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FPが教える「幸せな老後の一人暮らし」に必要な備えとは?

「老後も楽しく幸せな一人暮らしをするには、どのくらい貯金しておくといいの?」「老後資金の準備には、どのようなことに注意するといいの?」今回は、おひとりさま女性が、幸せな老後にたどり着くために知っておきたい備えについて説明します。

目次

老後の生活費として貯金しておきたい金額の目安

老後の生活費として貯金しておきたい金額は、次の式で計算することができます。


(「老後に入ってくる収入」 ― 「老後に出て行く生活費」)× 老後の期間


「老後に入ってくる収入」と「老後に出て行く生活費」にはどのようなものがあり、老後の期間は何年に設定するとよいのかについて見ていきましょう。


老後に入ってくる収入
(1)公的年金
老後に入ってくる主な収入源は年金です。30歳代、40歳代の女性は、現在の年金制度では65歳から年金が受け取れます。

厚生労働省が発表している「平成29年度(2017年)厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現役のときに会社員だった女性が受け取れる平均年金月額(老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計)は103,026円です。つまり、1年間に受け取れる年金額は約124万円となります。しかし、受け取れる年金額は、現在の職業や勤続年数、年収だけでなく、過去や将来の働き方や年金制度への加入年数などによって、1人1人まったく異なります。だからこそ、自分の年金額の目安を知って、将来に備えることが必要なのです。

将来の年金受給額はいくら?月にもらえる額を増やす方法とは…

自分の年金額を試算する方法として、日本年金機構の「ねんきんネット」があります。「ねんきんネット」の年金見込額試算では、これまでの年金制度への加入実績をもとに、今後の職業などの試算条件を設定し、年金見込額を試算することができます。
ただし、「ねんきんネット」を利用するためには、「ねんきん定期便」に記載されているアクセスキーでログインするか、利用登録が必要です。アクセスキーの有効期限は「ねんきん定期便」が到着してから3カ月後までなので、気づかないうちに有効期限が切れていることがあります。アクセスキーの再発行を依頼する場合やアクセスキーを使わず利用登録する場合は、基礎年金番号の入力が必要になります。年金手帳があれば基礎年金番号はわかりますが、年金手帳は勤務先に提出している、どこに保管したか覚えていないなどの理由で、ログインまで辿り着かない人は少なくありません。

そこで、自分の年金額を概算する方法をお伝えします。まず、20歳~60歳までの40年間、国民年金保険料を納めると、65歳から老齢基礎年金が受け取れます。2019年度の1年間の年金額は780,100円です。次に、会社員は厚生年金に加入しているので、65歳から老齢厚生年金が受け取れます。老齢厚生年金の年金額は、次の計算式で求めます。


 入社してから退職するまでの平均年収(賞与込み) × 勤続年数 × 0.005481

(注1)今回は老齢厚生年金の目安を知ることが目的のため、賞与込みの平均年収を用いる こととします。標準報酬月額が62万円、賞与が1回150万円を超える場合はそれが上限となります。


例えば、現役のときの平均年収が300万円、大学を卒業し23歳~65歳まで働くとします。この場合の老齢厚生年金の概算は、次のとおりです。

 300万円 × 42年 × 0.005481 = 約69万円

老齢基礎年金約78万円と合わせると、65歳から受け取れる年金額の合計は約147万円となります。


(2)勤労収入
65歳からもらえる年金以外の収入には、勤労収入があります。現在、60歳定年を採用している会社が多いものの、内閣府「令和元年(2019年)版高齢社会白書」によると、女性の就業者の割合は、60〜64歳で56.8%、65〜69歳で36.6%となっています。さらに、70〜74歳の女性の就業者の割合は23.1%となっています。このうち、非正規で働く人が、60〜64 歳で77.1%、65〜69歳で83.3%、70歳~74歳で82.5%となっています。

つまり、65歳までは、女性のうち2人に1人が働くことを選択していて、そのうち5人に4人は、非正規で働いていることになります。65歳以降になると、働いている女性は徐々に少なくなるものの、非正規で働いている女性がいるということです。

では、どのくらいの勤労収入があるかというと、国税庁「平成29年分(2017年)民間給与実態統計調査」では、60歳代前半の女性の平均給与は232万円、60歳代後半で203万円となっています。

勤務先から受け取る給与は、自分ではコントロールできませんが、いつまで働くのかは自分で決められます。健康であってこその勤労収入なので、60歳以降も働いているケースと働いていないケースの勤労収入を計算しておくようにしましょう。

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(3)その他の収入
年金と勤労収入以外に、企業年金や個人年金保険、不動産による収入などが見込めるようであれば、それらも収入に加えます。

