年金にも所得税として税金がかかる!確定申告が必要なケースや雑所得の計算方法も | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

会員登録100万人突破

年金にも所得税として税金がかかる!確定申告が必要なケースや雑所得の計算方法も

最近、老後生活資金や公的年金に関する話題をメディアなどで見聞きする機会が増えました。そのためか、年金にも所得税がかかると知って驚いている人も多いようです。そこで今回は、リタイア後にもらう年金と税金の関係について説明します。

最終更新日:2020年9月25日

目次

年金には所得税がかかる?

所得税とは

所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用して税額を計算します。
よく、「収入」と「所得」を混同している人がいますが、所得の金額とは、その年の収入金額からその収入を得るためにかかった必要経費、または法律で定められている一定の控除額を差し引いた残りの金額をいいます。

なお、所得はその性質によって10種類に区分されています。

 

現役世代の人たちにとっての所得税といえば、会社員なら「給与所得」、自営業やフリーランスなら「事業所得」が代表的ですが、これを見ると、あらゆる活動で得られる金銭的利益のほとんどに所得税がかかるのがわかるでしょう。

老後資金の不安はFPに無料で相談してスッキリしませんか

所得税がかかる年金とは

ここで年金にかかる所得税に注目してみましょう。上で見た10種の所得のなかで、私たちが将来もらう年金は「雑所得」に該当します。
つまり、年金に所得税がかかるかどうかと問われれば、原則として答えはYESです。しかしながら、「原則として」と述べたように、実際に年金をもらう際には所得税がかかる人、かからない人がいます。そこで、年金への所得税のかかり方について見てみましょう。

雑所得となる年金の種類

既に述べたように私たちが将来もらう年金が雑所得になりますが、ひとくちに年金と言ってもいくつかの種類があることはご存じでしょうか。

多くの人は「年金には国民年金と厚生年金がある」と考えられるかもしれません。しかし、税制において、これらは一つにまとめて「公的年金等」とされています。さらに言えば、「公的年金等」に含まれる年金は他にもあります。

〈公的年金等〉
1.国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
2.過去の勤務により会社などから支払われる年金
3.外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するもの

1は、いわゆる公的年金。原則65歳からもらうことができる老齢基礎年金・老齢厚生年金などです。加えて、2017年から日本に住む20歳以上のほとんどの人が加入できることになった個人型確定拠出年金(iDeCo)も含まれます。

2は、たとえば退職金を一時金でなく年金として受け取る場合。たとえば、会社が従業員のためにかけている「確定給付年金」や「厚生年金基金」などのいわゆる企業年金などがあります。

3は外国において支払われる公的年金等。外国に住んでいて、日本の公的年金制度のようなその国の制度に加入したことがある人などのなかには該当する人がいるかもしれません。

老後資金はいくら必要?公的年金だけで足りるの?夫婦&シングルの場合

一般的にこれらをまとめて「公的年金等」とされていますが、実はほかにも雑所得に該当する年金があります。「公的年金等」と区別するために、「公的年金等以外の年金」と言われています。

〈公的年金等以外の年金〉
生命保険契約や生命共済契約に基づく年金や、互助年金など

年金に所得税がかかるということはわかっていても、多くの人は年金と聞くと65歳になったらもらえる「公的年金」だけをイメージするようです。

これらの受取金も雑所得になることで、実際に年金を受け取る時になって想像していた以上に税金がかかってしまった……ということになっては困りますので、きちんと頭に入れておきたいものです。

雑所得の計算の仕組み

これら受け取る年金の全額に対して所得税がかかるわけではありません。冒頭で示した「所得税の基本的な仕組み」の図にあるように、まずは年金等の総収入から控除額を差し引いて雑所得の金額を求めます。
ただし雑所得を求める計算式は、上にある「公的年金等」の場合と「公的年金等以外」の場合で異なります。

〈公的年金等の場合の雑所得の求め方〉
雑所得の金額=公的年金等の収入総額(a)×割合(b)-控除額(c)

割合および控除額は、年金を受け取る人の年齢ごとに、次の速算表のとおり決められています。

たとえば、65歳になって老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて180万円もらうような場合、次のように計算し、雑所得の金額は60万円になります。

180万円×100%-120万円=60万円

〈公的年金等以外の場合の雑所得の求め方〉
雑所得の金額=年金等の金額-必要経費の額(※)

必要経費とは年金を受け取るために払い込んだ保険料などのことで、次の計算式で求めます。
必要経費の額(※)=年金の額×(保険料の総額/受け取る年金の見込み総額)

