一人暮らしの電気代、平均と理想の金額。簡単&効果が見込める節約術をFPが解説!
電気代はライフスタイルや季節によって変動が大きいものですが、一人暮らしの平均額はいくらくらいなのでしょうか?理想の電気代はいくらなのでしょうか?簡単にできて効果を期待できる、電気代の節約方法をFPが解説します。
最終更新日:2021年4月14日
この記事の早わかり要約 読了目安時間:
一人暮らしの1ヵ月の電気代は平均5700円、34歳以下は3500円前後
電気代が高くなる季節は11月~2月と7月~8月
電気代の節約方法は、電気の契約変更、エアコンや冷蔵庫の設定温度変更など
目次
一人暮らしの電気代。1ヵ月の平均金額はどれくらい?
一人暮らしの電気代は、どれくらいが平均なのでしょうか?総務省の「家計調査(2019年)」によると、単身世帯1ヵ月の電気代は平均5,700円だそうです。
この金額は、日本全国、全年齢での年間平均額です。電気代は気候の異なる地域や季節、ライフスタイルの異なる年代によっても差があります。そこで、地域別や年齢別の電気代もみてみましょう。
【地域別】一人暮らしの電気代の平均金額
一人暮らしの電気代の平均額を地域別にみると、もっとも高いのは北陸・東海地域で1ヵ月5,436円。次に北海道・東北で4,809円と続きます。もっとも少ないのは中国・四国で4,323円です。
北陸や北海道など、寒い地域では冬に暖房器具を頻繁に利用することが影響しているのかもしれません。また、各地に電力を供給している電力会社が設定する電気料金の体系が異なることもあるかもしれません。
<図1>
出典:「家計調査」第3表 都市階級・地方別1世帯当たり1ヵ月間の収入と支出(単身世帯)2019年をもとに筆者作成
【月別】一人暮らしの電気代の平均金額
電気代は、電器製品を使う頻度によって大きく左右されるため季節変動があります。
図2は、東京都環境局の「家庭のエネルギー消費動向実態調査」をもとに、一人暮らしの月ごとの電気使用量の平均を表したものです。この図から電気代に出費している金額はわかりませんが、電気の使用量が多ければそれだけ電気代も高くなると考えられます。
戸建て、集合住宅ともに、電力の使用量は気温が下がり暖房器具を使う11月あたりから2月にかけて多くなります。つまり、冬の時期は電気代も高いと考えられます。
また、暑さが厳しくなる7月から8月にかけても、電気の使用量は上昇することがわかります。夏には冷房をさかんに使うことが、おもな要因と考えられます。
<図2>
出典:東京都環境局「平成26年度(2014年度) 東京と家庭のエネルギー消費動向実態調査 報告書」をもとに筆者作成
【年齢別】一人暮らしの電気代の平均金額
次に、年齢による電気代の違いをみてみましょう。
総務省の「家計調査(2019年)」を見てみると、34歳以下の単身世帯では1ヵ月に3,500円前後、35歳~59歳まででは5,000円台、60歳以上では6,000円台と、若年層で低いことがわかります。34歳までと60歳以上ではおよそ1.8倍も電気代に差があります。
電気代のかかりかたはライフスタイルによって異なります。家にいる時間が長いほど、照明やエアコン、さまざまな家電製品を使うため電気代は高くなりがちです。
学生や若手社会人が多い若い世代では外出時間が長く、自宅で電力を使うことが少ないのかもしれません。
<図3>
出典:総務省「家計調査 家計収支編」1世帯当たり1ヵ月間の収入と支出(単身世帯)2019年をもとに筆者作成
一人暮らしの理想的な電気代はいくら?
では、一人暮らしの電気代はいくらくらいが理想なのでしょうか?
東京都環境局の「家庭のエネルギー消費動向実態調査」では、家庭でのエネルギーの使用量データをもとに算出したベンチマークを公表しています。
これによると、一人暮らしで電力の使用量が標準的な家庭の場合、戸建て住宅なら1ヵ月に218kWh、集合住宅なら184kWhが目安です。
では、この目安量の電力を使ったときにかかる電気代はいくらなのでしょうか?
