母子家庭手当だけで親子で生きていける?知っておきたいマネープランニング | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

母子家庭手当だけで親子で生きていける?知っておきたいマネープランニング

母子家庭手当だけで親子で生きていける?知っておきたいマネープランニング

母子家庭、父子家庭などのひとり親家庭のために金銭的なサポートとして公的な手当があります。金額だけ見ると、ある程度まとまった額を受け取れるようにも見えますが、それで生活していけるのでしょうか?
代表的な各種手当を確認したうえで、それを受給できたとして長期的なマネープランが大丈夫かどうか見てみましょう。

目次

■母子家庭・父子家庭の収入状況はやはり厳しい

母子家庭・父子家庭など、ひとり親家庭(以下、母子家庭等)になる原因はさまざまだと思います。決断を迫られている時は切羽詰まっているため、金銭面が大丈夫かどうかをじっくり考えている余裕はないかもしれません。「なんとかなる」と思って決断しても、実情を見ると、やはり厳しい面があるようです。統計データなども参考にして、ひとり親になった他の方の現状も踏まえて、ある程度の推測を立てておくことが望ましいでしょう。

この記事では、以下の流れで紹介します。
・母子家庭等の現状を知っておきましょう
・一般的な母子関係の手当などをチェック!
・母子家庭等のマネーの現状と、ある程度の手当を受給できた場合のシミュレーションを紹介

自分のケースではどうなるかを推測する参考にして下さい。

最後に、母子家庭等で困る要因のひとつ、収入の少なさを改善するために知っておいてほしいサポート制度について触れます。

ひとり親家庭になった要因の約80%は離婚
今回の記事を書くにあたり、死別のケースではある遺族年金が、離別(離婚等)のケースではないなど、マネープランの基礎が変わってくるため調べてみました。
ひとり親世帯の内、未成年の子を残して配偶者が亡くなったケースは、母子家庭では8%、父子家庭は19%と少なく、母子・父子家庭どちらも約80%は離別とわかりました<図表1:平成28年(2016年)度 全国ひとり親世帯等調査結果報告>。

また、母子家庭、父子家庭、自分の子ではない子を養育する家庭などさまざまな「ひとり親」の形がありますが、同調査回答数の比率(母子世帯2060:父子世帯405:養育者世帯45)を参考に、特に前提が書かれていない場合は離別による母子家庭を前提として進めます。

年収は平均243万円、ひとり親自身の給与収入は平均200万円
図表1の4「平均年間収入」を見ると、平均年収は243万円、その下の5「平均就労収入」=給与など働いて得た収入は200万円となっており、平均年収と自身の収入には43万円の差があります。この差は生活保護給付、児童扶養手当、別れた配偶者からの養育費、親からの仕送りなどになります。

手当等があったとしても、両親が共にいる世帯の年収707.8万円(同調査より)と比べ、半分以下とかなり少ない金額とわかります。

母子世帯への手当は月に5万円程度になることもあり、「毎月もらえればそれなりのまとまった金額」と「なんとかなる感」を抱きやすいかもしれません。しかし公的な手当があるということは、ベースとなる収入がとても少ないことの裏返しです。それで「普通の生活を楽に送れる」わけではないことを忘れないようにして下さい。

なお、同表6「平均年間収入(同居親族を含む世帯全員)」の348万円は、祖父母と同居しているケースなどで、母子家庭の母以外の人の収入がある場合、それも合計した数字です。

お金のお悩みをファイナンシャルプランナーに無料相談しませんか

■知っておきたい、もらえる手当・サポート制度

ひとり親家庭向けの公的サポートにはいくつかのタイプがあります。

【お金がもらえるタイプ】
【生活コストが軽くなるタイプ(社会保険などの保険料減免など)】
【困ったときに助けになるタイプ】
【お金が戻ってくるタイプ(最後に紹介します)】

ここで紹介する以外にも各自治体が独自のサポートをしていたり、金額が違ったりする場合もありますし、法改正で内容が変わることもあります。障害があるなど、特殊な場合は金額が上乗せされたり、名称の違う別の給付になるケースもあります。
ここではおよその内容を理解して、必要に応じて役所に問い合わせるなどのアクションに結びつけてください。
また、引き続き母子家庭を中心とした書き方になりますが、基本的には父子家庭などでも要件を満たせば受け取れます。

ただ念のため、公的なお金を分けてもらうサポートですから、誰でも簡単に受けられるわけではなく、収入が少ないなどの厳しい状況のときに助けになる…と言う前提も理解しておいて下さいね。

