あなたはリバースモーゲージに向いている?利用する前にメリットとリスクを知ろう | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

あなたはリバースモーゲージに向いている?利用する前にメリットとリスクを知ろう

あなたはリバースモーゲージに向いている?利用する前にメリットとリスクを知ろう

近年、高齢者の生活を支える手段として、自宅を担保に融資を受ける「リバースモーゲージ」に関心が高まっています。リバースモーゲージとはどういうものなのでしょうか。リバースモーゲージを利用する前に、その仕組みや特徴をしっかりと理解しておきましょう。

目次

■リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、所有している自宅を担保にして、そこに住み続けながら融資を受けるローン商品の一種です。金融機関や地方自治体の社会福祉協議会などが取り扱っています。契約が可能な年齢は、55歳以上か60歳以上としているところが一般的です。利用者は、融資限度額の範囲で、必要なときにその都度あるいは年金形式で定期的に融資を受けられます。融資機関によっては、年金形式のみとしているところもあります。

利用者が亡くなると、融資機関が利用者の自宅を売却し、一括返済するという仕組みです(生存中に随時返済することも可能)(図1)。通常、配偶者がいる場合、契約時に条件を満たす配偶者(年齢50歳以上など)であれば、夫婦のどちらかが亡くなった後に、配偶者が引き続き契約を引き継げるようになっています。そして、配偶者が亡くなった後に自宅を売却して返済します。相続人となる子どもなどが一括返済することで、自宅を売らずに相続することも可能です。

担保物件の価値と融資限度額
多くの融資機関は、リバースモーゲージの対象物件を戸建て住宅(土地+建物)としています。融資機関が重要視するのは、担保物件の価値です。建物は担保評価が難しく、かつ築年数とともに価値が低くなることが多いため、評価の対象外としている融資機関が大半です。つまり、担保の対象となるのは土地といえます。

ただし、土地の価値は不動産市場の状況によって変化するため、各融資機関は担保物件の時価をもとに、独自の方法によって担保物件の評価額(担保評価額)を設定します。さらに、融資限度額は担保評価額の50%~70%とすることが一般的です。たとえば、自宅の土地の時価が2,000万円で担保評価額が1,400万円の場合、融資限度額は、700万円~980万円(金利負担分を除く)と考えられます。また、融資機関は、担保評価額や融資限度額を定期的に見直すため、それらの金額が変動することも知っておきましょう。
担保物件をマンションも可能としている融資機関もありますが、築年数や駅からの距離、交通の便などが良い資産価値の高いマンションに限られるのが一般的です。

リバースモーゲージの返済方法
リバースモーゲージの返済方法は2パターンあります(図2)。利息は毎月元金に組み入れられ、元金と利息を契約終了時に一括返済する利息元加方式と、利息は毎月返済し、元金は契約終了時に一括返済する利息利払方式です。利息元加方式は、契約期間中の返済負担がないため、日常の負担感は少なくてすみます。ただし、追加の借入がなくても借入残高が増加していきます。利息利払方式は、毎月利息は払うものの借入残高が膨らむことを防ぐことができます。返済方法の選択は、融資機関によって異なります。2つの返済方法を選択できるところもあれば、もともと返済方法が決まっているところもあります。

資金の使いみち
融資を受けた資金の使いみちは、融資機関によって異なります。リバースモーゲージの種類は大きく3つに分けられます。

①金融機関が独自に提供するリバースモーゲージ
金融機関が独自のリバースモーゲージを商品として提供している場合、資金の使いみちは基本的に制限を設けていません。ただし、事業資金や投資資金に利用することはできません。そのため、生活費の補填や医療・介護にかかる費用、趣味、旅行などの余暇にも利用することができます。まとまった資金の使いみちとしては、自宅のリフォーム費用や老人ホームなどの入居一時金、住宅ローンの一括返済、セカンドハウスの購入、子どもへの生前贈与などにも活用できます。