たとえば、個人年金保険に加入している人が60歳から10年間、毎年57万円の年金を受け取り、それまで払い込む保険料の総額が540万円と仮定して計算してみましょう。このときの雑所得の金額は次のように計算し、雑所得の金額は3万円になります。

57万円-57万円×(540万円/570万円)=3万円

雑所得の金額が算出されたら、次に「課税所得金額」を求めることになります。雑所得に対する課税は総合課税といって、冒頭のところで見た10種の所得を総合し、個人ごとの扶養状況や個々の事情に応じて所得控除を差し引いたあとの「課税所得金額」に課税される仕組みです。

ざっくり言うと、リタイア後の収入が公的年金(雑所得)だけ、という人は、上のように求めた雑所得から該当する所得控除を差し引いた残りの金額に税率をかけて所得税の金額を求めます。

リタイア後の収入が公的年金(雑所得)と個人年金(雑所得)という人は、上のようにそれぞれの雑所得を求め、それらを合算した金額から所得控除を差し引いた残りの金額に税率をかけて所得税の金額を求めます。

リタイア後の収入が公的年金(雑所得)と給与(給与所得)という人は、雑所得は上のような計算で、給与所得は別の計算方法で求め、それらを合算した金額から所得控除を差し引いた残りの金額に税率をかけて所得税の金額を求めるのが基本です。

所得税がかからないケースも

ここまで年金にどのように所得税がかかってくるかについて見てきましたが、実際に税金がかかるかどうか、かかるとしたら税金額はいくらになるかは年金額の大小だけで判断できません。

たとえば、現役世代の会社員の人で考えてみるとわかりやすいと思います。仮に自分と給与額が同じ同僚がいるとして、自分と同僚の所得税の金額が同じかと言えば、そうではない場合が多いことは理解できる人も多いと思います。

これは、たとえば、自分は家族を扶養しているけど同僚は独身で扶養家族がいなかったり、自分は生命保険料を払っているけど同僚は払っていなかったり、同僚は副業をして他に収入があるかもしれません。このような個々の事情が違えばかかる税金も変わるものです。

年金も同様で、年金額が同じ人が2人いるとしても個々の事情が異なれば所得税の課税有無や金額が変わります。自分の場合がどうなのかは、将来自分が年金以外に所得がありそうか、どんな所得控除を利用できるかをイメージしてみると良いでしょう。

所得控除は全部で14種類あります。年金生活をするようになって関係する所得控除の主なものは、「基礎控除」、「社会保険料控除」、「配偶者控除」、「生命保険料控除」、「医療費控除」などがありますが、このなかで誰もが一様に利用できる所得控除に「基礎控除(38万円)」があります。その他のものに関しては、あくまで人それぞれに違いますから、詳しくは国税庁のサイトなどで確認してみると良いでしょう。

先に見た雑所得の算出および基礎控除の適用から、たとえば次のような人は所得税がかからないことになります。
・65歳未満かつ年金収入のみの人:
受給額が108万円以下(公的年金等控除額70万円+基礎控除38万円)
・65歳以上かつ年金収入のみの人:
受給額が158万円(公的年金等控除額120万円+基礎控除38万円)

将来の年金受給額はいくら?月にもらえる額を増やす方法とは…

公的年金の納税方法

基本は「源泉徴収」

ところで、現役時代に会社員など給与をもらっている人のほとんどは、所得税の計算はもとより申告や納税をやったことがないと思います。年金に所得税がかかるとして、いきなり申告や納税を自分でしなくてはいけなくなるのか気になる人もいるでしょう。

「確定申告不要制度」といいますが、実は公的年金等の支払を受けるときは、原則として収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引いた額に5.105%(※1)を乗じた金額が源泉徴収されることになっています。具体的には次のように計算されます。

源泉徴収税額=年金支給額-社会保険料(※2)-各種控除額×5.105%

※1:所得税に復興特別所得税を合わせた税率(2013年1月1日~2037年12月31日まで)
※2:年金から特別徴収された介護保険料および国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)がある場合、その合計額

そのため会社員など給与所得者と同じように、原則、自分自身で税金の計算をしたり、確定申告をする必要はありません。少し安心された人もいるのではないでしょうか。

ただし、「扶養親族等申告書」を提出しないと所得税が高くなるので注意が必要です。
源泉調整される税金額の計算は、課税対象となる人が提出した「扶養親族等申告書」をもと計算されます。「扶養親族等申告書」は、公的年金の支払者となる日本年金機構から、毎年9月頃、所得税の課税対象となる人に対して送られます。
「扶養親族等申告書」が送られてきた人は、必ず内容を確認・記入して、指定されている期限内に提出するようにしましょう。

