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【FP監修】外貨建て保険、おすすめできる人とできない人

生命保険のなかには、外貨で運用される「外貨建て保険」と呼ばれる商品があります。外貨建て保険とはどのようなもので、どのような人におすすめなのかを説明します。メリットや注意点を知って、加入した後で苦情やトラブルが起きないようにしましょう。

目次

外貨建て保険とはどんなもの?

私たちに馴染みのある生命保険は、保険料を日本円で払い込み、満期保険金や解約返戻金、死亡保険金は日本円で受け取ります。このような保険を「円建て保険」といいます。
一方、保険料を外貨で払い込み、満期保険金や解約返戻金、死亡保険金などを外貨で受け取る保険商品のことを「外貨建て保険」といいます。

外貨建て保険の商品は、一般的に日本円を外貨に交換して保険料を払い込み、保険金などを外貨から円に交換して受け取れるしくみになっています。実際には、契約者が自分で外貨に両替して保険料を振り込むわけではありません。円建て保険と同じように、日本円で振り込んだり、日本円の預金口座から口座振替で支払ったり、クレジットカード払いで支払ったりします。日本円で支払う保険料は、保険会社側で外貨に交換してくれます。保険会社は交換した外貨を海外の国債などで運用します(図1)。

外貨建て保険の種類には、終身保険、個人年金保険、養老保険があります。外貨の種類は、アメリカドル(以下、米ドル)かオーストラリアドル(以下、豪ドル)を選べるものが多く、なかにはユーロを選択できるものもあります。保険料の支払方法には、一時払いと平準払い(月払い、半年払い、年払いなど)があります。

保険料も保険金なども為替レートで変動する
外貨建て保険のパンフレットなどでは、保険料も保険金額も外貨で表示されています。例えば、米ドル建ての終身保険なら、保険料も保険金額も米ドルで記載されています。

仮に、毎月の保険料が40米ドルで保険金額が3万米ドルの米ドル建て終身保険があったとします。

毎月の保険料は40米ドルと決まっていても、保険料を日本円で支払う場合は、払い込むときの為替レートで日本円に換算するので、実際に日本円で支払う保険料はいつも同じとは限りません。例えば、保険料を支払うときの為替レートが1米ドル=100円なら4,000円、1米ドル=90円なら3,600円、1米ドル=110円なら4,400円となります。

保険会社の商品によっては、日本円で払い込む金額をあらかじめ一定額に決まっているものもあります。例えば、日本円で払い込む毎月の金額は1万円で、払い込んだときの為替レートで米ドルに交換します。もし為替レートが1米ドル=100円なら100米ドル、1米ドル=90円なら約111米ドル、1米ドル=110円なら90米ドルを払い込んだことになります。つまり、日本円で払い込む金額は毎月同じですが、実際は外貨建てなので毎回の保険料は変動していることになります。

米ドル建て終身保険の死亡保険金も解約返戻金も、日本円で受け取ることを選択した場合は為替レートが影響します。例えば、死亡保険金を米ドルで受け取る場合は3万米ドルですが、日本円で受け取る場合は、そのときの為替レートによって受取額が変わります。1米ドル=100円なら300万円、1米ドル=90円なら270万円、1米ドル=110円なら330万円となります。
つまり、外貨で受け取る場合の受取額は元本保証ですが、日本円で受け取る場合の受取額は元本保証とはならないのです。

外貨建て保険は、保険料を払うときに日本円→外貨に交換し、保険金などを受け取るときに外貨→日本円に交換すると、為替レートの影響を受けるため、日本円での受取額が払い込んだ保険料の合計額を上回る場合もあれば下回る場合もあるのです。これを「為替変動リスク」といいます。

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外貨建て保険のメリットと注意点

円建て保険にはない外貨建て保険のメリット、注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。

円建て保険にはないメリット
1.貯蓄性が高い
保険会社は契約者に対し、契約時に約束した保険金(死亡保険金や満期保険金など)を確実に支払えるように、さらには少しでも多く支払えるように、保険料の一部を積み立てて運用します。保険会社は、長期の国債などで安定した運用を目指しますが、債券の金利が高ければ高いほど得られる利息額は大きくなります。円建て保険は、基本的に日本国債で運用し、外貨建て保険は、契約したときの通貨をその国の国債で運用します。

現在の日本国債の金利はとても低く0%台ですが、アメリカ国債であれば2%以上、オーストラリアの国債でも1%以上の金利差があり、日本国債と比べると金利は高い水準にあります。この金利差の分、外貨建て保険は円建て保険に比べ運用から得られる利益が多くなります。

保険料の一部が運用されているので、そこから得られる利益が多いということは、将来受け取れる保険金や解約返戻金の金額が多くなります。外貨建て保険は、外貨で保険金や解約返戻金を受け取った場合、その受取額は円建て保険に比べると多くなるので、貯蓄性が高いのです。