②社会福祉協議会が提供する「不動産担保型生活資金」
「不動産担保型生活資金」とは、厚生労働省が導入した福祉サービスで、地方自治体の社会福祉協議会が提供するリバースモーゲージです。融資対象となるのは低所得の高齢者で、自立支援を目的としています。受付窓口は利用を希望する人が住んでいる市区町村の社会福祉協議会です。2007年からは、利用条件を緩和した生活困窮者向けの貸付制度(「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」)も導入しています。このリバースモーゲージで借り入れた資金は、生活資金にのみ使用することができます。

③住宅金融支援機構が提供する「住宅融資保険付リバースモーゲージ型住宅ローン」
「住宅融資保険付リバースモーゲージ型住宅ローン」とは、住宅金融支援機構が提供するリバースモーゲージで、通称「リ・バース60」とよばれています。「リ・バース60」を取り扱っているのは金融機関です。このリバースモーゲージで借り入れた資金は、住まいに関係する次の5つに使いみちが限定されているため、生活資金に使用することはできません。

「リ・バース60」の使いみち
(1)利用者が居住する住宅の建設資金または購入資金
(2)住宅のリフォーム資金
(3)住宅ローンの借換資金
(4)サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金
(5)子世帯等が居住する住宅の取得資金を借り入れるための資金

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■金融機関が提供するリバースモーゲージの種類

融資機関となる金融機関には、独自に開発したリバースモーゲージを提供しているところと、住宅金融支援機構の【リ・バース60】を活用するところがあります。多くの金融機関はどちらか一方を提供していますが、両方提供しているところもあります。いずれも所有している自宅を担保に融資を受け、利用者が亡くなったら一括返済するという仕組みは同じです。この2種類のリバースモーゲージが商品性で大きく異なる点の1つに、融資を受けた利用者の資金の使いみちがありますが、それについては前述のとおりです。その他にはどのような違いがあるのでしょうか。

保証の違い
金融機関独自のリバースモーゲージは、契約時に保証会社の保証を利用します。保証をつける理由は、まずは返済が滞ったときのためです。それから、利用者が亡くなった後の担保物件の売却時に備えるためです。売却時の担保物件の担保評価額が低いと、債務が残ることがあります。その際、一時的に保証会社が金融機関に弁済し、保証会社は利用者の相続人に弁済を求めます。

一方、【リ・バース60】は、利用者が返済を遅延した場合は、利用者が亡くなった時に、担保物件の売却等をします。それでも債務が残る場合は、相続人が精算することになります。利用者が亡くなり相続人が残債を一括で返済できない場合は、住宅金融支援機構があらかじめ金融機関と機構との間で締結した住宅融資保険契約に基づき、金融機関に残債の全額を保険金として支払います。保険金支払後は担保物件を売却することで残債を回収します。担保物件を売却しても残債が残る場合は、金融機関独自のリバースモーゲージと異なる点があります。【リ・バース60】の特徴は次のとおりです。
「リバース・60」は、残債の請求を相続人に求めるリコース型と残債を相続人に請求しないノンリコース型があります。取扱金融機関は、どちらか1つのタイプを採用するのが一般的です。【リ・バース60】の利用を検討している人が、ノンリコース型を採用している金融機関で利用申込をした場合、自分自身が亡くなった後、相続人に迷惑をかける心配がありません。

対象物件の違い
金融機関独自のリバースモーゲージは、担保価値が高い大都市圏や金融機関の営業エリアに限定されています。一方、【リ・バース60】は、自宅のある地域や築年数を問いませんし、戸建て住宅に限定していません。地方の戸建て住宅や古いマンションでも対象となります。ただし、担保となる自宅の担保評価額が低ければ、融資限度額も低くなります。

金融機関独自のリバースモーゲージも、各金融機関が扱う【リ・バース60】も、利用条件は多様化しています。金融庁の調べによると、リバースモーゲージの取扱い銀行数は2005年では2行だけでしたが、2017年9月末には47行にも増えています。まずは2種類のリバースモーゲージの特徴を理解し、何のためにリバースモーゲージを利用するのかをよく考え、利用したいリバースモーゲージを絞りこむようにしましょう。

