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今の20代~30代はいつから年金が貰える?準備しておくべき事

20代~30代の若い世代にとって、年金がいつからもらえるのかは気になるところでしょう。年金は「いつから払って、いつからもらえるのか」意外と知らない人は多いようです。そこで、老後の安心を得るためにも、年金の受給について確認しておきましょう。

目次

■公的年金だけでは厳しい時代

年金はいつからもらえるのかを考える前に、年金について少しおさらいしておきましょう。
20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金(基礎年金)と会社員や公務員が加入する厚生年金を合わせたものを公的年金と言います。
国民年金は国内居住の20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられているため、学生であっても、保険料を納めなければなりません。
しかし、経済的理由などで保険料を納めることが難しい場合は、保険料免除制度というものが設けられています。申請をして認められると年金の受給要件については納付期間と同じ扱いになります。
保険料を納めるのが厳しいと感じたら、未納期間としないためにも、必ず申請しましょう。

公的年金は、現在働いている現役世代が払った保険料を高齢者の年金給付に充てることで成り立っており、「世代間の支え合い」に基づいた制度です。
このような方法を賦課方式と言います。これに対し、自分で積み立てたものを将来自分が受け取る形を積立方式と言います。
iDeCoや企業年金がこれにあたります。

賦課方式の場合、少子高齢化や寿命の延びが原因で、年金給付に対し保険料収入が減って、将来的には破たんするのではないかと懸念する声がよく聞かれます。
実際は、そう簡単に破たんするような制度ではありません。
しかし、年金額の調整や支給開始時期の調整が行われることはあるでしょう。そのくらい日本の少子高齢化の問題は深刻になっています。

今の20代~30代の人が高齢者となる2065年には高齢化率が38.4%となり、5人に2人が65歳以上、人口は9,000万人を割り込むと厚生労働省は試算しています。

このような状況下では、保険料収入だけでは工面できないことは明らかです。そうなると、年金額を減らすか、年金の支給開始年齢を引き上げることが考えられます。
年金額を減らす方向は、マクロ経済スライドによって、すでに実施されています。

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*マクロ経済スライドとは

マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。
本来であれば、物価や給与水準が上昇すれば、それに合わせて年金額も上昇するはずですが、少子高齢化が急速に進む中では、現役世代の負担が重くなって、果ては年金制度そのものが危うくなってしまいます。
そこで、物価の上昇ほどには年金額を増やさない仕組み=マクロ経済スライドを取り入れ、これによって長期的に年金の財政を安定させていくことを目指しています。

2019年度は4年ぶりにマクロ経済スライドが発動されて、年金の改定率が賃金や物価の伸びより抑えられました。
物価と賃金の変動率はいずれもプラスとなり、賃金上昇率は0.6%となりましたが、マクロ経済スライドによって0.5%分の伸びを抑え、改定率は0.1%の微増となっています。物価の上昇に比べて、年金額はわずかしか上がらないということは、実質的には年金の受給額がカットされていることになります。

■年金の支給開始年齢の引き上げはある?

年金額のカットは、マクロ経済スライドによって、すでに実施されていることがわかりましたが、もう一つの方法である、支給開始年齢の引き上げについてはどうなるのでしょうか。
現状では原則65歳から支給されます。ただし、受給資格期間を満たしている必要があり、以前は、保険料納付済期間が25年以上となっていましたが、2017年8月から10年に短縮されました。
60歳以上で資格期間が10年に満たない場合でも、任意加入制度によって、60歳以上70歳未満の期間であれば、国民年金保険料を納めることで、資格期間を満たすことが可能です。
このように資格期間が短縮したことで、受給できないケースは少なくなり、制度として良くなっているように思われますが、ここにきて支給開始年齢を引き上げる案が浮上しています。

2018年5月の財政制度等審議会(財務大臣の諮問機関)での改革案では、原則65歳の支給開始年齢を引き上げていくべきではないかとの主張があり、概念図なども示されました。
しかし、今年4月の同審議会では、支給開始年齢引き上げについての記述はなく、年金を受け取る年齢を70歳を超えてからでも可能にすべきとの指摘に留まっています。
このようにトーンダウンした背景には、今年の夏の参院選を配慮したのではないかと言われています。いずれにしても、こうした議論が行われている以上、我々は支給開始年齢の引き上げを覚悟しておかなければならないでしょう。

現段階で言及されているのは、70歳以降も支給を遅らせることを選ぶことができるという案ですが、今20代~30代の現役世代の場合、支給開始年齢が70歳に引き上げられる可能性は大いにあるのではないでしょうか。

