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【厚生年金の計算方法】年金はいくらもらえる?ケース別シミュレーションも

毎月の給料やボーナスから引かれている厚生年金保険料。結構な金額が引かれているけど、これまで年金なんて気にしてなかったという人も多いのでは?難しい……などと言わずに、ざっくりとでも計算方法を知っておきましょう。きっと老後の安心に繋がりますよ。

最終更新日:2020年9月28日

目次

厚生年金とは

まずは厚生年金の仕組みについて、確認してみましょう。厚生年金とは、ざっくり言うと、日本の会社に勤める人や公務員が加入する公的年金のことをいいます。

パートやアルバイトの人でも、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数、雇用期間、賃金月額など、いくつかの条件を満たしていれば厚生年金に加入します。

たまに、「将来の年金なんて当てにならないのに、厚生年金保険料を給料から勝手に引くなんて」というような声を聞くことがあります。厚生年金は事業所単位で加入するものであり、個々人で加入するかしないかを決められるものではありません。

ちなみに、厚生年金に加入しないといけない事業所は法令で決められており、正しく加入していない(労働者を加入させていない)事業所は厳しい罰則を受けることになります。

「年金なんて」と考えるのではなく、「厚生年金保険料を払うことで老後の安心が高まる」というように考えていきましょう。そのためにも、引かれる保険料や将来もらう年金の仕組みについて、ざっくりとでも理解を高め、老後の収入としてのイメージを持つようにしたいものです。

厚生年金の保険料はどう決まる?

国民年金の保険料が年齢や収入に関係なく、すべての人に一律なのに対し、厚生年金の保険料は収入額で決まります。一般的に、収入が多くなるほど、保険料が上がっていく仕組みです。

はっきりとした金額は覚えてなくても、新入社員の頃から徐々に、引かれる厚生年金保険料の金額が上がっていることを実感している人も多いはず。

少し詳しく言うと、厚生年金保険料は給与額の少ないものから大きいものへと段階的に分けられた31等級の「標準報酬月額」に18.3%の保険料率を掛けた金額として計算されます。こうして算出された金額を半分ずつ、雇用主と従業員本人で払います。

たとえば、標準報酬月額が30万円の場合、厚生年金保険料の金額は30万円に18.3%をかけた5万4,900円となりますが、従業員が自分で負担する分、つまり給料から引かれる金額は2万7,450円となる仕組みです。

・標準報酬月額はどう決まる?

厚生年金保険料の計算基準となる標準報酬月額についても、将来の年金額を知るうえで知っておきたい項目です。

標準報酬月額は、給与額に応じて31等級に分けられる旨上述しましたが、このときの給与額(報酬月額と言います)は基本給のほか、役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えた1カ月の総支給額を言います。

ただし、出張手当などの臨時に支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与等は除きます。

従業員個々人の標準報酬月額は、毎年1回見直され、4月、5月、6月の3カ月間の平均額で決まります。ちなみに標準報酬月額は健康保険料の算出にも用いられ、標準報酬月額の決まり方は同様です。

社会保険料が上がるため4月~6月の間に残業を少なくした方がいいという話を聞いたことがある人もいると思いますが、それはこのような厚生年金保険料および健康保険料の算出サイクルのせいなのです。

【保存版】国民年金と厚生年金、その違いや注意点まとめ

厚生年金の受給額の計算方法

会社員など厚生年金に加入している人は、自営業やフリーランスなど国民年金だけに加入している人に比べて多くの年金をもらえるという話を聞いたことがある人は多いと思います。

そのとおり、65歳からの老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せされる形で受け取ることになり、その分、受け取る年金額が多くなります。

厚生年金の加入者が受け取る年金=老齢基礎年金(1)+老齢厚生年金(2)

◇老齢基礎年金の計算(1)
老齢基礎年金は、20歳~60歳までの40年間保険料を納付した場合の満額年金額が毎年法令で決められます。2019年度の満額年金額は78万100円(月額約6万5,000円)とされています。

実際に個人が受け取れる年金の額は、保険料を納付した期間および免除になった期間に応じて決まります。会社員の場合、基礎年金(国民年金)保険料は厚生年金保険料に含まれ給料から天引きされているため、給料をもらっている限り、基礎年金保険料を納付していることになります。

仮に、22歳から60歳まで会社で働き続けた場合、老齢基礎年金の額は次のように計算できます。
780,100円×(38年/40年)=741,095円(2019年4月からの年金額)

もう少し簡単に計算できる方法もあります。40年間納付して約78万円の年金額になるということは、1年納付するごとに約1万9,500円ずつ老齢基礎年金額が増えていくことになります。

