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【FP解説】10万円からできる資産運用!超初心者向け

資産運用をしてみたいけれど、失敗するのが怖いという場合に、まずは10万円くらいまでで試す方法はあるのでしょうか?予算10万円の資産運用で利益は出るのでしょうか?元本割れせずに投資はできるでしょうか? シミュレーションとともにFPが解説します。

目次

予算10万円で資産運用はできる?

資産運用をするとき、特に初めての場合には損をしないかと心配に思うのではないでしょうか。失敗しても大きな痛手にならないように、まずは少額から始めてみると安心ですよね。

少額から資産運用をする方法には、月々1万円などの一定額をコツコツ積み立てて投資する方法と、手持ちのお金のうち10万円などまとまった金額を投資する方法があります。ボーナスなどでまとまったお金が入ったら、そのうち10万円くらいなら投資してみてもいいかな、と思うことがあるかもしれません。

株式などの投資は、もっと高額な予算がないとできないというイメージもあるのではないでしょうか。日本証券業協会の調べによると、実際に資産運用をしている人のうち、保有額が10万円未満の人は8%にすぎません。
図表1

初稿_【MSO】0206資産運用10万円_図表のご依頼_01

このようなデータを見ると、10万円では資産運用はあまりできないように見えてしまいますが、実はそんなことはありません。10万円あれば手が届く資産運用はいくつもあります。

10万円からできる資産運用の方法

そこで、予算10万円でチャレンジできる資産運用の方法を解説します。

●株式
資産運用や投資というと、まず思い浮かぶのが株式投資ではないでしょうか。かつて株式投資は数十万円や100万円単位など高額な資金がないと手を出し難いものでした。

今でも、すでに株式投資をしている人の中では保有額が10万円未満の人は約9%と少数派ではありますが、10万円あれば購入できる株式はたくさんあります。

図表2

出典:日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査【インターネット調査】2019年」

株式には「単元株」という売買単位が各銘柄に設定されており、基本的にはその株数以上から購入することができます。単元株以上の株数を購入することで、その企業の株主になります。

多くの銘柄は単元を100株や1,000株としています。1株のものもあります。新聞の株式欄に掲載される各企業の株価は1株あたりの価格で、これに単元株数をかけた金額から購入できるわけです。

たとえば、単元株100株の銘柄の株価が1,000円なら、最低10万円あれば買えます。

現在、10万円以下で単元株を購入できる日本の株式は2,000銘柄以上、このうち大企業を中心に上場している東京証券取引所(東証)1部でも約1,000銘柄あります。10万円あれば、十分に株式投資を始められるのです。

なお、現在は株式投資には年間120万円までの投資額に対して、通常は利益の20.315%が源泉徴収される所得税がかからない「NISA(少額投資非課税制度)」があります。

もし、毎月10万円ずつ株式に投資をしても、NISAの制度で購入すれば年間120万円ですので、利益には税金がかかりません。課税されない期間は最長5年間です。

図表3 NISAの概要
【MSO】0206資産運用10万円_図表03

●ミニ株
株式は基本的に単元株以上の数量でないと買うことができませんが、実はそれ以下で買う方法もあります。「ミニ株(株式ミニ投資)」と呼ばれ、一部の証券会社が提供しているサービスです。

こまかな条件は証券会社によりますが、単元株の10分の1の株数から購入できます。たとえば単元株100株の銘柄の株価が1,000円のとき、100株買うなら10万円必要ですが、ミニ株なら10株を1万円で買えるわけです。証券会社によってはさらに少量の100分の1、1,000分の1から買えるサービスを提供しているところもあります。

ミニ株では保有株数が単元未満のため、株主にはなれません。株主でないとその企業の株主総会に出席することはできず、ごく一部の銘柄を除き株主優待を受け取る権利もありませんが、配当金が出たときには株数に応じた配当を受け取ることができます。

また、のちに同じ銘柄の株式を買い増して単元数以上になったら、通常の単元株になります。

通常の株式投資に比べると取引をできる時間や価格の条件などに制約があり、取扱銘柄も証券会社によって異なりますが、有名企業の株を買ってみたいけれど株価が高い、単元株数が多くて予算が足りないときにも、気軽に株を買うことができそうです。

●投資信託・ETF
なにか資産運用をしてみたいけれど、株式投資はリスクが高そう、どんな銘柄を選べばよいかわからないようなときには、投資信託を選ぶ方法があります。

投資信託とは、お金を出す投資家から集めたお金をまとめて「ファンド(基金)」を作り、運用の専門家であるファンドマネージャーが運用するものです。ファンドマネージャーは市場の動向や各企業の業績などを分析して、集めたお金を使って運用方針に合った株式や債券、不動産などに投資をします。

図表4
【MSO】0206資産運用10万円_図表04

投資信託に集まったお金で購入する株式や債券は値動きしますので、ファンド全体の価値も変動します。それが投資信託の価格である「基準価額」に反映されます。

基準価額は1日に1回決まり、毎日値動きします。資金を募って投資信託を運用開始するときには、基準価額は1万円(通常1万口あたり)に設定することになっています。

このため、運用によってファンドの時価評価は変動しますが、現在日本で扱われている投資信託の多くは基準価額が1万円前後で推移しています。

また、投資信託の単位は「口数」で示し、基準価額は1万口あたりの価値を意味しますが、購入するときには「最低1万円から1円単位」など、金額での最低購入単位が設定されています。