電気料金は、契約している電力会社によって異なりますが、かりに基本料金が300円、電力量に応じた料金が1kWhあたり120kWhまで20円、121kWh~300kWhまで25円だとすると、1ヵ月当たりの電気代は戸建て住宅(218kWh)なら5,150円、集合住宅(184kWh)なら4,300円ということになります(契約している電力会社、プランによって計算方法が異なります)。
年代にもよりますが、一人暮らしの電気代はおおむね1ヵ月あたり4,000円~5,000円台が目安と考えておくと良いのではないでしょうか。
効果的な電気代の節約方法おすすめ8つ!
電気代の節約方法1.電気の契約アンペア数を変更する
ここまでで、電気代が年齢や季節などにより違いがあることがわかりました。ここからは、電気代を節約する方法を解説します。
ひとつめに、電気料金の契約アンペア(A)数を変える方法があります。おもな電力会社では10A~60Aの中から選べます。
契約アンペアは、一度に流す電気の量のことです。
契約アンペア数が高いほど、同時に多くの電気を使ってたくさんの家電製品を動かすことができますが、その分電気の基本料金は高くなります。逆に契約アンペア数を低くすれば基本料金は低くなりますが、一度に流せる電気の量が少ないので、同時にたくさんの家電製品を動かすとブレーカーが落ちてしまいます。
契約アンペア数は、自宅でもっとも電気を使う夕方から夜の時間帯に、どのくらいの電気が必要かに応じて検討します。多くの電力会社では、一人暮らしの場合は一般的に20A~30Aが目安とされているようです。もし、一人暮らしでそれほど家電製品を一度に使うことはないのに、契約アンペア数が高ければ、下げることを検討しても良いですね。
電気代の節約方法2.電気の契約プランを変更する
契約プランを変える方法もあります。標準的なプランには「従量電灯B」や「従量電灯C」などがありますが、このほか夜間の電気代が割安になるプラン、朝に割安になるプラン、土日に割安になるプランなどを提供している電力会社があります。
多くの電力会社のウェブサイトでは、「日中に家にいることが多い」「夜の時間帯に電気を使うことが多い」など、日頃の電気の使い方に応じて適した電力プランを探せるシミュレーションができます。自分のライフスタイルに合った契約プランに変えると、電気代を節約できるかもしれません。
電気代の節約方法3.電力会社を変更する
いま契約している電力会社から、他の電力会社に変えることで電気代が安くなることもあります。2016年に家庭向けの電力が自由化され、現在は住んでいる地域にかかわらず、複数の電力会社から契約先を自由に選べます。
各電力会社は独自性のある料金プランを提供しており、たとえば電気とガス、電気とインターネット、電気と携帯電話など、他のものと一緒に契約することで割引になるところや、電気代に応じて貯めたポイントをネットショッピングや鉄道で使えるサービスを提供しているところなどがあります。
電力会社を変えるには、スマートメーターを交換する必要がありますが、切り替え工事は不要です。スマートメーターも、契約の切り替え手続きをすれば新しい契約先の電力会社が交換してくれます。
賃貸アパートやマンションに住んでいても、自分で電気の契約をしていれば原則としては大家さんに許可を取らなくても切り替えできることが多いです(例外もあります)。
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電気代の節約方法4.省エネ家電に買い替える
電気製品を、電気代がかかりにくい省エネ家電に買い替える方法もあります。電気製品は新しく発売されるものほど、省エネ性能に優れていることがあります。
特に、家庭内で電力を消費しやすい冷蔵庫、テレビ、エアコン、照明器具の省エネ性能は近年、格段に改善しています。
資源エネルギー庁の省エネカタログによると、たとえば冷蔵庫(401~450リットル)は、2007年製のものと2016年製では、同じように使っても年間の電気代は1万5,228円から9,531円と、5,697円低くなったそうです。
<図4>
出典:資源エネルギー庁、省エネルギーセンター「省エネ性能カタログ」などをもとに筆者作成
家電の省エネ性能は、販売店で商品に貼られている省エネラベルで確認できます。特に照明器具、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気便座の省エネラベルは2020年に新しくなり、省エネ性能を41段階のスコアと星マークでわかりやすく表示されています。インターネットショップでも表示されています。