老後に出て行く生活費
60歳以降も元気であれば、老後に出て行く生活費は、基本的にはいまと同じです。しかし、60歳以降になると勤労収入が今よりも少なくなる可能性があるので、節約生活を送ろうと考える人もいるでしょう。また、健康に不安がある人は、活動範囲が狭くなることで生活費が少なくなるかもしれません。老後の生活費については、現在の生活費を基準に、どのような生活になりそうかを想像して試算してみましょう。

老後の生活費はいくら必要?しあわせな老後生活への心構え

老後の期間
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2019年版)」によると、2040年には、そのときに65歳になる女性の平均余命(注2)は26.48年となっています。
(注2)ある年齢の人が、その後何年生きられるかという期待値

つまり、いま30歳代、40歳代の女性が老後を迎える頃には、92歳頃まで生きる人が多いということです。また、厚生労働省の発表資料では、2045年に65歳を迎える1980年生まれの女性(現在39歳)は、5人に1人が100歳まで長生きする見込みがあるとしています(厚生労働省年金局「雇用の変容と年金」)。

老後の期間は、長ければ老後の期間は40年にもなります。元気であれば、楽しむ時間がたくさんあります。その分、使うお金も必要になると考えられます。

老後の生活費として準備しておきたい金額の例
今回は、65歳まで働き、老後にかかる生活費は、総務省「家計調査報告(家計収支編) 2018年(平成30年)」の調査結果(表1)を用いて、老後の生活費として準備しておきたい金額の計算をします。

老後に入ってくる収入
(1)年金とその他の収入の手取り額:表1の60歳以上の可処分所得11万933円×12カ月分=約133万円
(2)勤労収入の手取り額:232万円(60歳代前半の女性の平均給与)×80%(※3)=約186万円


(注3)・可処分所得とは、年金やその他の収入などから所得税、住民税、社会保険料を差し引いた金額のことで、いわゆる手取り収入です。表1の可処分所得は無職単身世帯の数字のため、年金とその他の収入の手取り額とします。
・平均給与の80%を可処分所得とします。


60歳~64歳までの手取り収入:(2)のみ 約186万円
65歳以降の手取り収入:(1)のみ 約133万円


老後に出て行く生活費
老後を迎えても、元気なうちは現在の生活費とほとんど変わらない人は多いものです。そのため、今回は、生活費を70歳未満と70歳以上の2段階で考えることにします。

60歳~69歳 :表1の35歳~59歳の消費支出18万9,583円×12カ月分=約227万円
70歳以上   :表1の60歳以上の消費支出14万9,603円×12カ月分=約180万円

老後の生活費として準備しておきたい金額
(「老後に入ってくる収入」 ― 「老後に出て行く生活費」)× 老後の期間

60歳~64歳 (約186万円 ― 約227万円)×5年 = 約-205万円
65歳~69歳 (約133万円 ― 約227万円)×5年 = 約-470万円
70歳~30年 (約133万円 ― 約180万円)×30年 =約-1,410万円

以上の計算から、老後の生活費として貯金しておきたい金額は約2,085万円となります。

持家?賃貸?住む場所で変わる老後資金

総務省「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)」の調査結果によると、一人暮らしをしている65歳以上の女性の持家率は85.2%です。

持家がある
家を購入している人(住宅ローン完済)や老後は実家で暮らす予定の人は、10年から15年ごとにリフォーム費用を見込んでおきましょう。
リフォーム費用は工事の内容や業者によって様々で、20万円未満でできるものもあれば、300万円を超えるものもあります。国土交通省が行った調査によると、外装工事やシステムバスの交換(マンション)であれば、50万円から100万円価格帯となっています(国土交通省「リフォームの内容と価格について」)。
老後の期間を40年とすると、少なくとも300万円程度はリフォーム費用として備えておくとよいでしょう。


賃貸住宅に住む
賃貸住宅に住むことを考えている人は、住居以外にかかる費用とのバランスを考えて、家賃は手取り収入の30%未満に抑えておきたい
ものです。65歳以降の手取り収入が約133万円と考えると、生活費以外に毎月の家賃は3万円から4万円程度かかると考えましょう。

介護はどこで受けるか
いつかは、介護が必要になるかもしれません。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査 平成30年度(2018年度)」によると、自宅で介護にかかった費用は、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7.8万円となっています。また、介護期間は平均54.5カ月(4年7カ月)となっています。これらから、自宅で介護を受けるには、介護費用として、少なくとも約425万円程度を備えておくとよいことになります。

介護期間を考えるにあたり、内閣府「令和元年(2019年)版高齢社会白書」をみると、女性の健康寿命(日常生活に制限のない期間)は、平成28(2016)年時点で74.79年となっています。そのときの女性の平均寿命は87.14年なので、平均寿命と健康寿命の差は12.35年です。女性は介護が必要な期間が12年間あると考えておいた方がいいということになします。実は生命保険文化センターの調査結果でも、介護をしたことがある人のうち14.5%の人が、介護期間は10年以上と答えています。余裕をもって介護費用を準備できるのであれば、介護期間は10年~12年と考えて計算しましょう。

