年金受給年齢は繰上げ・繰下げどちらが得?男性と女性の違いは? | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

年金受給年齢は繰上げ・繰下げどちらが得?男性と女性の違いは?

年金受給年齢が将来70歳になるという情報もありますが本当でしょうか?結局、公的年金はいつから受け取れるのか、また受け取る年齢を変えられるのかなど、公的年金の受給年齢に関する2019年7月現在の最新情報をお届けします。

目次

年金が受給できるのは何歳から?本当に受給できるの?公的年金制度のおさらい

公的年金について、何かと話題にあがっていますが、将来本当に公的年金を受け取れるのか、また年金の受給開始年齢が70歳に繰り下がるかもしれないとの話題もあり、不安に思っている人は多いかもしれません。今のところ(2019年7月現在)、公的年金の受給開始年齢は65歳のままとなっています。少しほっとしたかもしれませんが、しかし将来的に開始年齢が引き下げられる可能性がないわけではありません。
そこで、まずは現在の公的年金の受給開始年齢についてしっかり学ぶことからはじめましょう。国民年金と厚生年金による違い、また厚生年金では年齢や男性・女性によって受給開始年齢に違いがあります。自分や家族の年齢に照らし合わせて確認していきましょう。
最初に、公的年金の種類や毎月の保険料の支払い方法の違いなどを確認しておきましょう。

国民年金とは
国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、老齢・障害・死亡により「基礎年金」を受けることができます。国民年金には、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」と3種類があり、どの制度に加入するかにより、保険料の納め方が異なります。

厚生年金とは

サラリーマンなど厚生年金保険に加入している人は、国民年金の給付である「老齢基礎年金」に加えて、「厚生老齢年金」を受けることとなります。つまり2段階になっているということです。
また、厚生年金保険料は毎月給与天引きなどで支払うこととなりますが、これには国民年金保険料も含まれています。また、この保険料は労使折半となっていて、自分の給与から天引きで支払われる金額と同額分を会社が上乗せして、まとめて会社が保険料を納めています。

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年金の受給開始年齢は?男性と女性で違うの?

公的年金制度は過去にも複数回の改正を重ねてきています。例えば現在、国民年金の老齢基礎年金は65歳から受給が開始されますが、厚生老齢年金は60歳から給付が始まります。そして今後は厚生年金も段階的に受給開始年齢が引き上げられることが決まっています。また、男性と女性とでは、どの段階で引き上があっていくのか年齢によって異なっています。
受給年齢の段階的な引き上げの年齢範囲などが、男女によって異なっていますので注意してください。
つまり、老齢厚生年金は生年月日によって、男女別に受け取れる年齢が異なります。また、65歳よりも前に受け取る厚生年金は、「報酬比例部分」と「定額部分」がありますが、男性か女性かということと、生年月日によって、以下のように変化します。

このように厚生年金(厚生老齢年金)は、年齢と、男性か女性かによって、受給開始年齢が異なっていて、男性の場合は昭和36年4月2日以降に生まれた人、女性の場合は昭和41年4月2日以降に生まれた人からは、厚生老齢年金の受給開始が65歳となります。

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年金の受給年齢、繰上げ、繰下げ、どちらを選ぶ?

老齢基礎年金は、原則として65歳から受け取ることができますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰上げて受け取ることができます。また反対に、65歳で請求せずに66歳以降70歳までの間で申し出た時から繰下げて請求できます。
60歳を過ぎても仕事を続ける人が多い時代ですが、仕事の給与を受け取りながら同時に年金を受け取ることももちろん可能です。
ところで、この繰上げと繰下げ、どちらがトクなのでしょうか?
これは一概には言えませんが、健康に自信があり、60歳以降も元気に働き収入がある人は、繰下げをして受給開始年齢を遅くする方が年金額もアップします。しかし、年齢が若く元気なうちに早く受け取って好きなことに使いたい、という考え方もあるでしょう。健康面や、何歳まで生きるのか?などによっても選択肢は違ってくるかもしれません。
次に、繰上げと繰下げを比較してみます。

受け取り開始時期を早める「繰上げ」
年金受給は通常65歳から開始となりますが、これを60歳から65歳未満の間で、申し出た年齢で早めに受け取りを開始するという方法です。また、繰上げの方法には全部繰上げと一部繰上げがあります。繰上げをすると、受け取る年金額自体は減ってしまいますが、しかし早く受け取れるため、総受取額でみるとトクとなる場合があります。
ただし、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりません。人生100年時代と言われる長寿の時代ですので、一定年数以上長生きをすることを考えると、月々受け取る年金額が下がることについて、本当にそれでもいいのかをよく考える必要があります。

なお、減額率は次の計算式により算出されます。
◎ 減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数


受け取り開始時期を遅らせる「繰り下げ」
年金開始を、66歳以降70歳までの間に、申し出た時から繰下げて請求することができます。これにより開始時期に応じて受け取る年金額が増額されます。例えば、70歳から受け取る場合には、年間の受取額を42%も増やすことになります。ただし、長生きできなかった場合など受け取り期間が短くなると総受取額自体は下がってしまう可能性もありますし、一定年数以上長生きをするとトクとなる場合もあります。