2.保険料が割安
保険会社はあらかじめ運用による一定の運用収益を見込み、その分の保険料を割り引いて保険料を設定します。この割引率を予定利率といいます。運用収益が高ければ高いほど、予定利率を高くすることができるので、その分保険料は安くなります。反対に、運用収益が低いほど予定利率は低く、保険料は高くなります。

外貨建て保険と円建て保険を比べると、外貨建て保険は日本国債よりも金利の高いアメリカ国債やオーストラリア国債で運用するので、円建て保険よりも運用収益を見込めます。その分、予定利率が高く設定されていますので、保険金額が同じであれば、外貨建て保険は円建て保険よりも保険料が安くなります(表1)

現在の為替レートが1米ドル=約108円であることを考慮し、米ドル建て終身保険の払込保険料を1米ドル=108円で計算すると、日本円で払い込む保険料は19,030円となります。参考までに、円建て終身保険の月払保険料を上回る為替レートがいくらかを計算すると、1米ドル=約152円(26,760円÷176.20米ドル)です。

3. 保険として貯蓄や保障を得ながら外貨で運用できる
外貨建て保険は貯蓄や保障を目的とした保険ですが、為替リスクがあることと保険料の一部を外国の国債で運用することから、投資性の強い保険といえます。投資商品としては外貨預金がありますが、これは資産を外貨に分散しながら日本円と外貨の金利差による利益を得るためのもので、保険機能はありません。投資商品としては、外貨預金の他にも投資信託もありますが、これも資産運用を目的とした金融商品で保健機能はありません。

外貨建て終身保険のように死亡保険金が受け取れる商品は、保険料の払い込みが終了する前に契約者が亡くなったとしても、契約時点で定めた保険金を受け取ることができます。保険として貯蓄や保障を得ながら、資産を外貨に分散し運用していることになるのです。また、外貨建て終身保険は、生命保険料控除が受けられますし、外貨建て個人年金であれば、一定の条件を満たせば個人年金保険料控除が受けられます。

4.円安になれば受取額が増える
仮に保険料が1万米ドルで保険料の払込方法が一時払いの米ドル建て終身保険に加入したとします。保険料を払い込んだときの為替レートは1米ドル=100円で、保険期間の途中で解約することになり、日本円で受け取ることにしました。解約返戻金は保険料相当額が返ってくると仮定し、そのときの為替レートは1米ドル=110円としましょう。日本円に換算すると、払い込んだ保険料は100万円で、解約返戻金は110万円です。このように、米ドルに対する日本円の価値が、保険料の払い込み時点よりも受け取り時点に下がることを「円安」といいます。

為替レートの変動により、保険料を払い込んだ時点よりも受け取る時点のほうが円安になっていると、受取額は増加します。

外貨建て保険の注意点
1.円高になると受取額が減る
外貨建て保険は、メリット4とは反対のことが発生する可能性があります。メリット4でとりあげた例をもとに、その可能性を考えてみましょう。

保険料が1万米ドルで保険料の払込方法が一時払いの米ドル建て終身保険に加入したとします。保険料を払い込んだときの為替レートは1米ドル=100円で、保険期間の途中で解約することになり、日本円で受け取ることにしました。解約返戻金は保険料相当額が返ってくると仮定し、そのときの為替レートは1米ドル=90円としましょう。日本円に換算すると、払い込んだ保険料は100万円で、解約返戻金は90万円です。このように、米ドルに対する日本円の価値が、保険料の払い込み時点よりも受け取り時点に上がることを「円高」といいます。

為替レートの変動により、保険料を払い込んだ時点よりも受け取る時点のほうが円高になっていると、受取額は払い込んだ保険料を割り込んでしまうのです。とはいえ、途中で解約したり、保険金などを受け取るときに円高になっていたとしても、外貨のまま受け取ったり、円安になるまで積立金を据え置き、タイミングをみて日本円に交換したりすれば、円高の影響を避けることができます。

為替変動リスクを低減する方法
もし、保険料の支払方法を一時払いにして日本円で支払う場合、保険料は払い込む時点の為替レートで確定します。そのため、保険金などを日本円で受け取る予定の人は、受取額が保険料を下回らないようにするために、今後の為替レートが円高と円安のどちらに推移するのか動向を見極めて契約のタイミングを考える必要があります。

しかし、為替レートは常に変動していて、10年先、20年先の為替レートを予測することは非常に困難です。そこで、平準払いも検討してみましょう。平準払いは保険料を支払うときの為替レートが毎回適用されるため、保険料は毎回変動します。この仕組みを用いることで、一時払いと比較すると為替変動リスクを抑えられます。

例えば、図2のように保険料50,000円分を一時払いにする場合と、平準払いにする場合を考えてみます。平準払いは一定額の米ドルで継続して購入する場合と、一定額の日本円で継続して購入する2つのパターンとします。平準払いで5回目の保険料を払い終えたときの米ドルの購入価格を比較してみます。
支払方法が一時払いの米ドルの購入価格は1米ドル=100円です。支払方法が平準払いの2つのパターンは、1米ドルの平均購入価格が1米ドル=約98円です。この後も為替レートは円高や円安に振れながら時間が経過していきますが、最終的には保険金などを受け取る時期がやってきます。そのときの為替レートが大きく円高に振れていたり、円安に振れていたりした場合、一時払いは為替変動リスクが大きくなりますが、平準払いは米ドルを平均購入価格で購入しているので、為替変動リスクが小さくなっているというわけです。
為替レートの変動幅を抑える方法

