【FP監修】小学校・中学校でかかる費用、お給料でやりくりできる? | リクルートの保険比較サイト【保険チャンネル】

会員登録100万人突破

【FP監修】小学校・中学校でかかる費用、お給料でやりくりできる?

「教育費の準備」というと、大学費用準備の話が多いですが、当然その前から教育費用はかかります。今回は小学校に入学してから、中学校までの9年間にかかる費用はいったいどのくらいなのか?毎月どのくらい準備する必要があるのかみていきましょう。

目次

小学校6年間でかかる費用

学校にかかる費用

2016年文部科学省の子どもの学習費調査(図表1)によると、保護者が支出した1年間・子ども一人当たりの小学校における学校教育費(授業料・修学旅行や遠足などにかかる費用、学用品、通学用品など)は、公立校で6万43円、私立校で87万408円となっています。公立の小学校ではこれに学校給食費4万4,441円が加わった10万4,484円が1年間小学校でかかる費用ということになります。
一方、私立の小学校は、給食のある学校、ない学校がありますので、通学する学校によって、学校給食費は違ってきますが、上記調査データによると、平均値は4万4,807円でしたので、これを加えると、私立の小学校では91万5,215円が1年間でかかる費用となります。

【FPが解説】子どもの一生、学費はいくらかかる?どう貯める?

ただし、6年間この一定の金額がかかるわけではなく、例えば公立小学校の学年別でみると、このような金額になります。

1年生 9万9,524円
2年生 3万6,322円
3年生 4万3,370円
4年生 4万6,424円
5年生 5万2,619円
6年生 8万2,336円

1年生は入学の準備として、ランドセルや制服以外にも学校で必要となる文房具や教材等を揃えるための費用が必要となります。2年生に比べて6万円強多いのはそのためです。

また、6年間の総額で考えると、公立校62万6,904円、私立校549万1,290円です。この数字からもわかるように、公立の小学校に通うか私立の小学校に通うかによって、かかる学校教育費の違いは非常に大きなものになります。公立と私立の学校教育費の差が一番大きいのが小学校です。6年間の総額の差はなんと486万4,386円となります。(8.8倍の差)

学校外にかかる教育費

教育費といっても、今挙げた学校教育費だけではありません。子どもが保育園や幼稚園に通っている現在も、すでに習い事をしている子どももいると思いますが、小学生になると、さらに習い事をはじめる子は増え、習い事の数も増えていく傾向があります。また学年が上がるにつれて、塾に通い始める場合もあります。このあたりの費用が徐々に教育費の大きな部分を占めるようになります。

この習い事や塾代に相当する部分の費用が、2016年文部科学省の子どもの学習費調査における補助学習費(学習塾や家庭学習に使用する物品購入費)およびその他の学校外活動費(習い事や、学習活動、スポーツ、文化活動などに要した費用)になります。

この調査結果によると、公立小学校における補助学習費用は8万3,013円、その他の学校外活動費が13万4,813円、私立小学校における補助学習費用は、30万4,859円、その他の学校外活動費が30万8,163円となっています。補助学習費用とその他の学校外活動費を合わせると公立小学校は、21万7,826円、私立小学校は61万3,022円ということになります。

毎月の負担額はどうなる?

それでは、1カ月あたり必要となる費用はどのくらいになるでしょうか?図表2を見てください。

まず、学校にかかる費用として1カ月あたりでは公立小学校8,707円、私立小学校7万6,268円、最低でもこの金額が毎月かかってくることになります。まずはこの金額を毎月のお給料から確保しておく必要があります。私立小学校の場合は高額になりますので、受験を考える際には、6年間払い続けることをしっかり想定した上で、準備をしていく必要があります。

毎月の教育費としては、これにプラスして、先ほどお伝えした塾代や習い事にかかる学校外教育費が加わってくるということになります。平均値としては、1カ月あたり公立校では1万8,152円、私立校では5万1,085円ということで、学校教育費と合わせると、それぞれ2万6,859円、12万7,353円となります。

しかし、塾代や習い事は各家庭でコントロールできる費用でもあります。習い事1つあたりの費用は様々ではありますが、1つ習い事を始めると、一般的に1カ月あたり5,000円~1万円の費用がかかります。さらに、毎月の月謝以外にも、習い事の種類によっては、教材や道具を揃えるための費用や、夏季や冬季などの特別なレッスン、講習、合宿代、また検定料など、様々な出費がありますので、習い事を始めるときには、毎月の月謝だけではなく、年間でどのくらいかかるのかを計算した上で、検討するようにしましょう。

小学校入学前費用の準備

先ほどもお伝えしたように、小学校に入学するにあたっては、

・ランドセル
・文房具
・学校によっては学校指定の制服
・上履き
・体操服
・防災頭巾

など、準備するものが多岐にわたり、その準備費用が必要になります。一般的に準備費用で10万円程必要と言われます。個人差はもちろんありますが、準備費用の多くは入学前に必要となりますので、入学前年にこの費用を準備しておくと良いでしょう。