■年金の繰上げ、繰下げ受給

老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに、原則、65歳からの受給となりますが、前後5年間、年金の開始時期を選ぶことができます。
繰上げ受給をすると年金額が減額され、繰下げ受給をすると年金額が増額されます。
年金額の減額、増額は生涯にわたって続き、また、途中で変更や取り消しができないため、慎重に検討してから決めた方がよいでしょう。

●繰上げ減額率=0.5%×繰上げた月数
●繰下げ増額率=0.7%×繰下げた月数

60歳から開始した場合と70歳から開始した場合とでは、年金額は倍以上違ってきます。
とは言え、70歳になってすぐに亡くなってしまったら、60歳からもらっていた方が得だったとなります。
何歳まで生きるかがわからない以上、どの方法が得なのかはわかりません。
しかしながら、日本人の平均寿命が今後も伸びていくことを考えると、少しでも遅らせて、受給額を増やすことは有効な方法となります。

繰上げ受給をした場合、16年8カ月はしなかった場合よりも多くなり、それ以降は、65歳から受給した方が多くなります。
一方、繰下げ受給をした場合は、11年10カ月までは、しなかった場合の方が多くなり、それ以降は、繰下げた方が多くなります。
繰上げ受給の分岐点は76歳、繰下げ受給の分岐点は81歳あたりと考えると、自分がどのくらい長生きできるかが一つの判断材料になると思います。

■今20代~30代の人が高齢者になる頃。どのような準備をすればいいのか?

今20代~30代の現役世代が高齢者となる2065年頃の日本はどうなっているのでしょうか。
最初の図で見ていただいたとおり、人口は9,000万人を割り込み、4割近くが65歳以上の高齢者となる世の中が想定されています。
内閣府が出している高齢社会白書によると、2065年には平均寿命が男性85歳、女性は91歳になると見込んでいます。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_1.html

現在、日本の高齢化率は27.7%と世界で最も高く、これが2065年には38.4%となることを考えると想像の域を超えます。

65歳以上人口と15~64歳人口の比率は、2015年で65歳以上の者1人に対して現役世代は2.3人となっているのが、2065年には65歳以上の者1人に対して1.3人の現役世代という比率になります。
ほとんど現役世代が1人で支えているようなものです。 この状況では年金制度が持つのか不安になるのは当然と言えるでしょう。

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*公的年金の財政見通し

もちろん、国はそれについての対策はしています。年金制度の長期的な安定のために、5年ごとに、おおむね100年という長期の財政収支の見通しを立てています。これが公的年金財政の健全性を検証する「財政検証」です。
2019年はこの5年ごとの検証の年に当たりますので、どのような見通しが出るのか注視したいところです。
財政検証で用いる経済の前提は、賃金上昇率、物価上昇率、運用利回りについて、経済・金融の専門家による議論を踏まえて一定の前提を設けています。
これが8ケースの経済の前提であり、これに人口の推移を3パターン設け、これらを組み合わせて見通しを立てています。

最も気になるところが年金の給付水準だと思います。
現役世代の手取り収入に比べて、年金受給額がいくらになるのか、その割合を示したものが「所得代替率」です。
所得代替率50%の場合は、現役世代の手取り収入の50%が年金額となります。

下のグラフは2014年から2055年までの年金の給付水準を表したものです。 最も厳しい経済前提Hでの結果を見てみましょう。

マクロ経済スライドによる調整を続けても、国民年金は2055年には積立金がなくなり、賦課方式(世代間扶養)に完全に頼ることになります。そのため、2055年以降は保険料と国庫負担で賄うことになり、所得代替率は35%~37%となるとの試算が出ています。
所得代替率35%というのは、仮に現役世代の手取り収入が35万円とすると12.25万円となります。これは夫婦二人世帯の年金額なので、かなり厳しいことがわかります。
このように、今20代~30代の現役世代は、年金の支給開始年齢が上がる可能性に加えて、年金額が抑えられる二重の痛手を受けることが予想されます。
だからと言って、このまま悲観的になっていても仕方ありません。
今20代の人は高齢者になるまで40年以上の時間があります。この時間は宝と言ってもいいでしょう。今から準備をすることで、状況は大きく変わる可能性があるのです。

*私的年金制度を利用する
公的年金の不足分を補う方法として、私的年金制度があります。大きく分けて、「企業が福利厚生の一環として実施する年金」と「個人が任意で加入する年金」があります。

