パートするなら扶養内がいい?年収はいくらまで?2019最新版 | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

パートするなら扶養内がいい?年収はいくらまで?2019最新版

パートやアルバイトに出て扶養内で働こうと考えている女性は多くいますが、勤務先の時給や週何時間労働かを気にする前に、扶養の意味やそのメリットを理解しておくことがとても大切です。
扶養の種類(税・社会保険)と上限となる年収について解説します。

目次

<税金計算上の扶養>と<社会保険上の扶養>に分けて考えよう

働く主婦(夫)が「配偶者の扶養に入る」という言葉を使う場合、大きく分けて2つの意味があります。「税金計算上の扶養」と「社会保険上の扶養」です(図表1)。

税金計算上の扶養とは、配偶者の税金を抑える所得控除(配偶者控除、配偶者特別控除)の対象になっているかがポイント。社会保険上の扶養は、配偶者の社会保険に扶養家族として入れるかどうか、ということが重要になります。扶養家族として配偶者の社会保険に入れれば、自分で社会保険料を払う必要がありません。夫(妻)がサラリーマンの場合、扶養家族が増えても社会保険料は変わらないので、大きいですよね。

私は扶養に入れるの?…という前に、まずはここをしっかり押さえましょう。「税金計算上の扶養」と「社会保険上の扶養」、この2つはまったく別物と考えてくださいね。

本コラムでは、夫がメインで会社員として働き、主婦である妻がパートやアルバイトで働く場合を想定して説明していきます。

共働き世帯の妻や子どもを、夫の扶養に入れるのは本当にお得?

・税金計算上の扶養

税金計算上の扶養というのは、所得控除の1つである配偶者控除または配偶者特別控除が適用になる年収に抑えられるかがポイントになります。これは、稼ぎ頭である夫が支払う税金を計算するときに、パートやアルバイトで働く妻の稼ぎが一定の年収以下であれば、所得税や住民税を少なくしますよ、というものです。会社員であれば、年末調整のときにおなじみのあの制度だな…と思う人もいるでしょう。

ただ税法は毎年改正があるので、ちょっと分かりにくいイメージを持っている人も多いかもしれません。実際、2018年には配偶者(特別)控除について、とても大きな改正がありました。本コラムでは2019年8月現在の最新の情報を確認していきたいと思います。

本題に入る前に、「所得税を計算するしくみ」を理解しましょう。(図表2)。

収入は「給与の総支給額(年収)」、給与所得は「収入から給与所得控除を差し引いた金額」、課税所得は「所得から所得控除を差し引いた金額」です。ごちゃまぜになってしまいがちですので気をつけてくださいね。

夫の課税所得(税金を計算する元になる所得の金額のことです)を計算するとき、「所得控除」と呼ばれる項目が差し引かれます。所得控除が多いほど、夫が支払う税金が少なくて済むことになります。

所得控除の1つである「配偶者控除」または「配偶者特別控除」を夫の税金計算上使えるかどうかは、妻の収入(所得)が一定金額より少ないことが条件となるのです。

税金計算上扶養内で働くメリットは、夫が支払う税金を安くすることができることなのです。

配偶者控除と配偶者特別控除は、両方ではなくどちらかひとつだけ使うことが認められています。
それぞれに適用の要件がありますのでみてみましょう(図表3)。
配偶者控除と配偶者特別控除の要件

図表3の下半分、妻の所得要件の部分に注目してください。配偶者控除が適用される要件は妻のパート収入が103万円以下の場合ですが、これを超えてしまった場合でも201万円以下であれば配偶者特別控除の対象になります。

ただし、配偶者特別控除の金額は、妻の収入の金額によって段階的に減っていきます(図表4)。
図4

また、注意が必要な点がもうひとつあります。夫の所得に上限があることです。

図表3で、配偶者控除と配偶者特別控除の要件のひとつに
・夫の合計所得金額が1,000万円以下であること(給与収入のみの場合1,220万円以下)
とありますが、これは所得金額によって3段階に変動します。

1段階目:
合計所得900万円以下
(給与だけの場合収入で1,120万円以下)→Aとします

2段階目:合計所得900万円超950万円以下
(給与だけの場合収入で1,120万円超1,170万円以下)→Bとします

3段階目:合計所得950万円超1,000万円以下
(給与だけの場合収入で1,170万円超1,220万円以下)→Cとします


段階別に、配偶者(特別)控除の金額を一覧にしたのが図表5です。
配偶者控除の金額

表から分かるように、妻の年収が103万円以下であれば配偶者控除、103万円を超えても150万円以下であれば、配偶者控除と同額の配偶者特別控除を受けることができます。