教育費用の悩みをファイナンシャルプランナーに相談する

中学校3年間でかかる費用

学校にかかる費用

小学校と同様、2016年文部科学省の子どもの学習費調査(図表3)によると、学校教育費は中学校では、公立校で13万3,640円、私立校で99万7,435円となっており、3年間の総額では公立校40万920円、私立校299万2,305円、その差は259万1,385円となります。(7.5倍)

公立の中学校ではこれに学校給食費4万3,730円を加えた17万7,370円が1年間にかかる費用ということになります。一方、私立の中学校で給食を実施している学校はごく少数ですが、平均値の8,566円を加えた100万6,001円が私立の中学校1年間で必要となる費用となります。

中学生に関しても、小学生同様、入学時には準備費用が必要となります。公立中学校の学年別学校教育費を見てみると、

1年生 19万9,188円
2年生 9万369円
3年生 11万3,189円

と、やはり1年生の金額が突出していることがわかります。
したがって、中学校入学前の小学6年生のタイミングで、こちらも10万円程の
準備資金を考えておいた方が良いということがわかります。

学校外にかかる教育費

公立中学校における補助学習費用は23万9,564円、その他の学校外活動費が6万1,620円、私立中学校における補助学習費用は、20万4,112円、その他の学校外活動費が11万6,820円となります。補助学習費等とその他の学校外活動費を合わせると公立中学校は、1年間で30万1,184円、私立中学校は1年間で32万932円となります。中学生については、習い事をはじめとする学校外活動費用が下がる一方で、塾代をはじめとする補助学習費用が大幅にアップします。大幅アップの要因は高校受験の準備費用です。

毎月の負担額はどうなる?

まず学校教育費を1カ月あたりにすると、公立中学校1万1,137円、私立中学校8万3,120円、小学校との差額を公立・私立同士比較すると、公立では6,133円、私立で1万586円の増額です。中学生になるとまずこの金額を毎月用意する必要がでてきます。(図表3)
中学生一人1ヶ月当たりにかかる教育費

因みに公立の小学校から、中学受験をして私立の中学に進学する場合には、当然ながら1カ月にかかる費用が一気にあがります。上記の金額で差額を計算すると7万5,126円の増額となります。

単純に学校に支払う費用だけでも、これだけ費用が変わってくるということをあらかじめ認識して準備をしておく必要があります。また、中学受験をする場合、多くの子が小学校3~4年生頃から受験対策の塾に通い始めますので、受験準備費用も必要です。こちらも家庭の考え方により異なりますが、受験前の費用だけで数十万円から100万円を超える費用になる可能性もあります。中学受験の可能性がある場合は、なるべく早いうちから資金についての準備をしておくことをおすすめします。

これに加えて学校外教育費の平均値である、公立校2万5,099円、私立校2万6,744円を合わせると、公立中学校で3万9880円、私立中学校で11万578円ということになります。

子どもにかかる費用は、教育費だけではない!!

子どもにかかる費用は、今まで見てきたように<教育費>が圧倒的に高いのですが、生活をしていく上で、当然ながら様々な生活費用が必要となります。そして、その費用は子どもの成長と共に増大していきます。

2010年に発表された「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」<内閣府政策統括官(共生社会政策担当)>による、第1子一人当たりの年間子育て費用額のランキングでは、保育所・幼稚園児の1位が保育料だったのに対し、小学生および中学生では、食費が1位となっています。具体的な金額を見てみると、保育所・幼稚園児が22万4,627円なのに対して、小学生では27万8,294円、中学生では35万6,663円となり、中学生と保育所・幼稚園児との差は、なんと13万2,036円です。(外食費やおやつ、間食代も含む)

このように、学校や教育にかかる費用だけではなく、生活費自体も子どもの成長とともに増加してきます。この生活費の増加もしっかり頭に入れて、教育費や貯蓄を含めた家計管理をしていくことが必要となります。

小学校・中学校でかかる費用を「見える化」して対策を

かかる費用を年ごとに計算してみましょう

ここまで、小学校から中学校にかけてかかる費用を見てきました。特に私立校への進学も視野に入れている家庭にとっては、教育費の負担がかなり大きいことを感じたのではないでしょうか。

小学校から中学校にかけての教育費については、毎月のお給料から必要な教育費を捻出していけることが理想です。ボーナスがある家庭は、ついボーナスを頼りにしたくなってしまいますが、ご承知の通り、教育費は高校・大学とさらに大きな金額が必要になってきますし、親自身の老後資金も準備する必要があります。また、先ほどの生活費データにもあるように、教育費以外の部分の出費も年々増加していきます。

こういった費用にも対応できるよう家計のバランスをとっていくには、小学校・中学校の段階からボーナス頼みで考えるのは控えたいところです。

この家計のバランスを考えるにあたっては、長期的な視点も必要となってきます。FPなどの専門家に「ライフプランシミュレーション」をしてもらうことで、バランスをどうとっていったら良いのか、家計の管理から、保険の活用法なども含めてアドバイスをもらうことができますので、子どもが小さいうちに、一度専門家に相談することは、今後の教育費計画を立てる上でも非常に参考になると思います。