ざっくりした計算ですが、次の計算式を覚えておくといいでしょう。
老齢基礎年金額=19,500円×加入年数

ただし、そもそも公的年金制度に10年以上加入していないと、将来の老齢年金はもらえません。

◇老齢厚生年金の計算(2)
厚生年金保険料が収入額に基づく標準報酬月額で決められていたように、将来受け取る老齢厚生年金の金額も収入によって変わります。年金額を計算する際には、これまでの収入額および加入期間を用います。

ちなみに老齢厚生年金を受け取るための条件は、老齢基礎年金の受給資格要件を満たしていること(加入期間が10年以上)と、厚生年金の被保険者期間が1カ月以上あることです。

老齢基礎年金の計算に比べ少し複雑になりますが、老齢厚生年金の金額も自分でざっくりと計算することも可能です。

その際は、2003年3月までに厚生年金に加入していた期間と、2003年4月以降の厚生年金加入期間に分けて計算します。というのは、これまで何度かあった年金制度の改定で、年金額の計算に用いる給付乗率が改定されたため。現在30代後半以上の人は2003年3月以前も厚生年金に加入していた人も多いはず。該当する人は、次のそれぞれの計算式で算出された金額を合計します。

A:2003年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×(7.125/1,000)×2003年3月までの加入期間の月数

B:2003年4月以降の加入期間
平均標準報酬額×(5.481/1,000)×2003年4月以降の加入期間の月数

老齢厚生年金額=A+B

・2003年3月までと2003年4月以降の計算ベースに注意!
上のAとBの計算式を見て、給付乗率の数字以外に違いがあることに気づかれた人はいるでしょうか?

じっくり見ないと気づきにくいですが、計算ベースとなる文字を見てみましょう。Aは「平均標準報酬月額」となっていますが、Bは「平均標準報酬額」で、「月」という文字が抜けています。似ているようで異なるこれらの言葉についても知っておきましょう。

Aの計算に用いる平均標準報酬月額は、先に厚生年金保険料の計算のところで見た「標準報酬月額」ですが、前述したように標準報酬月額は毎年見直しされるため、2003年3月までの加入期間中の標準報酬月額を平均したものです。

ちなみに標準報酬月額は、毎年誕生月に送られてくるねんきん定期便に記載されています。ねんきん定期便が手元にある人は確認してみるといいでしょう。

Bの計算に用いる平均標準報酬額は、2003年4月以降の「標準報酬月額」と、ボーナスから引かれる厚生年金保険料を計算する際のベースとなる「標準賞与額」の総額を、2003年4月以降の加入期間で平均したものです。

標準報酬月額同様、標準賞与額もねんきん定期便に記載されるので、確認してみるといいでしょう。

◇老齢厚生年金の計算(2)の再掲
老齢厚生年金を計算する際のAとBの違いを確認したところで、あらためて計算式を見直してみましょう。ねんきん定期便が手元になく、また、そもそも過去の金額なんてわからないという人でも、ざっくり見積もることは可能です。

Aの期間は大体の平均給与、Bの期間は大体の平均年収で計算してみましょう。

また、給付乗率も小数点以下の数字が多くなるほど敬遠したくなりますから、シンプルにして計算しても大まかな年金額は把握できます。次のように計算してみるとわかりやすいでしょう。

A:2003年3月以前の加入期間
平均給与月額 × 12 × 0.7% × 2003年3月までの加入年数

B:2003年4月以降の加入期間
平均年収 × 0.55% × 2003年4月以降の加入年数

老齢厚生年金額=A+B

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パターン別年金額シミュレーション

ここから少し具体的な例で年金額をシミュレーションしてみましょう。老齢厚生年金は加入期間と加入期間中の平均収入によって年金額が決定することは前述しましたが、40年近い職業人生の間には収入の変動はもちろん、転職、退職、再就職などさまざまな変動があるものです。

人それぞれに職業人生が異なれば、もらえる年金額は人それぞれに異なります。ここでは次の3つのパターンで、上で見た簡易計算式に当てはめ年金額を計算してみます。

・計算例1:22歳で就職、60歳まで同じ会社で勤めた場合

計算条件は次の通りとします。
・22歳から60歳までの38年間、厚生年金に加入
・2003年3月までの加入期間は15年。15年間の平均給与月額は25万円
・2003年4月以降の加入期間は23年。23年間の平均年収額は550万円

(1) 老齢基礎年金:19,500円×38年=741,000円
(2) 老齢厚生年金A:250,000円×12×0.7%×15年=315,000円
老齢厚生年金B:5,500,000円×0.55%×23年=695,750円

年金額:741,000円+315,000円+695,750円=1,751,750円

・計算例2:22歳で就職、35歳で退職し自営業になった場合

計算条件は次の通りとします。
・基礎年金は22歳から60歳までの38年間(厚生年金13年、国民年金25年)
・厚生年金加入期間は2003年4月以降のみで13年。13年間の平均年収額は400万円