ただし、夫の年収がA(1,120万円以下)→B(1,120万円超1,170万円以下)→C(1,170万円超1,220万円以下)…と増えると控除できる金額が減っていき、年収1,220万円を超えると控除が受けられないということになります。

つまり、サラリーマンの夫の年収が1,220万円を超えている場合、妻の年収をどれだけコントロールしても配偶者控除も配偶者特別控除も使えません。税金上の扶養に関しては気にすることなく、妻は仕事を頑張ればいい、ということになります。一方、1,220万円以下の場合は、妻の年収を150万円以下に抑えることができるかがポイントになります。それを超えた場合は、段階的に控除額が少なくなるので気をつけましょう。

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社会保険料の負担を抑える妻の年収 ここに注目!

2つ目は「社会保険上の扶養」について解説します。

妻(夫)が社会保険上の扶養に入る(被扶養者になる)メリットは、妻(夫)が健康保険料や年金保険料を負担することなく国民年金や健康保険に加入することができることです。

妻が夫の社会保険で扶養に入るためには、要件を満たした上で、審査に通過する必要があるのですが、この要件の代表格が「年間収入130万円(月額108,334円)未満(妻が60歳以上または障害者の場合は180万円未満)」というものです。

この収入には、失業給付や健康保険の傷病手当金・出産手当金なども含まれます。また、税金計算上の扶養とは異なり、内縁関係でも扶養に入ることができます。

妻が被扶養者になれなかった場合、なんらかの公的保険に加入し、保険料を自己負担する必要があります40歳以上の妻が勤め先の社会保険(東京都協会けんぽ)に加入する場合、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料を合わせて概ね15%(※)です。年収130万円の妻が負担する社会保険料は約19万5,000円(130万円×15%)位になります(あくまで目安です)。

(※)協会けんぽhttps://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h31/h31ryougakuhyou4gatukara
より東京都の料率 健康保険料(介護保険第2被保険者)11.63%+厚生年金保険料 18.3%。従業員負担はその半額
社会保険に加入できないときに国民健康保険料+国民年金保険料を支払うケースもありますが、東京都練馬区在住の場合、年間約34万円(※)となります。

(※)妻35歳(2019年度)、年収130万円、東京都練馬区在住と仮定。国民健康保険料はお住まいの地域によって異なります。詳細が知りたい場合は自治体のホームページで確認またはお問い合わせください。

参考:
協会けんぽ 都道府県毎の保険料額表
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150
国民年金保険料(国民年金基金)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-02.html
練馬区役所 国民健康保険料の計算方法(2019年度)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/nenkinhoken/kokuminkenkohoken/hoken_hokenryo/keisan_hoho.html


たとえば税金計算上の扶養だけを意識して妻が年収150万円で働く場合、配偶者特別控除を受けることはできても、社会保険の扶養の要件である130万円を超えてしまうので、世帯の保険料負担が増えてしまうということが起こります。

つまり、税金計算上は扶養内、社会保険上は扶養外、ということにもなり得るということですので、2つの扶養を切り離して考える必要があることに十分注意してくださいね。

・大きな企業で働く場合は、「年収106万円」にも注意!

パートやアルバイトで働く時間が、正社員の労働時間(1日または1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数)の4分の3以上になると、社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)に加入することになります。正社員の労働時間を週40時間とすると、週30時間以上ということですね。

これに加え、以下の5つの要件をすべて満たすと、社会保険に加入するというルールが2016年10月からスタートしました。

・年収が106万円(月額88,000円)以上であること
・1週間あたりの労働時間が20時間以上であること
・1年以上働く見込みであること
・学生でないこと
・従業員数501人以上の企業に勤めていること

つまり、この要件を満たすとパート妻は社会保険上の夫の扶養には入れず、社会保険料を支払うことになります。ちなみに勤め先が複数の場合は、この要件は勤め先ごとに判断することになり、合算はしません。


・妻が社会保険に加入するメリット

妻が勤務時間や年収の基準で社会保険に加入することになった場合、給与から健康保険料や厚生年金保険料が差し引かれますから、手取りの収入はその分減ることになります。これは一見デメリットのように思えますが、長い目で見るとメリットが大きいともいえます。

<妻が職場で社会保険に加入するメリット>
・将来受け取る老齢年金が増える
・傷病手当金や出産手当金を受け取ることができる
・一定の基準を満たせば雇用(※)保険に加入でき、失業手当などを受け取ることができる