【繰上げと繰下げの事例】
65歳から受け取る年金額が月10万円のケースを例として考えてみます。計算や比較をしやすいように10万円としていますが、実際にはご自身の年金額を当てはめてみるといいでしょう。

◎標準(65歳から年金受給)
→75歳まで生きる場合 10万円×12ヵ月×10年=1,200万円
80歳まで生きる場合 10万円×12ヵ月×15年=1,800万円
→85歳まで生きる場合 10万円×12ヵ月×20年=2,400万円

◎5年繰上げた場合(60歳から年金受給)
75歳まで生きる場合 (10万円×0.7)×12ヵ月×15年=1,260万円
→80歳まで生きる場合 (10万円×0.7)×12ヵ月×20年=1,680万円
→85歳まで生きる場合 (10万円×0.7)×12ヵ月×25年=2,100万円

◎5年繰下げた場合(70歳から年金受給)
→75歳まで生きる場合 (10万円×1.42)×12ヵ月× 5年= 852万円
→80歳まで生きる場合 (10万円×1.42)×12ヵ月×10年=1,704万円
85歳まで生きる場合 (10万円×1.42)×12ヵ月×15年=2,556万円

上記の例でみるとトータルの受取額は、75歳まで生きる場合には繰上げがトク、80歳まで生きる場合には65歳開始がトク、85歳まで生きる人は繰下げがトク、ということになります。
ただしこれはあくまでトータルの金額でみた場合です。月々の年金額を増やしたい、という場合には「繰り下げ」をする方が、後々安心ということが言えるでしょう。


繰上げ請求の注意点
とくに、「繰上げ請求」をするといくつかのデメリットがありますのでよく考える必要があります。以下に、「繰上げ請求」をする場合の注意点をまとめましたので参考にしてください。

●一生減額された年金を受けることになります。 65歳以降も一度減額された金額は戻りません。ただし振替加算の加算対象者は、65歳からでなければ振替加算がされないことから、65歳になると振替加算額分は増額されます。
●繰上げ請求した後に裁定の取消しはできません。
●寡婦年金の受給権者が老齢基礎年金を繰上げ請求すると、寡婦年金は失権します。また、老齢基礎年金を繰上げ受給している人は、寡婦年金の請求はできません。
●受給権発生後に初診日があるときは、障害基礎年金が受けられません。また、繰上げ支給を請求する前の病気やけがで障害がある場合でも、障害基礎年金を請求できない場合があります。
●65歳前に遺族年金の受給権が発生した場合は、老齢基礎年金と遺族年金のどちらかを選択することになります。多くの場合は、遺族年金を選んだ方が有利であるため、65歳まで減額した老齢基礎年金が支給停止になり、停止解除後も減額支給のままでデメリットは大きくなります。
●受給権者は、国民年金の任意加入被保険者になれません。

年金の受給開始年齢について考えるならFPに相談

老後の生活費は公的年金だけでなく、退職金や退職年金、またそれぞれの資産形成状況なども含め総合的に考える必要があります。
また、ひとりひとりベストな方法が異なります。例えば、退職金をもらう時期とその金額や、資産の状況、60歳以降に仕事をして収入を得るのかどうか、いつまで働けるのか、扶養者など家族構成、そしてどのような老後生活を送りたいのかなど、人によって環境はもちろん、考え方も違うからです。
更に、企業年金や確定拠出年金も受け取る場合には、これらは年金で受け取る方法のほかに一時金で受け取る方法が選べる場合もあり、一時金については退職所得として税金の控除もあるなどトクな面もあります。そのため、どの年金をどのような方法で、いつから受け取るか、ということは、公的年金の他にも受け取る老後資金などの各年金を、総合的に見て考える必要もあります。
そのため、年金の受給開始時期をどのようにするのがベストであるかを考えるときは、ファイナンシャル・プランナー(FP)など専門家に相談して、実際にシミュレーションしてもらうことをお勧めします。各受給開始年齢によってどのように変わるのかを見ながら、自分にふさわしい方法を確認できます。また、専門家にチェックしてもらうことで、自分だけでは見つけられなかったあらたな発見や工夫の方法、また注意点などが見つかる場合があります。
とくに将来の年金については、きちんと考えて早めに対策をとる必要もありますので、ぜひFPを有効に活用してください。

※本ページに記載されている情報は2019年7月20日時点のものです。

森田 直子(もりた なおこ)

保険ジャーナリスト。保険・金融分野専門の執筆家で、庶民感覚のわかりやすい文体に定評がある。保険WEBサイト、保険会社ご契約のしおり、業界紙連載、書籍など執筆実績多数。大学講師や業界内外での講演など幅広く活動。保険業界メールマガジン『inswatch』発行人。書籍『保険営業で成長するための~無知の知のススメ』、『就業不能リスクとGLTD』、『あなたの保険は大丈夫?」など。