(1) 老齢基礎年金:19,500円×38年=741,000円
(2) 老齢厚生年金B:4,000,000円×0.55%×13年=286,000円

年金額:741,000円+286,000円=1,027,000円

・計算例3:18歳で就職、30歳で退職。40歳で再就職した場合

計算条件は次の通りとします。
・厚生年金加入期間は18歳から30歳までの12年間および40歳から60歳までの20年間
・基礎年金加入期間は20歳から60歳まで(30歳から40歳までは第3号被保険者)の40年間
・2003年3月までの厚生年金加入期間は12年。12年間の平均給与月額は18万円
・2003年4月以降の加入期間は20年。20年間の平均年収額は300万円

(3) 老齢基礎年金:19,500円×40年=780,000円
(4) 老齢厚生年金A:180,000円×12×0.7%×12年=181,440円
老齢厚生年金B:3,000,000円×0.55%×20年=330,000円

年金額:780,000円+181,440円+330,000円=1,291,440円

これを見ると、将来の年金受け取り額は、年収額もさることながら、厚生年金への加入期間が大きく影響することがわかるでしょう。

厚生年金の疑問【Q&A】

・Q1:会社を辞めると厚生年金はどうなりますか?

A1:会社を退職した後、別の会社に転職すれば転職先で厚生年金に加入します。保険料は新しい会社での給料に応じて変わります。

会社を退職した後、転職しない場合、国民年金第1号被保険者として加入手続きをすることになります。手続きは居住する市区町村役場で行います。国民年金、厚生年金ともに過去の加入期間は履歴として記録されていますが、転退職が多い人は、きちんと確認しておきましょう。

なお、過去の加入履歴は毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に記載されています。万一不審な点があれば、社会保険事務所に問い合わせするようにしてください。

・Q2:子どもが生まれるまで会社で働いていました。その時払った厚生年金は有効ですか?

A2: 会社を退職した場合でも、過去の加入履歴は将来の年金額に反映されます。老齢厚生年金の支給要件は厚生年金の被保険者期間が1カ月以上あることです。

ただし、基礎年金の加入期間が10年未満の場合には老齢基礎年金も老齢厚生年金ももらえません。たとえば、20歳で就職し29歳で退職、その後は国民年金未加入というような場合には、厚生年金に9年間加入していたとはいえ将来の年金は何も受け取れなくなります。

・Q3:将来の年金を増やす方法はありますか?

A3:老齢厚生年金は、会社員として保険料を払った期間と年収に応じて増えていきます。リタイアするまで1年1年を大切に、できるだけ長く会社員として働くことが将来の年金を増やすもっとも効果的な方法だと言えるでしょう。

また、給料から引かれる厚生年金保険料を抑えるために、敢えて4・5・6月の残業を減らす人もいますが、将来の年金を考えれば、一概には標準報酬額が低いことが良いとは言い切れません。社会保険料を抑えることで手取り給料が増えた分を老後資金のために貯金するなど、自分自身で将来の収入を増やす工夫も考えてみましょう。

・Q4:厚生年金は国民年金よりも多くの年金をもらえると聞きました。それでも預貯金や投資などで、自分で老後資金を準備しないといけませんか?

A4:厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせてもらうことになるため、老齢基礎年金だけの人に比べると受け取る年金額は多くなります。

とはいえ、そもそも公的年金は一定の給付を行うことで生活の安定を図るための制度ですが、それだけで満足な生活ができるものではありません。加えて、平均寿命が延び続けている昨今では、蓄えていた老後生活資金が途中で不足するリスクもあり、ますます自助努力が必要になります。

老後に必要な生活費の金額は人それぞれの暮らしぶりによっても異なりますが、一般的には定年まで勤め上げる場合でも年金だけで生活費のすべてをカバーすることはできないと考えられています。できるだけ満足できる生活になるよう、さらなる上乗せとして預貯金や投資などで老後資金を準備していきましょう。

掛け金が所得控除になり、運用益が非課税になるなど、優遇税制のある個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用するのもいいでしょう。投資信託などでの複利運用効果を、非課税の活用で効率的な資産形成が期待できます。

なお、現在会社で確定拠出年金に加入している人は、iDeCoに加入できないケースもありました。しかし政府は自助努力で資産形成するための後押しとして、これらの人もiDeCoに加入できるよう制度改正する方向で検討が開始されています。老後資金準備法の1つとして候補に入れてみたいですね。

他にも、自分年金として将来の収入を増やす方法はさまざまあります。どの金融商品を選べばいいか迷ったら、ファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。

※本ページに記載されている情報は2019年8月10日時点のものです

【参考文献】
日本年金機構:老齢年金ガイド/2019年度版
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/LK03.pdf

ほか

續 恵美子(つづき えみこ)

女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉 生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁があり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。