(※)雇用保険の加入要件:31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること
(厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html より)

意外と影響が大きい配偶者手当

勤務先によっては、夫に配偶者手当などの家族手当が給与として毎月支給されるケースがあります。

配偶者手当は税金や社会保険と直接は関係ありませんが、支給するかどうかの基準が「103万円」や「130万円」としているケースが多く、扶養内で働くことで配偶者手当が支給されることは家計にとって大きなメリットの1つといえます。仮に月に1万円支給されれば、年間12万円、10年で120万円にもなります。

国(人事院)の調査では、全体の77.9%の企業で家族手当制度があり、うち83.9%で配偶者手当が支払われているとの結果が出ています(※)。

(※)人事院 2018年職種別民間給与実態調査の結果より
https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/min30_index.html

扶養の枠を超えて働く場合、配偶者手当がカットされてしまうことによる家計への影響は意外と大きいです。
知らずに配偶者手当がカットされてしまうことのないよう、夫の勤務先の支給基準を確認しておくようにしましょう。

自分にとって理想の働き方は?

ここまで説明したとおり、税金や社会保険料の計算はなかなか難しく面倒ですね。
結局年収どのくらい働くのがいいの?…という人にとって考えるべきポイントを整理します。

・働ける時間が増やせない事情がある場合

子どもがまだ小さい、親の介護の合間に仕事がしたい、など、働く時間に制限がある場合や、仕事以外に優先したい事情がある場合には、夫の勤め先の配偶者手当の支給基準または社会保険に加入するライン(130万円または106万円)が労働時間の一つの目安になるでしょう。

仮に130万円までを目標に働く場合、1週間あたり25,000円(年間52週とした場合)。時給1,000円でしたら週25時間、1日8時間働くとしたら3日間程度となります。
この場合、妻は所得税と住民税*がかかりますが、夫は所得要件を満たせば配偶者特別控除の対象になります。

所得税:
(130万円―65万円(給与所得控除)-38万円(基礎控除))×5%=13,500円
住民税:
(130万円―65万円(給与所得控除)-33万円(基礎控除))×10%=32,000円

もし夫の勤務先の配偶者手当の支給基準が「103万円」をラインとしているのを理由に、103万円までを目標に働く場合は、同じ条件下で労働時間は週19時間くらいが目安になります。この場合は妻に税金はかからず、夫は配偶者控除を使うことができます。


・手取り年収が減るのがとにかくイヤな場合、働く時間をぐっと増やすのも一案

扶養のラインを超えることで、手取りの金額が減ることに抵抗があるのでしたら、上記のように働く時間を抑えるほかに、もっとたくさん働いて手取りを増やすのも一案です。

妻の年収によって、夫婦合算の手取り額がどう変わるのか、夫の年収が700万円のモデルケースでみてみましょう(図表6)。

このケースの場合、社会保険の扶養内の129万円の場合よりも、扶養のラインを超えた130万円で世帯手取りの金額が減りますが、160万円まで増えると129万円のときの世帯手取り金額を超えます。ここを目指せば、手取り収入ダウンをさけることができるということになります。

ただし、130万円を超えることで当面の手取りが減ったとしても、社会保険料を支払うことにより将来受け取る年金の金額が増えますから、長期間トータルで考えれば手取りのキャッシュはプラスになる可能性も高いのです。

主婦が働き方を考えるときには、当面の世帯の手取り収入を考えることももちろん大事なのですが、人生100年時代ですから、この先のキャリアプランや人間関係を充実させることに目を向けることも重要です。

将来に向けたお金のプランをしっかり立てた上で、詳細なシミュレーションを希望する人は、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談してみてくださいね。

※本ページに記載されている情報は2019年8月1日時点のものです

【参考文献】

国税庁ホームページより
家族と税 
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_2.htm
2018年度以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取り扱いについて
https://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/pdf/02.pdf


協会けんぽ
都道府県毎の保険料額表
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150

日本年金機構
従業員が家族を扶養にするときの手続き
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-01.html
健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html


人事院 2018年職種別民間給与実態調査の結果
https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/min30_index.html

岡田 のりか(おかだ のりか)

FPオフィス ナチュール

ファイナンシャル・プランナー<AFP>、米国公認会計士 会計事務所勤務・フリーの翻訳者(金融分野)を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。アラフォー妊活・出産の女性向けのマネープラン相談やコラム執筆を中心に活動中。 FPオフィス ナチュール代表