自宅で介護を受けるのではなく、サービス付高齢者住宅や有料老人ホームなどの高齢者施設に住まいを移すことも考えられます。入所後にかかる月額利用料は、施設の建設にかかった費用や周辺の家賃相場にも影響を受けるため、設備や地域によって大きく異なります。公益社団法人全国有料老人ホーム協会の調査によると、サービス付高齢者住宅の敷金の額は、10 ~15万円を中心に分布していて、全体平均は約16万円、月額利用料の合計額は約13万円となっています。

月額利用料の内訳は、基本的に、居住費(家賃)、管理費(水光熱費含む)、食費、施設介護サービス自己負担額です。老後を賃貸住宅で過ごす予定の人は、平均的なサービス付高齢者住宅や有料老人ホームなら、賃貸住宅とそれほど大きく金額は変わりません。一方で、持家がある人は、家賃の分だけ多くかかるということになります。

幸せな老後にはいくら必要?

内閣府が行った「国民生活に関する世論調査<平成30年(2018年)6月調査>」で、今後の生活において、特にどのような面に力を入れたいかという質問に対し、60歳以上の女性は「食生活」を挙げた人の割合が最も高く、次に「レジャー・余暇生活」となっています。


60歳~69歳の女性 「食生活」37.5% 「レジャー・余暇生活」34.9%
70歳以上の女性  「食生活」39.3% 「レジャー・余暇生活」20.4%


もう少し詳しく調査結果をみると、70歳以上の女性は「レジャー・余暇生活」の割合が下がっています。70歳以上になると、健康に自信がない人が増えてくるため、行動範囲が徐々に狭くなってくることが原因と考えられます。それと同時に、70歳以上の「食生活」の割合が上がっています。年齢を重ねると、健康で長生きすることに目が向くからでしょう。

今後の生活において、「これからは心の豊かさか、まだ物の豊かさか」という質問に対しては、どの年代の女性も「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と答えています。「これからは心の豊かさ」と答えた60歳~69歳の女性は70%、70歳以上の女性は65.7%となっています。10人中7人は、モノ消費よりもコト消費にお金をかけたいと考えているという結果となりました。

では、どのくらいの金額をコト消費に使っているのでしょうか。日本生産性本部「レジャー白書2018」によると、余暇活動に使った金額の上位3種目は、「海外旅行」「国内旅行」「クルージング」となっています(表2)。海外旅行は1回当たりの費用(16万3,600円)・年間平均費用(32万7,200円)ともに1位です。

旅行やレジャー以外にも、現役のときにはなかなかできなかった趣味や教養として、習い事をしたいと考えるようになるかもしれません。

「老後なんてまだ先のこと」と捉えるのではなく、いまから「どんなことをしていたいか」を少しずつ考えていくと、楽しく幸せな老後を過ごすために準備しておく金額が見えてきます。

仮に、習い事が月1万円とし、海外旅行と国内旅行には、年に1回ずつ行くとしましょう。表2をもとに計算すると、年間で31万円、1カ月に換算すると、余裕資金として毎月3万円程度は見ておきたいところです。

老後資金をシミュレーション!自分に必要な備えはどのくらい?

収入は少なめ、支出は多め

一人暮らしをする女性が、老後の生活費のために貯金しておきたい金額は約2,000万円という結果になりました。住まいを賃貸で考えるなら、老後の住居費はしっかりと準備しなくてはいけません。介護費用がかかる可能性も考えておきましょう。もし介護期間が短ければ、備えておいたお金は楽しい老後を過ごすためのレジャー費や余暇活動費に使うことができます。

「幸せな老後の一人暮らし」は人それぞれ異なります。自分らしい幸せな老後を迎えるためには、このまま一人暮らしをするとしたら「何にいくらお金がかかるか」「どんな生活をしたいのか」「いつまで、どこで、どんな働き方をしたいのか」など、将来を想像してみて、頭に浮かんだイベントや金額を書き出してみましょう。

老後を迎えるまでに貯めておきたい金額は、「収入は少なめ、支出は多め」で計算するのがポイントです。

自分の将来のこととはいえ、一人で考えていて煮詰まってしまった場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみましょう。FPは、将来の年金受け取り予想額をシミュレーションしてくれたり、ライフプランが実現できるよう、不足額を補うための解決方法や賢い資産形成の方法を具体的にアドバイスしてくれたりします。いまも将来も安心して過ごせるように、FPを活用して、気になることやわからないことなどを解決していきましょう。


※本ページに記載されている情報は2019年6月25日時点のものです

中山 弘恵

年間150回を超えるセミナー・研修、年間80回を超える個別相談、生活に関わるお金や制度をテーマにした執筆業務に従事。「わかりやすく丁寧なセミナー」「安心しながら気軽に話せる相談相手」「ストレスなく読み進められるわかりやすい文章」として定評がある。