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母子家庭のママの生活費をサポートする制度って?FPが教えます

母子家庭で仕事と子育ての両立に頑張っているけれど、生活費がカツカツ状態。毎月のやりくりで精一杯だけど、将来のことを考えると不安……という母子家庭のママは少なくありません。経済的に子どもと自分の明るい将来を目指す方法を考えていきましょう。

目次

母子家庭の生活費実態

厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査(2017年)」によると、母子家庭1世帯当たりの年間平均所得は290万5,000円。そこから税金や社会保険料を差し引いた、いわゆる手取り収入(可処分所得)は150万4,000円となっており、1カ月当たりにすると約12万5,000円という実態です。母子世帯も含めた児童のいる世帯全体の可処分所得の平均が、年間で289万7,000円、1カ月当たりで約24万1,000円という状況ですから、母子世帯が生活費などで使えるお金は全体平均の約半分ということが言えます。

・母子家庭は貯金ができる?
子どもの人数や年齢によっても生活費として必要となる金額は異なりますが、所得が少ない状況で、子どもと共に生活するのは相当な切り詰めが必要になることが想像できます。

総務省の「家計調査(2018年)」で、年間収入の違いによる2人以上世帯の消費支出の違いを確認してみると次のような状況が確認できました。なお、当データでは収入別の消費状況で、母子家庭であるかどうかは考慮されていません。

年収700万円~750万円の世帯の消費支出が収入の約半分で収まるところ、年収250万円~300万円の世帯では収入のほぼ全てが支出に回ってしまっている状態です。先の統計では母子家庭の平均年収は後者の金額帯に該当しますから、貯金するのが厳しいという家庭が多いのではないでしょうか。

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フルに活用したい母子家庭への公的支援制度

このような家計状況のなかで、やはり頼りにしたいのが経済的なサポートです。政府や自治体ではひとり親世帯に対して様々なサポート制度を実施しているものの、厚生労働省が実施している「全国ひとり親世帯等調査(2017年)」によると、「制度を知らなかったため利用したことがない」と半数以上の人が回答しているものが多々あります。条件が合わなくて利用できないのとは違い、知らないから利用しないというのは残念なこと。自分の状況に合うものを見つけてフルに活用していきましょう。ここでは経済的なサポートとして代表的なものを見ていきます。

・児童手当
ひとり親のための制度ではありませんが、中学校を卒業するまで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子どもがいる世帯に、4カ月分ずつ年3回(6月、10月、2月)に分けて支給されます。

なお、児童手当を受けるには所得制限があります。所得制限限度額は手当を受け取る人の税法上の扶養親族等の数によって異なります。所得制限以上の人の場合、特例給付として児童1人につき月額5,000円が支給されます。

扶養親族の数は、前年(1月~5月分の手当の場合は前々年)12月31日時点のもので判定されます。離婚などを検討していて、ひとり親家庭になる予定の人は、子どもの扶養がパパ・ママどちらの対象になっているかによってすぐにはもらえない場合があることには注意が必要です。

・児童扶養手当
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)を監護するひとり親もしくは養育する人(祖父母等)に支給される手当です。

児童扶養手当は、前年の所得に応じて手当の全額を支給する「全部支給」、一部のみを支給する「一部支給」があります。また、子どもが2人いれば2倍(2人分)の金額が支給されるのではなく、2人目加算、3人目加算というように、1人分の金額に加算されていくようになります。

 

所得制限限度額は手当を受け取る人の税法上の扶養親族等の数によって異なります。子ども1人の場合で全部支給となるためには収入ベースで160万円です。

現在、児童扶養手当は4カ月分ずつ年3回(4月、8月、12月)支給されていますが、2019年11月分からは2カ月分ずつ奇数月に支給されるようになります。

なお、児童扶養手当は原則として、遺族年金や障害年金などの公的年金等と合わせて受けとることができません。公的年金等の額が児童手当の金額より低い場合には差額分を受け取ることができますので、きちんと手続きをしておきましょう。

・ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親自身と、18歳に達した日の属する年度の末日(障害がある場合は20歳未満)までの子どもの医療費の自己負担額が軽減される制度です。

助成の内容や条件は住んでいる自治体によって異なりますが、東京都の場合、医療費の自己負担割合が1割(通常は3割負担)となり、また月々の医療費の上限額が設けられ、通院の場合で14,000円、入院の場合で57,600円とされています。お金がなくて病院に行けないという心配が軽減されるでしょう。

・母子家庭等家賃助成制度
住むところに関するサポートは自治体によって取り扱いが異なりますが、家賃などの固定費を少しでも削減できれば生活費負担は軽減されます。

たとえば神奈川県厚木市では、18歳未満の子どもと同居するひとり親に対する家賃助成制度を実施しています。所得や居住する家賃などに条件を満たせば、月額1,300円~10,000円の家賃補助を受けることができます。公営住宅に優先入居できるためのサポートをしている自治体も多くあります。居住地の自治体に確認してみましょう。

・公共交通機関料金の割引
日々の暮らしのなかでは移動のための交通費負担もばかにならないものです。自治体によって取り扱いは様々ですが、電車やバスなどの公共交通機関料金が無料になったり、割引制度を実施しているところがあります。

たとえば東京都では、児童扶養手当を受けている世帯(1世帯1人に限る)などに対して、都営交通無料乗車券を発行しています。居住地の自治体に確認してみましょう。

・水道料金減免制度
水道料金も家計のなかで必ずかかる固定費です。制度の内容や条件は自治体によって様々ですが、多くの自治体で水道料金の減免制度を実施しています。

たとえば、広島県では児童扶養手当を受けている世帯などに対して、基本料金(2カ月1,420円)および基本料金に係る消費税等相当額が免除されます。居住地の自治体に確認してみましょう。

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子どもの教育費をサポートする制度

生活費のやりくりで精一杯という家庭が多い一方で、子どもにはきちんと教育を受けさせたいと考える母子家庭のママは少なくありません。

厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査(2017年)」の結果では、子どもに関する最終進学目標として「大学・大学院」までが最も多く、46.1%の母子家庭ママが望んでいます。同じひとり親家庭でも、父子家庭パパで「大学・大学院」までの進学を希望しているのは41.4%ですから、母子家庭ママの方が子どもの教育に対する望みが大きいと言えるのかもしれません。

しかしながら、子どもの教育費は人生の3大費用と言われるほど大きな費用がかかるのも事実です。助成制度や奨学金などを上手に活用しつつ、自助努力を合わせて計画的に準備をしていきましょう。

・就学援助制度
公立学校に通う場合でも、制服や学生カバン、学用品等々を揃えなければいけませんし、修学旅行や学芸会、クラブ活動等々でお金がかかることは多々ありますね。就学援助制度は、経済的な理由で小・中学校への就学が困難な世帯に対し、学用品費や体育実技用具費、学校給食費など、自治体が補助を行う制度です。具体的な補助内容や所得制限などは自治体によって異なります。

・高等学校等就学支援金制度
高等学校等就学支援金制度は、公立・私立を問わず、高等学校に通う生徒に対して国が授業料を支援する制度です。

当支援金の受給の所得条件は、市町村民税所得割額と都道府県民税所得割額の合算額が50万7,000円未満であること。支給額は進学する学校の種類によりますが、全日制の高校では月当たり9,900円となっています。

そのほか都道府県等による私立高校への入学金や授業料の減免制度もあります。こちらも世帯所得に対する基準はありますが、一般的に学費が高い私立高校への進学も夢ではなくなるかもしれません。ぜひ、居住地の自治体に確認してみましょう。

・給付型の奨学金制度
奨学金制度といえば、代表的なものに日本学生支援機構の奨学金制度がありますが、貸与型の奨学金で後々子ども自身が返還していかなければなりません。それに対して、「給付型」の奨学金制度なら返還義務はありませんから利用できるといいでしょう。