メーカーや型番がわかれば、資源エネルギー庁の「省エネ型製品情報サイト」で年間の電気代を調べることもできます。買い換え前にぜひ確認してみましょう。
電気代の節約方法5.照明を蛍光灯やLEDに変える
エアコンや冷蔵庫、テレビなどの大型家電を買い替えるには、高額な購入費がかかってしまいます。
一人暮らしでは、今後に引越しをしたり、家族が増えたりして家電を買い替える必要が出てくるかもしれませんから、電気代の節約のためだけに家電を買い替えるのは難しいこともあるでしょう。もっと気軽に電気代を節約するなら、照明を変える方法があります。
もっとも消費電力が少ないのはLEDランプです。シーリングライトの場合、消費電力は蛍光灯に比べて50%少なく、1日5~6時間点灯した場合には1年間で約1,800円の節約になるそうです。
白熱電球は蛍光灯よりもさらに電力を消費します。白熱電球から蛍光灯、LEDランプに交換することでより大きな節約効果を期待できます。
LEDランプは白熱電球や蛍光ランプに比べて高額ですが、LEDの普及にともない商品価格が下がってきています。また寿命が長いため、長期間使えば購入費用以上に電気代の節約効果があります。資源エネルギー庁の検証によると、主要メーカーの8畳用のシーリングライトの場合、約3年以上使えば、LEDへの買い替え費用と電気代の合計は、蛍光灯を使い続ける費用より割安になるそうです。
電気代の節約方法6.冷暖房の設定温度を調整する
家電や照明の買い替えをせずに、すでにある家電の使い方を工夫するだけでも、電気代は節約できます。
たとえばエアコンは、適切な設定温度に調整すると効果的です。夏の冷房時は28度、冬の暖房時は20度が目安です。資源エネルギー庁の推計によると、2.2kWのエアコンを1日9時間使用した場合、設定温度を1度変えることで、冷房なら年間で約820円、暖房なら約1,430円の節約になるそうです。
電気代の節約方法7.冷蔵庫の設定温度を調整する
冷蔵庫の設定温度も重要です。庫内温度の設定は、室温に合わせて調節しましょう。室温22度のとき、「強」から「中」にした場合、年間で約1,670円の節約になるそうです。
温度調節のダイヤルは、冷蔵庫内やドアに付いているのが一般的です。夏は食品が傷まないよう強めに設定しておくと安心ですが、気温の低い冬などは弱めても良いかもしれません。ものを詰め込みすぎない、ドアを開けている時間を短くする、無駄な開閉をできるだけしないことも効果的です。
電気代の節約方法8.電源のつけっぱなしに注意する
電気製品のつけっぱなしをしないことも、電気代の節約に有効です。
エアコンなら、使用時間を1時間短くすることで、冷房なら年間約510円、暖房なら年間約1,100円の節約になります(冷房は設定温度28度、暖房は20度の場合)。
また、つけっぱなしにしがちなテレビや照明なども、使わないときにはスイッチをオフにしましょう。リモコン機能でオフにするだけでは待機電力を消費するため、主電源・壁スイッチを切るとより効果的です。
ただし、照明は極端にこまめに付けたり消したりを繰り返すと、ランプの寿命が短くなることがあるそうです。しばらく使わないときにオフにするといいですね。
ここまで、電気代の節約方法を複数ご説明しました。すべてを実践するのは難しいですから、できそうな節約方法を1つ、2つでも試してみてはいかがでしょうか。
なお、家の中の器具には電気を使うものだけでなく、ガスや石油を使うものもあります。電気代だけではなくガス代など、光熱費全体を節約できれば、家計によりゆとりが生まれます。プロのファイナンシャル・プランナー(FP)に相談して、自身のライフスタイルを総合的に確認しながら、節約方法を検討すると良いのではないでしょうか。
※本ページに記載されている情報は2021年2月12日時点のものです
【参考文献】
■総務省「家計調査 家計収支編」
■東京都環境局「平成26年度 東京と家庭のエネルギー消費動向実態調査 報告書」
■資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2020年版」
■資源エネルギー庁「エネルギー白書2020」
ほか
加藤 梨里(かとう りり)
ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー マネーステップオフィス株式会社代表取締役 保険会社、信託銀行、ファイナンシャル・プランナー会社を経て独立。 専門は保険、ライフプラン、節約、健康経営など。マネーに関する記事のほか、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方や企業向け健康経営など健康とお金に関する執筆実績も豊富。http://moneystep.co