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「初めての相続相談」いつ、誰に、何を相談すればいい?

相続の相談と聞くと、自分には関係ないと思っている人は多いかもしれません。しかし、いざ相続が発生したときに「もっと前に知っておきたかった」と後悔したという話も耳にします。相続について、いつ、誰に、どんなことを相談しておくと良いのでしょうか?

目次

相続対策は資産家だけの悩み?

「うちは資産家ではないから大丈夫」と思うか人も多いかもしれませんが、相続は配偶者や子ども、その他関係者になれば誰にでも発生するものです。なぜなら、人の死亡率は100%だからです。例えば相続税は発生しなくても、親の遺産の分け方で揉めることがあるかもしれません。相続人の折り合いがよくない場合には、当事者間で解決することができないこともあります。その場合、最悪にも裁判に発展する可能性もあるのです。下の図は(遺産分割事件※)における遺産価額と件数の割合です。
※遺産分割事件:相続の争いで裁判所に持ち込まれたもの

上の図では、約75%が遺産額5,000万円以下で、そのうち32%は1,000万円以下と全体の1/3を占めています。1,000万円の遺産には相続税はかからないことから、相続の問題は資産家だけの問題ではないと言えるのではないでしょうか。最高裁判所の司法統計年報によると遺産相続(分割)に関して全国の家庭裁判所が取り扱った事件の数は、2017年度では1万2,166件です。年間の死亡者数(2017年)は約123万人ですから、亡くなられた方の約100人に1人(約1%)は争族(遺産相続をめぐって親族同士が争うこと)へと発展していることがわかります。

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相続の基本を理解しよう

ここでは相続の基本についてお話ししましょう。相続とは、亡くなった人の財産を特定の人が引き継ぐことです。

相続財産にはどんなものがある?
亡くなった人の財産を遺産と言いますが、具体的には次のようなものが挙げられます。

上記以外で仏壇・お墓・香典なども相続財産になりますが、相続税はかかりません。

相続税はいくらからかかるの?
遺産を受け継ぐとき、相続税がかかることがあります。相続税は遺産から基礎控除や非課税財産などを差し引いた残りの金額に課税されます。課税される遺産総額は以下の通りに計算を行います。

上記の通り計算を行った後は、いったん法定相続分で分割したものと想定し、法定相続人の法定相続分ごとに相続税の計算を行います。最後に合算した金額が相続税です。以下が相続税の速算表になります。

難しいと思われるかもしれませんが、押さえておきたいポイントは、相続税がかかるか?です。目安として、以下を参考に基礎控除額を計算してみましょう。基礎控除額を超える遺産があると相続税がかかる可能性があることを知っておきましょう。

 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円×法定相続人)

相続税がかかる場合には、税額を抑えるために、生前対策の相談をした方がいいと思うかもしれません。そのためにも相続税がかかるかどうかは最低限把握しておきたいところです。

相続財産の分け方
冒頭で遺産分割事件についてお話ししましたが、遺産の分け方は主に3つの方法があります。

分割協議を行うときに遺産の分け方について相続人同士で揉めると、遺産分割事件の裁判に発展する可能性が高いことを覚えておきましょう。

どんな時に相続の相談が必要なの?

相続を初めて経験する場合、「いつ」「誰に」「何を」相談すればいいのかわからないこともあるでしょう。

相続の相談をするタイミング 「いつ」
相続の相談は主に相続発生前と相続発生後に分けて考えてみましょう。
相続発生前に行うことは生前対策と言います。対策を行うことで残された家族の負担を減らすこともできます。
例えば、以下のことが考えられるときには、相談することを検討しましょう。

・相続税がかかりそう
・残された家族が揉めそうなので心配
・認知症や知的障害など意思能力がないと判断された相続人がいる
・将来、認知症になるかもしれないと不安がある

このような場合、対策をしておかないと、相続発生後には手遅れとなる可能性が高くなると知っておきましょう。

また、相続発生後に不明なことがある場合には、できるだけ早く相談をした方がいいでしょう。というのも、相続に関わる手続きには期限が決められているものがあるのです。

各手続きの説明は割愛しますが、これらは期限内に行う必要があり、知らずに不利益を被るというのも避けたいところです。疑問に思うことが少しでもある場合には、専門家へ相談しておくことが重要です。

相続の相談「誰に」「何を」すればいいの?

