには貯蓄ゼロの人は含めていません。ゼロの人を含めると、貯蓄200万円未満の人はより多いことになります。
つまり、一部の人がきわめて高額な貯蓄を持っているなどの理由で平均値が押し上げられているのです。男性が1,118万円、女性が1,279万円という平均値よりも貯蓄額が少ない人は、男女共に6割以上を占めています。
そこで、貯蓄を持っている人を貯蓄高順に並べてみると、ちょうど中央にあたる人の貯蓄高(中央値)は男性が480万円,女性が679万円です。これが、貯蓄を持っている独身者の中で「中の中」にあたる金額と考えてよいでしょう。

●年代別 独身の貯金の平均額
ただ、上記は独身者全体でみた平均値や分布です。「自分の貯金額は中央値にも達していない……」と思う人もいるかもしれません。
貯金の状況は年代によって大きく異なります。コツコツと貯めていけば、時間が経つほど貯金の残高は増えるはずです。そこで年代別に独身世帯の貯蓄高の平均を見てみると、40代から60代にかけて年代が高いほど貯蓄額が多いことがわかります。





独身男性の平均貯蓄額は40歳未満で373万円ですが、40代で796万円、50代で1,482万円、60代で1,611万円へと、年代が高くなるにつれ多くなっています。独身女性でも、40歳未満の平均貯蓄額の264万円に対して、40代では959万円、50代では1,383万円、60代では1,622万円と、年齢に比例して貯蓄額が高くなっています。

ところで、貯金をしたいと思いながらなかなか貯まらないと悩んでいる人には、「年収が上がればもっと貯められるのに」と思っている人もいるかもしれません。しかし、必ずしも年収と貯金額に強い関係はないようです。
年収を示す赤い折れ線グラフを見てみると、男性では50代にかけて、女性では40代にかけて平均年収が高くなっている傾向が見てとれますが、いずれも微増程度です。むしろ女性では40代をピークに平均年収は減少傾向にあります。にもかかわらず貯蓄残高は年代が高いほど多いことを鑑みると、年収がそれほど増えていなくても、少しずつでも時間をかけて貯金を続けている人が多いと考えられます。
その傾向は男性よりも女性で強いと考えられます。40代では平均で年収の2倍前後、50代では年収の3~4倍、60代では年収の6~7倍の貯金を持っていますが、いずれの年代でも女性のほうが年収に対する貯蓄額が多いのです。一般的に、同じ年代や業種内で比較したときに女性は男性よりも年収が低い傾向がありますが、その分貯金に対する意識が高い人が多いのかもしれません。

理想的な貯金の割合は何%?貯蓄率の目安を知って家計管理に役立てよう!

■独身者の貯金の種類は?何で貯めている?

では、貯金を持っている人はどんな種類で貯めているのでしょうか?

●普通預金・定期預金が貯金の大半
同じく総務省の調査で貯蓄の構成比を見てみると、最も多いのは預貯金です。男女ともに、普通預金(通貨性預金)と定期預金で貯蓄高の6割以上を占めています。
特に40歳未満では普通預金だけで約6割を占めています。30代までは貯金額が少なく、貯金の大半は貯めるためのお金というよりも、生活費のためのお金として預金している人が多いのかもしれません。
40代以降では年代が高くなるにつれ預金の割合が低く、預金の中でも定期預金が多い傾向が見られます。使うためよりも「貯めるため」の貯金を意識していることがうかがえますが、その傾向は女性でより強いようです。
50代以降では、貯蓄の約4割~5割近くを定期預金にあてています。また、生命保険の割合が40~50代にかけて約2割を占めており、いずれも女性のほうが多いようです。
逆に、株式や投資信託などの有価証券の割合は、男女とも年代が高くなるにつれ多い一方で、どの年代でも男性のほうが貯蓄に占める割合が高くなっています。これらの結果から、女性は男性に比べて定期預金や保険など、安全性の高い資産で貯める志向が強いと考えられます。

「図表5-1,5-2]年代別 貯蓄の内訳


■老後にはいくら必要?

では、独身の人の貯金はいくらあればよいのでしょうか? 平均額よりも高ければそれだけで安心かというと、残念ながら必ずしもそうではないようです。

●公的年金だけでは月に約3万円の赤字
上述の総務省の調査で65歳以上の単身世帯のうち無職世帯の家計収支をみると、女性の場合、公的年金などの収入から社会保険料や税金などを差し引いた「可処分所得」は1カ月で121,441円。これに対して生活費である「消費支出」は153,433円で、約3万円の赤字であることがわかります。
この傾向は、公的年金の受給額が異なる男性の場合でもそれほど変わらず、男女ともに老後は毎月約3万円を、貯蓄などで取り崩しながら生活する必要があることを示しています。
仮に月3万円を、65歳から85歳までの20年間にわたって貯蓄から取り崩すとしたら、月3万円×12カ月×20年間=720万円が必要です。