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■メリットとリスク

ここまでのリバースモーゲージの特徴をもとに、リバースモーゲージのメリットをまとめるとともに、リバースモーゲージのリスクについて確認します。

リバースモーゲージのメリット
①高齢でも融資が受けられる
リバースモーゲージを申し込める年齢は、55歳以上か60歳以上に設定されているのが一般的ですが、年齢に上限を設けている場合は、通常80歳に設定されています。多くの高齢者は公的年金に頼る生活となるので、現役世代に比べると返済能力が低いとみなされます。そのため、一般的な住宅ローンや無担保ローンを借りたくても、審査に通りにくいものです。一方、リバースモーゲージなら、高齢でも融資を受けられることは、大きなメリットといえます。

②自宅を手放すことなく融資が受けられる
年金収入も手元資金もあまり多くない場合は、自宅を売却して賃貸住宅に移るという選択肢もあります。しかしながら、現在の日本では、高齢者の賃貸契約は歓迎されていません。このように、自宅があっても、年金収入も手元資金も多くない場合は、リバースモーゲージの活用が有効です。

③資金を幅広い用途に使える
【リ・バース60】は、住宅関連の用途に限られるものの、高齢者の住まいに関するニーズには幅広く対応したものとなっています。金融機関独自のリバースモーゲージは、基本的に資金使途は自由なため、日々の生活をより充実させることもできます。

利用にあたって注意すべき3つのリスク
どの融資機関のリバースモーゲージを利用するかによって注意点は異なりますが、ここでは、金融機関のリバースモーゲージを利用するときに、注意すべき一般的な3つのリスクについて紹介します。

①金利上昇リスク
1つ目のリスクは、金利上昇リスクです。現在の借入金利は3%程度としている金融機関が多く、ほとんどの金融機関が「短期プライムレート連動型」と呼ばれる金利を採用しています。短期プライムレートとは、貸出期間が1年以内の短期の場合に利用される金利のことです。リバースモーゲージの金利は、この金利に連動しているため定期的に見直され変動します。金利が上昇すると、死亡時に元金と利息を一括返済する利息元加方式では、融資金額が大きければ大きいほど、自宅を売却しても返済できないくらいに金利が膨れ上がるリスクが生じます。利息を毎月返済する利息利払方式では、金利が上昇すると月々の支払い負担が大きくなるので、家計を圧迫します。

②担保不動産の価格下落リスク
2つ目のリスクは、担保不動産の価格下落リスクです。融資の担保になっている自宅の評価は、1年に1度など定期的に評価の見直しが行われます。担保評価額の見直しによって、融資金額が減額されることもあれば、増額されることもあります。金融機関は利用者への行き過ぎる融資によって利用者が貸し倒れにならないようにしているわけですが、利用者にとっても、借りすぎになってしまい返済できなくなることを防ぐ意味合いがあります。契約期間中に不動産の担保評価が下がると、その分借り入れできる金額も下がります。このとき、借入残高が融資限度額を上回ると、新たに融資を受けられなくなるほか、借入残高を超えた金額については、金融機関から返済を求められることが一般的です。
地価が上がり、担保評価額も融資限度額も上がったときも注意が必要です。予定していた金額以上を借りてしまい、利用者が亡くなった後に担保物件を売却してもなお残債があると、相続人が支払わなくてはなりません。

③長生きリスク
3つ目のリスクは、長生きリスクです。利用者が想定以上に長生きすると、借入期間が長くなるので返済額も増えます。仮に1,000万円の融資を金利3%で30年間受けたとすると、利払いだけで900万円にもなります。長生きした結果、融資の総額が融資限度額に達すると、その時点で融資は打ち切りになり、新たな融資を受けることはできません。

リバースモーゲージを利用すると、日頃は借金をしているという意識が薄れがちになりますが、いったんリバースモーゲージを利用するとなったら、これらの3つのリスクは心に留めておくようにしましょう。そして、目的をしっかりと持ち、融資限度額まで借りるのではなく、余裕のある借入を行うようにしましょう。

■リバースモーゲージが向いているのはどんな人?