こうすることで翌年2月以降に支払われる年金から、当年分の扶養控除などを控除し計算された税金が差し引かれて振り込まれるようになります。イメージ的には会社員の年末調整のような感じですね。

なお、控除対象となる配偶者や扶養親族がいない場合でも、必ず提出しなくてはなりません。配偶者控除や扶養控除などの適用有無にかかわらず、「扶養親族等申告書」を提出すれば税率は5.105%、提出しなければ税率は10.21%と2倍の税金が徴収されてしまうので注意してください。

確定申告が必要となる場合

公的年金等控除および基礎控除があるため、年金額が108万円(65歳未満)もしくは158万円(65歳以上)の人など、そもそも源泉徴収されるものがないケースはありますが、年金から公的年金等の支払いを受けるときは源泉徴収されるのが基本です。
しかしながら、なかには源泉徴収されず、確定申告をしなければならない人もいます。

次の1、2のいずれにも該当する人は確定申告が必要です。
1.公的年金等の収入金額の合計額が400万円超の人
2.公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円超の人

ここでいう、「公的年金等」および「公的年金等に係る雑所得以外の所得」とは前述、雑所得の説明の項で見たとおりです。たとえば、「公的年金等」には老齢基礎年金や老齢厚生年金、iDeCoなどで受け取る年金や年金形式で受け取る退職金などがあります。
「公的年金等に係る雑所得以外の所得」には生命保険契約に基づく個人年金保険や給与所得、事業所得などがあります。

払い過ぎの税金は確定申告で取り戻せる!

確定申告をした方が良いケースとは

所得税が源泉徴収されるのは手続きの面では楽ですが、そもそも個々の事情で最終的な税金額が変わってくるのは前述したとおりです。場合によっては本来の税金額よりも徴収された税金額に過不足が生じる可能性もありますから、そのような場合には確定申告をして過不足を調整する必要があります。

とくに、次のような場合には払い過ぎになる可能性もありますから、確定申告するのが良い場合があります。
・生命保険料控除などを受けられる場合
・住宅ローン控除を受けられる場合
・災害などの損失について雑損控除を受けられる場合
・医療費に係る医療費控除を受けられる場合
・扶養親族等申告書を提出していない場合
・扶養親族等申告書を提出した後に扶養親族等が増加した場合など

老後の税金を抑えるコツ

年金のもらい方を工夫する

年金が生活資金のベースとなる老後の暮らしを考えると、若いうちからiDeCoや個人年金保険などできるだけ私的年金を準備しておきたいものです。しかしながら、これらの私的年金として老後に受け取るお金も雑所得となり、その金額が増えるほど所得税も増える可能性が高くなります。

老後の年金対策に!便利、個人年金保険とは?相談したい時どうする?

老後の大切な年金から引かれる税金は現役時代とは重みが違うと聞きますから、できるだけ税金を少なくする工夫を考えたいものですね。生命保険料控除や医療費控除など、所得控除を上手く活用する方法はありますが、老後に利用できる所得控除は現役時代に比べれば種類も限られるのが通常です。

老後の資金準備や私的年金のもらい方を工夫する方法もあるでしょう。たとえば、公的年金は原則65歳からもらうことができるため、個人年金をもらう時期を60歳からにするなど時期をずらすのもいいでしょう。個人年金も雑所得になりますが、先の計算式の例で見ても昨今の低金利が今後も続けば雑所得の金額が大きくなることは考えにくいでしょう。

iDeCoで準備する場合は運用結果で将来の受け取り額が変わるため、運用成果を見ながら受け取り方を年金にするか一時金にするか検討しても良いでしょう。年金で受け取ることで公的年金と合わせて雑所得の金額が大きくなりそうなら、一時金で受け取るようにすれば退職所得となり、税金のかかり方も変わります。

もしくは個人年金やiDeCoを年金で受け取る場合でも、公的年金の受け取りを繰り下げて、時期をずらす方法もあります。とはいえ、そもそもの公的年金の見込額や他の所得状況、所得控除の状況などで個々に適する方法が変わってきます。老後の大切な生活資金ですから、安易に考えず、節税の方法はもちろん資金準備の方法などもファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談してみるのがおすすめです。

※本ページに記載されている情報は2019年7月15日時点のものです

【参考文献】
国税庁:公的年金等の課税関係
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

日本年金機構:2019年1月11日から順次「2018年分公的年金等の源泉徴収票」の発送を行います
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2019/201901.html

ほか

續 恵美子

エフピーウーマン

生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。