【お金がもらえるタイプ】
母子家庭の強い味方「児童扶養手当」

母子家庭でお金がもらえるタイプの代表格は子が18歳年度末になるまで受給できる「児童扶養手当」です。
収入や子の人数などにより、以下のような金額になります。受給開始から5年経過すると半額になるといった仕組みになっていますが、ちゃんと勤務している人や、失業中だったとしても求職活動をしているなら継続して受け取れるなど、努力されていれば受給できるタイプの手当です。

基本の「児童手当」も忘れずに
母子家庭だけでなく父母が共にいる世帯も含めて、一定の所得により受給額が決まる手当で、子が15歳年度末になるまで受け取れます。先に紹介した「児童扶養手当」とは別のものです。
所得制限はありますが、たとえば子2人の母子家庭なら所得698万円(収入917.8万円)と制限がゆるく、一般的にはほぼ受給可能な範囲のため詳細は省略しています。

【児童手当額】
所得制限未満
・0歳~3歳未満 1万5,000円/人
・3歳~小学校修了前 1万円/人(2人目まで)、1万5,000円/人(3人目以降)
・中学生 1万円/人
所得制限以上
・0歳~中学生 5,000円/人

お住まいの地域の役所に要確認!「児童育成手当」
月額1万3,500円が18歳の年度末まで受け取れます。児童扶養手当よりも若干所得制限がゆるく、子二人の母子世帯なら所得制限436万円(新宿区などの例)となっています。
国の制度ではないため、実施しているかどうかは住所地の役所に確認してみましょう。

住宅関係のサポートは名称がさまざま
先の調査結果によると、離婚による母子家庭で自分名義の家に住んでいるのは12.8%しかなく、63.9%は貸家住まいのため、多くの家庭では住居費負担がのしかかっているはずです。住宅手当・家賃補助など自治体により名前は異なりますが、なにかサポートがある可能性があります(ない場合もあります)。

毎月5,000円や1万円といった金銭の給付がある場合や、公営住宅の使用料が軽減される場合、移転にかかる費用が助成される場合など、内容も様々です。住んでいる(転居予定があるなら住みたい)自治体のサイトを検索するなどして調べてみると良いでしょう。

【生活コストが軽くなるタイプ】
各種サポートの有無は、自分からそっと聞いてみましょう

収入などの要件を満たすと、「ひとり親家庭等医療費助成制度」は健康保険などの自己負担分を軽くしてもらえたり、国民健康保険や国民年金では「保険料の減免」制度を使えることもあります。

税金面では「寡婦控除」というメリットがありますが、これは父子家庭の要件は少し厳しいので要注意です。

「幼児教育の無償化」が2019年10月に始まると、小学校入学前の0歳~5歳までの間、所定の要件を満たすと幼稚園や保育所などの基本的な利用料が無料になる予定です。

「日常生活支援」制度では、仕事が遅くなり保育サービスを使いたいときや、食事や身の回りの世話、住居の掃除、生活用品の買い物などの生活援助を受けたいときなど、児童扶養手当を受給している世帯なら、1時間あたり70円~と破格で利用できる可能性があります。

その他にも、公共料金の割引や、保育料の減免なども使える場合があります。
民間会社もサービスの割り引きなど、日常生活上のさまざまなケースで配慮があるかもしれません。「もしかして?」と思ったら、確認してみると良いでしょう。ただし、ない場合も想定して『あったら嬉しいな』くらいの気持ちで、そっと聞いてみるのが良いと思います。

【困ったときに助けになるタイプ】
どうしてものときは公的な貸付も探してみる

「母子父子寡婦福祉資金」は国の制度で、子が学校へ行くための費用や、父母が就職するために技能(例:運転免許)を習得するための費用、など12種類もの項目でお金を借りられます。本来はあらかじめ貯蓄をするなどの準備が求められるものですが、どうしてものときには、連帯保証人を付けられれば無利子で借りられるなど、民間から借りるよりも有利です。

■子供成人までの長期マネーは大丈夫?!

収入は少なめに、支出は余裕をもったマネープランを!
たとえば離婚後の生活をイメージしたとき、
「月に手取りで15万円入るくらいの働き方ならできる! それから、児童扶養手当などが1歳と3歳の子供2人分で約10万円入るから、当面の生活は大丈夫!」
と安心したりしませんか?