●公的年金がない期間の生活費も必要
720万円なら、冒頭で述べた貯蓄の平均額があれば十分に足りそうです。しかし、老後に必要なお金はそれだけではありません。
まず、老後の期間です。先ほどは65歳から85歳の20年間で計算しましたが、もしそれ以上に長生きすればそれだけ生活費もかかります。厚生労働省の簡易生命表によると、2017年の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳、65歳時点での平均余命は男性19.6年、女性24.4年です。65歳以降の老後の生活が、男性は平均的には20年弱ということになりますが、女性は25年近くあるわけです。平均以上に長生きすれば、さらにお金が必要になります。
また、定年退職がいつなのか、就労収入をいつまで受け取れるかも重要です。もし60歳で定年退職すれば、公的年金を受け取り始める65歳までは生活費の全額を自分でまかなわねばなりません。
仮に、上述した「消費支出」である生活費の月15万円を、60歳から65歳までの5年間分用意すると、月15万円×12カ月×5年=900万円になります。65歳からの20年分(720万円)よりも多額のお金が、60歳からの5年間のために必要ということです。
2013年に高年齢者雇用安定法が改正され、民間企業の定年は60歳から段階的に引き上げられています。また2019年5月からは政府が国家公務員の定年引き上げを検討するなど、老後のスタートが60歳よりも後になる動きが進んでいます。
実際に、総務省の労働力調査(2017年)によると、60歳から64歳の就業率は男性79%、女性54%と、半数以上の人が働いています。しかしながらそのうち男性の52%、女性の77%は非正規雇用です。非正規雇用では正規雇用よりも給与水準が低い傾向にあり、現役時代と同じ水準の収入を確保するのは難しいと考えられます。60歳以降の生活費は働いて稼ぐだけでなく、現役時代から少なからず貯金しておくと安心です。

●介護や終活のための費用も必要
さらに、介護や自分の人生のエンディングへの備えも考えておきたいところです。これは独身でも既婚でも同じく訪れる可能性があることですが、独身ならかかる費用を自分で用意しておく必要があります。
生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査 平成30年度(2018年度)」によると、介護が必要な状態になって住宅改造や介護用ベッドの購入などをしてかかる一時費用は平均で約70万円、また介護サービスを受けながら生活することで自己負担する費用は月に平均で約7.8万円だそうです。介護を受ける期間の平均は約4年7ヵ月で、その間ずっと平均的な費用負担がかかるとしたら、合計で約500万円がかかります(ただし、公的介護保険には現在自己負担の上限が設けられています)。
一人で老後を迎えることになったら、認知症になったときの身の回りの管理、死後の整理のことも考えておきたいものです。
判断能力が不十分になると、預金通帳や印鑑などの財産管理や生活で必要なさまざまな契約手続を自分でするのが難しくなります。これらを支援する「成年後見制度」を司法書士や弁護士などの専門家に依頼すると、一般的には毎月数万円がかかります。
また自分が亡くなった後には、葬儀や埋葬、生前に入院していた病院や介護施設の費用の支払い、行政への届け出などを人に頼むことが考えられます。これら事務手続きを代行してもらうことをあらかじめ契約に定めておくのを「死後事務委任契約」といいますが、司法書士や行政書士などの専門家に依頼すると、50万~100万円ほどかかるのが一般的です。
これらにかかるお金を総合して考えると、独身で老後を迎えるまでに1,500万円から2,000万円程度の貯金があると安心ではないでしょうか。

●老後まで20年、30年あれば毎月少額でも貯まる
1,500万円から2,000万円というと、ずいぶん大きな金額に感じるかもしれません。今から貯めて間に合うのか心配に思う人もいるでしょう。
確かに定年退職間近で、かつ手元の貯金がほとんどないとなると、老後の生活には心もとないと言わざるを得ません。しかし老後まで時間があるなら、今からでも少しずつ貯めれば、十分に間に合うケースが少なくありません。

下の図は、60歳までに1,000万円を貯めるために、毎月いくら貯めれば良いかを示しています。たとえば30歳から30年間で貯めるなら、毎月2.8万円を貯めれば60歳時に1,000万円になります。
これが40歳スタートになると月4.2万円、50歳スタートになると月8.3万円と、遅くなるほど月々に貯めるべき金額が高くなります。毎月の家計に重い負担になりますから、少しでも早く貯め始めることが大切です。

[図表7]60歳までに1,000万円貯めるために必要な月間貯蓄額

著者作成

家計の悩みをファイナンシャルプランナーに相談する

■おひとりさまの老後に向けて何で貯めればよい?