相続の相談をしたいと思っても、相談を謳っている専門家や業者も多数あり、実際どこに相談をすればいいのか迷われることでしょう。それぞれの相談先と業務の目安を一覧表にしましたので、参考にしてください。

弁護士への相談
弁護士は、法律のプロです。相続業務で司法書士と重なる部分がありますが、大きな違いは弁護士には代理権があることです。具体的には、相続人の代理人として遺産分割協議を進めることができること、相続放棄の申し立てができることです。また、訴訟代理権と言われる裁判の代理権があり、遺言無効訴訟を起こすことができます。弁護士は、相続のトラブル解決を依頼できる最高のパートナーと言えます。なお、司法書士が行うのは、書類作成の代理です。揉めた際には弁護士へ依頼することになるため、重なる業務であっても両者では行うことができる範囲は異なります。

税理士への相談
税理士は税金の専門家です。相続相談の中で、相続税申告をできるのは税理士だけです。例えば、相続税を計算する上で、相続財産の評価や相続税を減額するための相談ができます。
相続税の申告には10カ月という期限が決められていますので税理士に依頼することで安心できるのも大きなメリットです。

司法書士への相談
司法書士は、不動産登記の専門家です。相続により、土地や家屋の所有者が移転した時の所有権移転登記を行います。例えば、相続した不動産を売却して現金で分けたいときには、名義を一旦相続人に変更後、売却先の名義にといずれも不動産登記が必要になります。その際、司法書士への依頼が必要です。
また、遺言書に関して、遺言書作成・遺言執行者の依頼、遺言書の検認を裁判所へ申し立てる際に必要な書類作成を依頼できます。他に、遺産分割協議書の作成、裁判所へ申し立てる相続放棄のための書類作成も依頼できます。
相続財産に不動産がある場合、手間のかかる不動産手続きをスムーズに行ってくれることが、司法書士へ相談する大きなメリットです。

行政書士への相談
行政書士は、書面作成の専門家です。相続については遺言書や遺産分割協議書の作成が主な業務になりますが、これらは弁護士や司法書士の業務と重なります。
また、自動車や株式などの名義変更を依頼できます。平日は仕事で動けない会社員などは依頼するメリットが大きいと言えます。

以上、相続の専門家に相談できることを見てきましたが、相談内容によって相談先が違うことがおわかりでしょう。行政の広報紙などに、弁護士・税理士など専門家の無料相談が掲載されていますが、そもそも自分の場合は何が問題で誰に相談したらいいのかわからない場合もあるかと思います。
そんなときに頼りにできるのが相続診断士・相続士など民間資格を持つ相続の専門家やFPです。
そもそも、弁護士・税理士など士業の専門家ではありますが、相続を得意とするかは別の話です。また、自力で相続分野に強い士業を探すのは時間や手間もかかるものです。そこで相続分野に明るいFPや相続診断士・相続士に相談することで必要な士業につないでもらうことも有効な選択と言えます。
その際のポイントは、依頼するFPや相続診断士・相続士が相続分野の士業とチームを組んでいるかです。また、ヒアリング能力が高いことも押さえたいポイントです。例えば、総合病院を訪れた時に、的確に症状を聞きとり、内科や外科など最適な診療科へ割り振ってくれる人をイメージしてください。いくら優秀な医師でも自分の疾病の専門外では意味がありません。相続相談は長期間の付き合いになることも想定されますから、円滑にコミュニケーションをとれるかも期待したいところです。初回無料としている相続相談もありますから、まずは試しに相談してみるのもいいでしょう。

※本ページに記載されている情報は2019年7月24日時点のものです

【参考文献】
・裁判所・司法統計 家事・平成29年度 第44表 遺産分割事件数-終局区分別-家庭裁判所別
・裁判所・司法統計 家事・平成29年度 第52表 遺産分割事件のうち認用(を除く)—遺産の内容別

三原由紀

ファイナンシャル・プランナー、公的保険アドバイザー、相続診断士<br> 大学卒業後、食品会社・外資系メーカーに勤務。子どもの小学校入学を機に保険代理店でパートを開始、FP資格を取得。「無知はリスク(知らない=損をしていることもわからない)」を実感、自らの家計を再生する。主婦目線でのコラム執筆に定評あり。行政でのセミナー講師から会社員世帯への家計相談、障害者の家族をサポートする相続相談まで、保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。「確定拠出年金相談ねっと」認定FP。