当面大丈夫でも、長期的に見て、子供たちに十分な教育を施せるかどうかがとても大事なポイントです。上記の児童扶養手当等は、将来もしも法律が変わると額も変わるかもしれません。

残念ながら、母子家庭の母の働き方を見ると47.4%がパート・アルバイト、39.4%が正社員となっており、そういった状況も含めて、最初に紹介した母子家庭の勤労収入200万円/年と言う現実なのだと思います。

子供の病気で急な休みを取る必要があったり、学校行事などで思うように残業できなかったりで、昇進や昇給の機会を逃すかもしれません。職場に気兼ねして退職し、当面パートで…といった選択を迫られるかもしれません。

十分な給与を受け取れない環境になってしまうことも想定したうえで、各種手当を受給し、かつ、元パートナーからの養育費の約束を裁判等で公式に取り付けておく等、自分と子供達の心と体、そして将来を守る計画を立てる必要があります。

教育資金の準備は済んでいますか?
長期のマネープランが大丈夫かどうかを見るとき、本当は母親本人の老後まで見据えて貯蓄計画を立ててほしいのですが、ひとまず子供たちが高校を卒業するまでの収支を見てみましょう。

収入は、上記の1歳と3歳の子供の児童手当・児童扶養手当・児童育成手当が所定の年齢まで受け取れると仮定し、給与収入は手取り15万円を確保するケースです。

支出のうち、生活費は図表3の家計調査年報の合計額21万円/月を使用しました。子供の成長とともに支出は膨らむはずですが、統計上子供の年齢は20歳未満となっているため、この数字は幼い頃から大きくなるまでの平均値と想定し18歳までこの数字の範囲内でやりくりできると仮定します。

すると、今1歳の子が18歳の年齢までの
・収入合計は5,250万円(内各種手当2,010万円)
・生活費支出は4,536万円
となりました。

ここで「あれ?」と思ってほしいのですが、この段階では生活費だけで学費は含まれていないのです。にもかかわらず、収支はたったの714万円プラスのみ…。

子供一人が幼稚園から高校まで公立学校で進学した場合540万円かかります。
二人で1,080万円…。
大学に行きたい場合はさらに数百万円。足りません!!

ということで、各種手当はありがたいのですが、それだけで十分ではないらしいことが見えてきます。
そこで、次に考えるのは収入を増やせないか? ということです。

教育資金はどう準備する?国のサポートや投資方法は?FPが教えます

■攻めるサポート制度活用も知っておくべき

母子家庭の収入が低くなりがちなのは、病気や学校行事などで時間の制約があり、仕事で能力を十分に発揮できないことによる、給与単価の低さや職場での立場の弱さなども要因、と国は考えています。

そこで、手に職をつけて単価を上げたり、必要とされる人材になり、時間の制約があっても同じ会社でキャリアを積み続けられる人材になってもらえれば良いのではないかと、母子家庭向けに資格取得の支援策を作っています。
これが「お金が戻ってくるタイプ」のサポート制度です。

【お金が戻ってくるタイプ】
職業訓練の受講料を後から戻してもらえる!

「自立支援教育訓練給付金」は所定の職業訓練(資格学校などの講座)を受けた後に、その受講料の6割(上限20万円)が戻ってくる制度です。講座のラインナップは雇用保険の教育訓練給付と同じでかなり幅広いです(例:簿記、FP、ソムリエなど)。
「高等職業訓練促進給付金」は、看護師や保育士など、1年以上かかるような職業訓練を受ける場合に、生活費として月10万円(住民税課税世帯は7万5,000円)を支給してもらえる制度です(上限3年)。

正直、各種手当がちゃんともらえたとしても、月15万円手取りの範囲では老後資金や住宅資金も考えるとかなり厳しい現実があります。
切羽詰まった心情とは思いますが、目先の手当の金額だけでなく、長期のマネープランを立て、堅実な「その後」の収入計画を立てて下さいね。元配偶者からの養育費確保や年金分割なども忘れずに…。
制度が難しくてわからない!一人で問題を整理するのが苦手!という方は、「お金のプロ」であるFPに相談してみるのも良いと思います。すぐに保険に加入する必要はありませんし、まずは話だけでもしてみるのも良いでしょう。

※ 本ページに記載されている情報は2019年3月26日時点のものです

【参考文献】
「全国ひとり親世帯等調査結果報告 2016年度」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11923000-Kodomokateikyoku-Kateifukishika/0000188136.pdf

文部科学省「子供の学習費調査(2016年)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/1268105.htm

国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000953.html

私立大学等の平成29年度入学者にかかる学生納付金等調査結果について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031.htm

「家計調査年報 2017年」 (総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2017np/gaikyo/index.html

中村 薫(ファイナンシャル・プランナー(CFP®)、社会保険労務士、終活カウンセラー)

株式会社プラチナ・コンシェルジュ

FPとして個人のご相談をお受けして20年超。自治体や企業研修での講師、執筆活動などを行う。現在は定年前の会社員向けの社員研修や、若年層向けのライフプラン、労働法などの社会人必修セミナーの講師としても人気。個人向け相談では、おひとりさま女性の相談が増加中。 監修:株式会社プラチナ・コンシェルジュ