<企業が福利厚生の一環として実施する年金>
・企業型確定拠出年金
・厚生年金基金
・確定給付企業年金

<個人が任意で加入する年金>
・個人型確定拠出年金(iDeCo<イデコ>)
・国民年金基金

確定拠出年金とは?選び方を相談する時のポイント

会社員の場合、まずは会社の年金制度を確認しましょう。
掛金の負担者は原則企業となり、入社と同時に自動的に加入となるケースと、加入するかどうかを選択できるケースがあります。企業年金はいわゆる3階建て部分となり、加入することで老後資金を大きく増やすことが可能です。
会社員に限らず、誰でも加入できるのが個人型確定拠出年金(iDeCo)です。加入対象者によって、掛金の上限額が決まっています。

iDeCoには3つの税制のメリットがあります。
(1) 掛金の全額所得控除
(2) 運用益が非課税
(3) 受け取り時の税制優遇

たとえば自営業者であれば、月額6万8,000円まで掛金を拠出でき、その全額が所得控除となるので、所得税率が20%であれば、最大で年間24万4,800円(所得税と住民税あわせて)の減税となります。掛金の控除は加入期間ずっと行われるので、iDeCoのメリットを最大限に享受したいのなら、早いうちから始めることが肝要です。だたし、60歳までは原則解約ができないため、途中でまとまった資金が必要になった時などに対応できません。そうした部分がデメリットに感じる人は、次のつみたてNISAを利用するとよいでしょう。
*つみたてNISAを利用する
つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
20歳以上であれば誰でも利用することができ、年齢の上限がないので、60歳以降も利用ができます。積み立てた資金はいつでも引き出すことができます。
限度額は年間40万円、最長20年間、非課税で運用ができます。投資対象は金融庁が定めた基準を満たす「投資信託」及び「ETF」となっていますので、初心者でも運用がしやすくなっています。

「つみたてNISA」(積立NISA)をマスターしよう!

*まとめ
今の20代~30代の人たちは、公的年金だけで生活するのは非常に厳しい世代と言えるでしょう。年金の支給開始年齢が引き上がれば、それまでの期間、生活していくためには仕事を続けなければなりません。年金額も充分ではないことが考えられますので、自助努力によって、老後資金の不足分を準備しなければならないでしょう。
私的年金として見てきた企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)、そしてつみたてNISAは投資であることに留意してください。増えることもあれば減ることもあります。確定拠出年金は元本確保型の商品もありますが、口座管理手数料(※)がかかりますので、低金利時代では、利息以上に手数料がかかることが考えられます。
※企業型確定拠出年金の場合は会社が負担
一方で、給付が確定している年金(その他の企業年金や国民年金基金)は、インフレに弱くなります。今後日本がどうなっていくのかがわからない以上、リスクは分散すべきでしょう。
自営業者の場合を見てみましょう。iDeCoの掛金の上限額は国民年金基金と合わせてのものとなります。国民年金基金の現在の予定利率は1.5%となっており、銀行の定期預金と比べてはるかに高いことがわかります。つまり、元本を確保したい分は国民年金基金、リスクを取って増やしたい分はiDeCoと分けることで、投資のリスクとインフレのリスクを分散して減らすことができます。
これは一つの方法ですが、老後資金の準備は早いうちから始めることで、時間を味方にし、効率よく貯めることができます。20代~30代の世代はそれが可能です。老後を豊かに過ごすためにも、是非“もう一つの年金”を試みてほしいと思います。
どんな方法で準備したらいいのか迷ったら、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるのもいいと思います。将来の安心のために、今から始めましょう。

※本ページに記載されている情報は2019年6月1日時点のものです

【参考文献】
2019年度の年金額改定|厚生労働省プレスリリース
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000468259.pdf
社会保障で改革後退鮮明 財務省案、患者負担や年金支給  :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44100280T20C19A4EE8000/
将来の公的年金の財政見通し(財政検証) |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html
年金支給開始年齢、一律引き上げ「考えず」 70歳超の選択制を推進  :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36095560T01C18A0EE8000/
公的年金、私的年金の制度|確定拠出年金のJIS&T
https://www.jis-t.kojingata-portal.com/outline/seido.html#p2
iDeCoで得する人、損してしまう人 | iDeCo(イデコ) | 松井証券
https://www.matsui.co.jp/ideco/advice/profit/

石倉 博子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター 1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®認定者 “お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。 エフピーウーマン(https://www.fpwoman.co.jp/)