2.諸費用がかかる
・為替手数料
外貨建て保険は、保険料を日本円から外貨に交換して払い込んだり、保険金などを外貨から日本円に交換して受け取ったりする場合、為替手数料が発生します。為替手数料は、保険会社によって異なります。為替手数料は、一般的には保険料や保険金・解約返戻金に含まれていて別途支払うわけではありません。そのため、為替手数料を支払っていることを実感しづらいのですが、交換する度に発生することは知っておきましょう。

・その他の諸費用
外貨建て保険は、為替手数料以外にも、契約するときや契約期間中、解約・減額時などにも次のような費用がかかります。
外貨建て保険にかかる主な費用

外貨建て保険は、貯蓄性が高い商品であるとはいえ、仮に保険料を払い込んだときの為替レートと保険金などを受け取る時の為替レートが全く同じだった場合、諸費用が発生することによって、受取額が払い込んだ保険料の合計額を下回る可能性があることも知っておきましょう。

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苦情やトラブル発生とならないために

一般社団法人生命保険協会の「外貨建て保険・年金に係る苦情受付件数」によると、苦情件数は年々増えていて、苦情の発生率は徐々に減ってきています(表1)。つまり、外貨建て保険を魅力的な商品だと感じて契約する人は増えているものの、契約者のなかには、必ずしも商品の注意点を十分に理解してうえで選んだとはいえない人もいるということです。

苦情やトラブルとなりやすいのは、為替レートの変動を受けやすい一時払いの外貨建て保険ですが、資産形成をしていく現役世代には一時払いの外貨建て保険は向いていません。外貨建て保険のメリットや注意点を十分に理解したうえで加入し、保険料の支払方法は平準払いとすれば、苦情やトラブルに繋がりにくいはずです。

外貨建て保険をおすすめできる人、できない人

これまでの説明から、外貨建て保険をおすすめできる人、できない人は次のとおりとなります。

外貨建て保険をおすすめできる人

・投資目的の保険を保有しておきたい人
・資産を外貨に分散して運用したい人
・海外赴任などで外貨預金口座に米ドルや豪ドルがある人
・海外旅行や海外留学、海外移住などの予定がある人


将来のための貯蓄や保障のために運用したいけれど、投資信託は避けたいと考える人は、外貨建て保険の加入が選択肢となります。資産を日本円だけで持つのではなく、外貨も持つことによって資産分散したい人も、外貨建て保険を検討してもよいでしょう。

また、既に外貨を保有していて外貨で保険料の支払いをすることができる人や、将来は海外で外貨を使いたいと考えている人にも向いています。なぜなら、このような人は為替レートの変動による影響が受けにくいからです。


外貨建て保険をおすすめできない人

・為替変動リスクがよくわからない人
・絶対に元本割れしたくない人
・加入しても一定期間内に解約や減額をするかもしれない人


保険料を日本円で払い込み、保険金などを日本円で受け取る場合は、為替変動リスクが発生します。このことがよくわからない人は、外貨建て保険を十分に理解できているとはいえないので、加入しないようにしましょう。また、一定期間内に解約や減額をするかもしれない人は、解約控除がかかるため保険料の積立がほとんどできていない状態となってしまう可能性があります。早期に解約や減額をするかもしれない人は、為替変動リスクを十分に理解できていたとしても、外貨建て保険の加入はよく検討するようにしましょう。

高い金利が魅力的な外貨建て保険ですが、商品内容や為替変動リスクをしっかりと理解することが大切です。そのうえで、外貨建て保険に加入する目的は何かを考え、賢く活用していきましょう。

自分の将来のこととはいえ、一人で考えていて煮詰まってしまったときは、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみましょう。FPに相談すると、外貨のリスクを丁寧に説明してくれたり、外貨建て保険に向いているかどうかも一緒に考えくれたりします。また、貯蓄方法や保障の備え方、資産形成の方法などについて、自分に合った方法を具体的にアドバイスしてくれます。FPを活用して、いまも将来も安心して過ごし、ライフプランを実現できるようにしていきましょう。

※ 本ページに記載されている情報は2019年7月29日時点のものです

【参考文献】
一般社団法人生命保険協会「生命保険各社の苦情受付情報・保険金等お支払情報について」
https://www.seiho.or.jp/member/complaint/

中山 弘恵(なかやま ひろえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、定年力アドバイザー、相続手続カウンセラー 年間150回を超えるセミナー・研修、年間80回を超える個別相談、生活に関わるお金や制度をテーマにした執筆業務に従事。「わかりやすく丁寧なセミナー」「安心しながら気軽に話せる相談相手」「ストレスなく読み進められるわかりやすい文章」として定評がある。