知って得する!医療費控除
出産については、健康保険の給付や市町村の助成金などによりコストが抑えられるしくみになっていますが、それでも出費がかさむときがあります。そういうとき、最後に効くのが医療費控除です。負担した金額に応じて所得税額が減額され、税金が還付されるしくみです。ただし、医療費控除を受けるためには確定申告が必要になります。
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出産すると税金が戻る!!
出産のときには出産や妊婦健診などにお金がかかります。出産費用については健康保険や国民健康保険が出産育児一時金(原則42万円)を受け取ることができます。そして、妊婦健診については市町村が助成金を給付しています。金額は市町村により異なりますが、例えば、横浜市の場合、合計8万2,700円になります。
一方、実際に必要になるお金は、妊婦健診については約10万円、出産費用については約50万円になり、通常の場合、助成金などでは不足します。また、妊婦健診に行くのにタクシーを使い、あるいは、出産のために医療品を購入するなどそのほかにも出費がかさみます。
そういうときに役に立つのが医療費控除です。医療費控除とは、所得税の計算で必要経費として認められる金額のことで、医療費控除が認められると税金が還付されます。医療費控除は、夫婦いずれの所得税にも適用することが可能ですから、専業主婦でも使うことができる制度です。
医療費控除が認められるとき
どのようなものが医療費控除として認められるのでしょうか?出産のために入院した場合の部屋代や食事代は医療費控除の対象になります。ただし、自分で希望して個室に入ったときの差額ベッド代などは医療費控除の対象にならないと考えた方がよいでしょう。一方、病院に通うための通常の交通費は医療費控除の対象になります。タクシーを使ったときも、必要性があれば医療費控除の対象になります。
領収書がなくても医療費控除の対象になりますので、いつどれだけ使ったかを書きとめておくようにしましょう。
確定申告
実際に、医療費控除を受けるときに気をつけたいのは確定申告が必要になるということです。所得税の場合、確定申告は医療費を使った年の翌年2月16日から3月15日までの間に行うようになっています。サラリーマンの場合、年末に会社から受け取った源泉徴収票と医療費の内容がわかるよう領収書や交通費の明細書などがあれば確定申告を行うことができます。
最近では、税務署に行かなくてもインターネットで確定申告書を作成することもできます。インターネットで作成する場合、確定申告の期間にかかわらず作成することができます。ところで還付される金額は、医療費控除の金額ではありません。新たに計算された所得税の税額と既に支払っていた税額の差額が還付される金額であり、医療費控除の金額より還付される金額は少額になります。確定申告書に振り込み先の金融機関の口座を記入しておけば、数日後に、口座に還付金が振り込まれます。
医療費控除が利かない
気をつけておきたいことは、医療費控除が効かない場合があるということです。まず、実際に支払った金額から助成金や保険金などの名目で受け取った金額を控除した額が10万円(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%)に満たない場合です。医療費控除を使うことはできません。もうひとつは、そもそも税金を支払っていない場合です。医療費控除は、税金の負担額が減額された分が戻ってくるしくみです。例えば、住宅ローン減税などの適用により所得税がゼロの場合、戻ってくる税金はありません。したがって、医療費控除は効かないということになります。
また、出産育児一時金などの場合、立て替えること(一時的な自己負担)なく支給されますが、医療費控除は所得税の一部ですので、お金の受取が1年近く先になってしまう可能性もあります。
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杉山 明
生命保険や投資信託の商品開発の経験をベースにした、金融商品の解説・アドバイスにはプロも注目。最近は、金融機関向けの研修やシニア向けの講演・相談・研修などが中心。「老後破産しないためのお金の本」など著著多数