給付型の奨学金は、自治体や民間団体が取り扱いをしているところがあります。たとえば、
・神奈川県高校生等奨学給付金(実施団体:神奈川県)
・ひとり親家庭支援奨学金(実施団体:ローソングループと全国母子寡婦福祉団体協議会の共同)
などがあります。


一般的に給付型の奨学金は所得制限や学業成績など、貸与型に比べて条件が厳しく、また募集枠も少ない場合が多いものです。早くから親子でしっかり将来の希望を話し合い、ママは募集要項などをチェック、子どもは学業に取り組むなど、親子で協力していけるといいですね。

なお、学校によっては特待生で入学することで、入学金免除や学費免除を受けられる場合もあります。こちらも、志望校選びの参考としてチェックするといいでしょう。

収入を向上させるサポートは自分の将来のためにも活用を

厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査(2017年)」によると、母子家庭ママの81.8%が働いているとのことですが、「正規の職員・従業員」として働いているのは44.2%。「パート・アルバイト等」が43.8%と、ほぼ同数となっています。子どもが小さいうちは「パート・アルバイト等」の割合が高い傾向にあり、1人で子育てと仕事を両立することの厳しさが窺えます。

一般的に会社の正社員として働く人は、非正規社員に比べて収入面や保障面でなにかと安心できることが多いものです。たとえば、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入できますね。健康保険に加入していると、万一病気やケガで休業しなくてはならなくなっても支給要件を満たせば「傷病手当金」を受け取れるため、収入面で安心です。また、厚生年金に加入していれば将来の老齢年金は国民年金の場合よりも多くの年金をもらえます。パートやアルバイト労働の人でも、労働時間や会社によっては健康保険や厚生年金などの社会保険に加入することになっていますが、全ての人が会社の社会保険に加入できるとは限りません。

正社員だからといって、決してパートやアルバイト労働よりも給料が多いとは限りませんが、長い人生単位で見ると正社員で働く方が生涯収入は多くなると考えられます。

就業に向けての支援制度も多々ありますが、スキルアップや収入アップを目指して母子家庭ママが教育訓練を受けられる制度がおすすめです。

・自立支援教育訓練給付金
資格取得などのために対象教育訓練を受講し、修了した場合に、受講料の60%(1万2,001円以上、20万円限度)が支給されます。

・高等職業訓練促進給付金
就職の際に有利となり、かつ法令の定めにより養成機関において1年以上のカリキュラムを修業することが必要とされている特定の資格を取得する目的で教育訓練を受ける場合に、生活負担の軽減として支給されます。住民税非課税世帯は月額10万円、住民税課税世帯は月額7万500円が修業期間の全期間(3年を上限)にわたって支給されます。対象資格には、保育士、看護師、歯科衛生士、介護福祉士などがあります。

正社員となれば、勤務先の福利厚生制度も利用できるようになるでしょう。勤務先の制度の内容にもよりますが、忙しい日々の息抜きとしての親子での旅行も割安の厚生施設を利用できるかもしれません。また、団体生命保険を取り扱っている会社に勤めていれば、割安の保険料で万一の保障を備えることも可能です。ファイナンシャルプランナーを招いて老後プランやマネープランのセミナーを実施しているところもあります。普段、忙しくて家計管理など考えられないというママは助かるのではないでしょうか。


※本ページに記載されている情報は2019年6月4日時点のものです

【参考文献】
厚生労働省:全国ひとり親世帯等調査/2017年
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html

厚生労働省:国民生活基礎調査/2017年/1世帯当たり平均所得金額-平均等価可処分所得金額,世帯類型-児童のいる世帯-65歳以上の者のいる世帯・年次別
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031736405&fileKind=1

ほか

續 恵美子

生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。 エフピーウーマン(https://www.fpwoman.co.jp/)