遺族年金を考えよう
生命保険の必要保障額を考えるうえで遺族年金の受給額は大切なポイントです。どの遺族年金をどのくらいの期間、いくらくらいもらえるのか、を自分の場合で知ることが大切です。遺族年金の仕組みと、受給額の試算の方法について紹介します。
目次
遺族年金とは
国民年金、厚生年金の被保険者が死亡した場合、遺族に対して年金が支払われます。これが遺族年金です。どの年金に加入していたかで受給できる年金の種類が異なります。
・国民年金に加入(第1号被保険者、第3号被保険者)……遺族基礎年金
・厚生年金に加入(第2号被保険者)……遺族基礎年金と遺族厚生年金
では、遺族基礎年金と遺族厚生年金それぞれの仕組みをみてみましょう。
●遺族基礎年金
・支給要件
被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした人が死亡したときに支給されます。ただし、死亡した人の保険料納付期間が加入期間の3分の2以上あることが要件です。保険料納付期間には保険料免除期間も含みます。
・対象者
受給できるのは、死亡した人によって生計を維持されていた、子のある配偶者または子です。ただし、子とは、18歳到達年次の末日(3月31日)を経過していない子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子を指します。
・年金額
年金額は「78万100円+子の加算」です。(平成27年9月現在)
子の加算は、第1子、第2子が各22万4,500円、第3子以降各7万4,800円なので、
18歳未満の子が1人の期間:100万4,600円
18歳未満の子が2人の期間:122万9,100円
18歳未満の子3が人の期間:130万3,900円
となります。
●遺族厚生年金
・支給要件
被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したときに支給されます。ただし、死亡した人の保険料納付期間が加入期間の3分の2以上あることが要件です。保険料納付期間には保険料免除期間も含みます。そのほか、老齢厚生年金の資格期間を満たした人が死亡したとき、1級・2級の障害厚生年金を受けられる人が死亡したときも該当します。
・対象者
受給できるのは、死亡した人によって生計を維持されていた妻、子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)、55歳以上の夫・父母・祖父母のいずれかです。
妻は子の有無にかかわらず一生涯遺族厚生年金を受け取ることができますが、子のいない30歳未満の妻については、5年間の有期年金になります。
・年金額
年金額は平均標準報酬月額をもとに算出されるため、個人ごとに金額は異なります。
(平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数)×3/4
※ただし、被保険者期間が300月未満の場合には、300月とみなして計算
・中高齢の加算について
次の場合には、40歳から65歳になるまでの間、中高齢の加算(58万5,100円/年)を受給できます。
○夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満の生計を同じくしている子がいない妻
○遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻(※)が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき。
※40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る。
遺族年金の受給額の目安は?
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、それぞれに支給要件や金額も異なるため、複雑な仕組みになっています。また、もらえる金額は子どもの年齢などとともに変化していきます。
まずは例で見てみましょう。
《例》会社員の夫が死亡
夫の死亡時における家族の年齢 妻:35歳、第1子:5歳、第2子:2歳
夫の厚生年金被保険者期間 140ヶ月間、平均報酬月額 30万円
妻の老齢基礎年金は満額とする
このように、受給できる年金額は変わっていきます。厚生年金に加入している人は、平均標準報酬月額はわかりにくいので、「ねんきん定期便」を参考に、次の方法で遺族厚生年金の年金額を試算することができます。
・「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」の欄の数字・・・A
・「これまでの年金加入期間」のなかの「厚生年金」の欄の数字・・・B
<加入月数が300月未満の場合>
遺族厚生年金の概算=Aの年金額÷Bの加入月数×300×3/4
<加入月数が300月以上の場合>
遺族厚生年金の概算=Aの年金額×3/4
自分はいつどのくらいもらえるのか、ということを一度試算してみると生命保険の必要保障額を計算するうえでも目安ができるでしょう。