それでは、今回の調査に挙げた教育費用の数字を参考に、小学校から9年間の教育費を計算してみましょう。子どもが2人いれば、2倍、3人なら3倍の費用になり、子どもの年齢差によっては、教育費が一気に上がる年もあると思います。まずは、子どもの9年間にかかる費用の総額を計算するとともに、年ごとに、どのくらいの教育費が必要かの試算をしてみましょう。

ポイントは、1年ごとに必要となる費用をはっきりさせることです。どの年にいくらかかるのかがはっきりわかることで、先ほど述べた「家計のバランス」を取るための対策を考えられるのです。

試算した結果、毎月のやりくりだけでは、厳しい年がわかれば、今からその不足分を教育費として貯金をしていく必要があります。生活費が予想外に増えたときの備えにもなりますし、心の余裕にもなります。

幼児教育・保育の無償化制度を活用しましょう

2019年10月からは、幼児教育・保育の無償化もはじまります。今回の制度で今まで支払っていた保育料の支払いがなくなる家庭も多くなりますので、この機会を活用して、今後の教育費準備を進めていきましょう。

改めて制度を確認して、自分の家庭ではどれだけ保育料が削減できるのかを確認してみましょう。(図表5)

<幼児教育・保育の無償化制度の概要>

保育料の無償化

・幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子どもたちの利用料が無料になります(幼稚園は月額上限2.57万円)。
・0歳から2歳までの子どもたちについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無料になります。
・幼稚園、保育所、認定こども園に加え、地域型保育、企業主導型保育事業(標準的な利用料)も同様に無償となります。

幼稚園の預かり保育

・幼稚園の利用に加え、利用日数に応じて、最大月額1.13万円までの範囲で預かり保育の利用料が無料になります。

認可外保育施設等

・3歳から5歳までの子どもたちは月額3.7万円まで、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもたちは、月額4.2万円までの利用料が無料になります。
・認可外保育施設に加え、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業も対象となります。

ただし、給食費や、遠足などの実費については、無償化の対象外になりますので、その金額についての負担は残ります。具体的な金額は施設によって異なりますので、子どもが通っている施設に確認してください。
実費の負担は残りますが、保育料負担がなくなることは家計にとって大きなメリットです。ぜひこの保育料分を小学校以降の教育費の準備金として、活用していきたいものです。

無償化となった保育料を「未来の教育費」として貯金しましょう

10月からの無償化の対象となる保育料、負担がなくなることは喜ばしいことではありますが、支払う必要がなくなった保育料を、そのまま生活費の口座に残したままにしておくと、負担が軽くなったことから生まれる、ちょっとした気持ちの余裕から、ついつい支出が増え、いつの間にか「浮いたはずの保育料がなくなっている」という状況になってしまいます。

また、この機会に「習い事を増やしたい」と考えている人も多いかもしれません。元々保育料だったものですので、子どものために習い事に活用するというのも1つの考え方です。

しかし、先ほどから述べているように、教育費は子どもが成長すればするほど、必要となる額は高額になりますし、習い事は毎月の費用以外にもかかるうえに、一度はじめるとなかなかやめるタイミングが難しいので、本人の意思と費用面の両面で慎重に検討しましょう。

ここでおすすめしたいのが、今まで支払っていた保育料の全額を、無償化になっても「支払い続けているつもり」で、生活費とは違う「教育費用」の口座を準備して貯めておくことです。

前半でお伝えしたデータから、小学校から中学校にかけて必要となる教育費を試算してみると、事前に用意すべき金額がより具体的になると思います。まずはその金額を、この無償化となった保育料から貯めるようにするのです。

今までと生活費は変わらないので、我慢や節約などの努力なく、貯めていくことができます。そうはいっても、毎回保育料を自分で別の口座に移すのは、手間がかかります。無償化がはじまる10月に合わせて、保育料に相当する金額を、銀行の自動積立などを利用して、自動的に貯められる仕組みを設定しておきましょう。

教育費は長い目で考えましょう

教育費は、聖域と言われることもあるように、親は子どものためならできるだけ費用を出してあげたいという気持ちで、ついつい無理をしがちですが、教育費は長期戦で考える必要があります。長く続く教育費をトータルで考えて、準備・管理していきましょう。

今回は中学校までの教育費を見てきましたが、その先の教育費や老後資金も含めて、資金計画をしっかり立てていくことは、家族全員にとっての安心感やモチベーションにつながる大事な作業となります。教育資金計画を含めた資金計画をしっかり立てたいと思われたら、ぜひファイナンシャルプランナーなどのお金の専門家に相談して長期的な資金プランを立ててみてくださいね。

※ 本ページに記載されている情報は2019年8月21日時点のものです

【参考文献】
子どもの学習費調査 2016年(文部科学省)
インターネットによる子育て費用に関する調査 2010年 (内閣府政策統括官)
ほか

山本 美紀(やまもと みき)

ファイナンシャルプランナー<CFP®>、家計整理アドバイザー認定トレーナー、日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー 家計相談やライフプランシミュレーションの作成を中心とした個人相談や、家計整理アドバイザー講座の講師、女性向けマネーセミナー、執筆活動を行っている。ご相談者の大半が30代~40代の子育て世代であり、同じ母親として気軽に相談できるママFPとして活動中。