上記は現金など利息がつかない方法で貯めた場合の金額ですが、老後のために長期間かけて貯金するなら、利回りを意識するとより効率的に貯めることができます。

●運用しながら貯めれば毎月の積立額が少なくて済む
グラフの青い部分は、同じく60歳時点で1,000万円に到達するために、2%で運用しながら積み立てた場合に月々で必要な積立額を示しています。たとえば30歳から30年間で1,000万円を目指すとき、積み立てたお金に金利などがつかなければ毎月2.8万円必要ですが、2%で運用しながら積み立てれば、毎月2.1万円でも1,000万円に到達するということです。
月々7千円程度の差ですが、30年間にわたって負担が毎月小さくて済むと思うと、大きな差ではないでしょうか。
とはいえ、運用をしたことがない人には、いきなりリスクのある運用を始めるのは抵抗を感じるかもしれません。実際に、老後に向けて貯金したい、または老後資金を準備した人が選んだ方法は、圧倒的に預貯金が多いようです。

[図表8]老後に向け準備したい(した)公的年金以外の資産(単位:%)

出典:総務省「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査 平成30年(2018年)度」
https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-nenkin/2-1.html

ただ、預金金利は低水準が続いており、近年は預貯金だけでお金を増やすのは難しい状況です。また現在30代、40代の人が老後を迎える20年後、30年後のことを考えると、今よりも物価が高くなるインフレリスクも考慮しておくと安心です。
今、老後を迎えている独身の人は毎月約15万円の生活費で足りていますが、私たちが老後を迎えるころには基本的な生活をするにもそれでは足りないかもしれません。将来の老後の生活を考えると、預貯金に加えて運用性のある金融商品を使って貯めることも検討したいものです。

●預金をベースに、iDeCoやつみたてNISAで分散しながら運用も
では、どんな方法で貯めればよいのでしょうか。
老後資金などを長期間かけて貯金するのに適している方法には、自動積立定期預金やiDeCo、つみたてNISAなどがあります。
まず自動積立定期預金は、銀行などの金融機関でできる積立型の定期預金です。金額と振替日をあらかじめ設定しておくと、毎月自動的に普通預金口座から積立定期預金口座にお金が振り替えられます。振り替える金額は毎月1,000円以上1,000円単位などの少額から設定できます。

[図表9]積立定期預金のしくみ

著者作成

●iDeCo(確定拠出年金)
確定拠出年金は公的年金の上乗せとして将来の老後資金を貯める国の制度で、掛金を積み立てながら運用します。積み立てた掛金で定期預金・積立保険・投資信託などを購入して60歳まで運用を行い、その運用成果に応じた年金額を60歳以降に受け取ります。
このうち個人が自分で銀行、証券会社、保険会社などで口座開設をして積み立てるのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。月々5,000円以上1,000円単位で、預金口座から自動振替で積み立てます。公的年金の加入状況等により、月々貯める金額は月額12,000円~68,000円の上限があります。

[図表10] 公的年金制度とiDeCoのしくみ

出典:iDeCo公式サイト

●つみたてNISA
毎年40万円分の投資額まで、一定の条件を満たす投資信託を積立形式で購入した場合に得た利益に最長20年間、税金がかからない制度です。
投資信託に投資をして分配金を受け取ったり、値上がり益が出たりしたときには、通常20.315%の税金が差し引かれます。これが、証券会社などで「つみたてNISA」専用の口座を開設して投資をすると非課税になります。
つみたてNISAの対象になる投資信託は、販売手数料などのコストが低く、金融庁が投資家保護の観点で定めた一定の基準を満たすものに限られています。毎月の積立額は金融機関や投資信託の種類によって異なりますが、毎月100円から積み立てられるところもあります。

[図表11] つみたてNISAのしくみ

出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト より
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html

お金を貯める方法はほかにもあります。また、そもそも自分がいくら貯めればよいかは働き方や既に持っている貯金、今後のライフプランなどによって個人差があります。ファイナンシャル・プランナー(FP)は、相談者の状況を丁寧にヒアリングしたうえで、具体的に目指すべき貯金額や適した貯金の方法などの相談に乗ることができます。また、貯金ができないといったお金に関するお悩みごとはもちろん、「このまま独身で一生を過ごすことになったらどうなる?」といったライフプランに関わる相談にも対応しています。
漠然とした不安を一緒に整理することで、将来への展望が開けるとともに、貯金も貯まりやすくなるかもしれません。

※ 本ページに記載されている情報は2019年6月20日時点のものです

【参考文献】
■総務省 平成26(2014年)年全国消費実態調査「単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果」
https://www.stat.go.jp/data/zensho/2014/pdf/gaiyo2.pdf
■厚生労働省「簡易生命表(2017年)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/dl/life17-15.pdf
■総務省「労働力調査(2017年)」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/gaiyou/s1_2_1.html
■生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査 平成30年度(2018年度)」
http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h30zenkoku/2018honshi_all.pdf
■総務省「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査 平成30年度(2018年度)」
https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-nenkin/2-1.html
■金融庁 NISA特設ウェブサイト
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html

加藤 梨里(かとう りり)

マネーステップオフィス株式会社

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、金融知力インストラクター、健康経営アドバイザー マネーステップオフィス株式会社代表取締役 保険会社、信託銀行、ファイナンシャル・プランナー会社を経て独立。 専門は保険、ライフプラン、節約、健康経営など。マネーに関する記事のほか、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方や企業向け健康経営など健康とお金に関する執筆実績も豊富。