自宅を活用して老後資金や住まいのお金を調達するリバースモーゲージは、主に次のような人に向いています。

①貯蓄が少ないため、生活資金を補填する手立てが必要な人
資産価値の高い自宅を保有しているものの、手持ち資金が少ないという高齢者は少なくありません。自宅が気に入っている、自宅の価値が下がっていて売りづらいなど自宅を離れない理由は様々ですが、自宅を手放さずに生活に使えるお金を増やしたいと考える方には、リバースモーゲージは適しています。

②相続人がいないあるいは子ども1人なので、自宅を残さず生活を充実させたい人
相続人が1人もいない人や子どもが1人という人は、リバースモーゲージを利用しても相続で揉める要素が少ないため、利用してもいいでしょう。ただし、子どもが1人いる場合は、リバースモーゲージを利用する前に、必ず利用することを伝え理解してもらうようにしましょう。
リバースモーゲージは、一般的に相続人の同意を得なければ利用できません。子どもが複数人いたり、相続人が配偶者と兄弟姉妹になったりする人は、利用者の相続のことも視野に入れ、リバースモーゲージの利用を慎重に行いましょう。

③自宅が気に入っているけれど子どもが独立したので減築したい
子どもが独立したり、配偶者が先に亡くなっていたりすると、自宅も固定資産税もコンパクトにしたいという人もいます。そのような人で手持ち資金が少ない、手持ち資金を残しておきたいという人は、リバースモーゲージを利用するといいでしょう。

④住宅ローンの残高があって毎月の返済が辛い人
住宅ローンの返済があって収入源が公的年金だけの人は、住宅ローンの返済を負担に感じることでしょう。このような場合は、リバースモーゲージを利用してまとまった金額の融資を受け、それで現在の住宅ローンを全額返済するという方法があります。最終的に自宅売却をしてもよいと考えるなら、新しく組んだリバースモーゲージは、利息払いのみとすることができるため、日々の生活は過ごしやすくなります。

⑤最終的には高齢者向け施設などで暮らすことを考えている人
長年住んでいた自宅を生きている間に手放すことは、心理的に抵抗があるものです。自宅は残したまま、高齢者向け施設などに移り、自分が亡くなったら自宅を手放したいという人には、リバースモーゲージの利用は有効です。

上記①から⑤は一例です。①②は金融機関独自のリバースモーゲージを利用することになりますが、③~⑤は金融機関独自のリバースモーゲージと【リ・バース60】のどちらも利用することができます。

自宅という流動性の低い資産に縛られるのではなく、それを生前に現金化するリバースモーゲージ。年金収入の伸びが見込めない状況や必ずしも子に家を残す必要がないという意識の広がりにより、社会的・経済的に容認される傾向にあるといえます。リバースモーゲージといっても、自宅を老後の生活や住宅関連費用として利用できるものなどがあることが分かります。
老後の生活を安定させる上で貴重な制度といえますが、よく比較検討した上で活用しましょう。

※ 本ページに記載されている情報は2019年3月18日時点のものです

【参考文献】
厚生労働省「生活福祉資金制度の制度概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/syuro_2_kougi-siryo_8.pdf

住宅金融支援機構【リ・バース60】
https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/yushihoken_revmo/index.html
金融庁「高齢社会における金融サービスのあり方について」
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20181011/01.pdf

中山 弘恵 (ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、定年力アドバイザー、相続手続カウンセラー)

株式会社プラチナ・コンシェルジュ

年間150回を超えるセミナー・研修、年間80回を超える個別相談、生活に関わるお金や制度をテーマにした執筆業務に従事。「わかりやすく丁寧なセミナー」「安心しながら気軽に話せる相談相手」「ストレスなく読み進められるわかりやすい文章」として定評がある。 監修:株式会社プラチナ・コンシェルジュ