つまり、基準価額の高い投資信託でも、「10万円分」のように金額を指定して買うことができます(金額に合わせて、購入口数が決まります)。

2020年2月現在、一般向けとして購入できる日本の投資信託は約6,000ファンドあります。そのほとんどが投資対象に株式を含むものですが、その組み入れ比率や銘柄はさまざまです。日本株を中心に組み入れる投資信託もあれば、新興国の債券を多く含むものもあります。

また、なかにはETF(Exchange Traded Funds)といって、東京証券取引所などの取引所に上場しているものもあります。

日経平均株価や東証TOPIXなど、株価の指数に連動する投資信託で、株式と同じように取引時間中には価格が変動します。売買単位は銘柄によって10口や100口などに設定されていますが、おおむね1万円台で買えるものが多いようです。

図表5
初稿_【MSO】0206資産運用10万円_図表のご依頼_03

投資・運用の悩みはファイナンシャルプランナーに相談しませんか?

●個人向け国債
株式はリスクが高そう、もう少しリスクが低いもので資産運用したいときには、個人向け国債を選ぶのもよいでしょう。

個人向け国債とは、日本の国が発行している債券のうち個人が買えるものです。最低1万円から、1万円単位で購入できます。証券会社のほか、銀行や信金、ゆうちょ銀行などで扱っています。

債券はお金を借りる国や企業が、貸してくれる人に発行する借用証書です。このうち国債を買うと、日本の国にお金を貸したことになります。

また債券を保有している間には、発行者(お金を借りた国や企業)が利息を払い、満期には「償還」といってお金を返すことになっています。現在、日本で発行されている個人向け国債は利息の付き方や満期により3種類あります。

・変動10
保有中に受け取る利息の利率が変動金利で、満期が10年の個人向け国債です。利息は年2回つきます。債券市場の金利の動向に応じて、満期までの間に利率が変わることがあります。

・固定5
保有中に受け取る利息の利率が固定金利で、満期が5年の個人向け国債です。利息は年2回つきます。債券市場の金利動向にかかわらず、発行されたときの利率が満期まで続きます。

・固定3
保有中に受け取る利息の利率が固定金利で、満期が3年の個人向け国債です。利息は年2回つきます。債券市場の金利動向にかかわらず、発行されたときの利率が満期まで続きます。

いずれも、元本部分は価格変動がありません。また発行から1年以上たてば国の買い取りにより換金することができます(ただし、直近2回分の利子相当額の約0.8倍が差し引かれます)。

図表6
【MSO】0206資産運用10万円_図表06
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/outline/
出典:財務省「個人向け国債」

なお、個人が買える日本の国債にはもうひとつあります。「新型窓口販売方式国債」というもので、基本的なしくみは個人向け国債と同じです。

違うのは最低購入単位が5万円から5万円単位であること、債券市場の動向に合わせて価格が変動し、いつでも売却できることです。また、すべて固定金利のタイプで、満期の設定も異なります。

図表7
【MSO】0206資産運用10万円_図表07
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/shinmadohan/outline/
出典:財務省「新型窓口販売方式国債」

10万円の資産運用で利益はどれくらい出る?

10万円あればさまざまな資産運用をできることがわかりましたが、どれを選べばよいのでしょうか? その際に気になることのひとつには、「どれくらい利益が出るか?」も大きいでしょう。

上述した株式や投資信託、債券はいずれも値動きをするものですから、期待できる収益を確実に予測することはできません。ただ、そのしくみや性格上、期待できる利益のおおよその目安はあります。

それぞれについて、10万円で運用したときのシミュレーションをみてみましょう。

●10万円を資産運用したときのシミュレーション
下図は、10万円を元手に資産運用をしたとき、10年間での元本と利益の合計額の推移を、利回りの水準別に示しています。

利回り0.01%は、普通預金・定期預金(2020年3月現在)と同じ水準です。運用を10年間続けても、10万円の元本は10万100円(税引き前)にしかならず、ほとんどお金が増えないことがわかります。

利回り0.05%は、個人向け国債・新型窓口販売方式国債の2020年3月現在の利率です。もともと、これらの国債は最低利率が0.05%に設定されています。

現在はマイナス金利の影響で、実は市場動向に合わせた金利水準はもっと低いのですが、個人向け国債については最低でも0.05%の金利をつけることを国が約束しているのです。

0.05%の利率が10年間続くとしたら、10年後には元利合計約10万500円になります。

投資信託や株式で運用した場合、選ぶ銘柄によって収益率は大幅な差がありますが、3~5%の利回りを目指すのは一般的には不可能ではない水準です。仮に利回り1%なら、10年後には約11万円、3%なら約13万円になる計算です。

どんな金融商品で運用するかによって、10万円の元手がいくらになるかに差が出ることがわかりますね。

図表8

※筆者作成
※利息は税引き前
※0.01%、0.05%は預金、個人向け国債に合わせ半年複利で計算、1%、3%は1年複利で計算

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資産運用・投資のリスクを下げるには

10万円でのスタートでも、資産運用でお金を増やす期待ができることがわかりました。しかし運用にはリスクがあることも忘れてはいけません。

購入時よりも価格が下がってしまう、株式や債券を発行した企業や国が破たんして、元本が戻ってこないなどのリスクを想定したうえで始めることが大切です。

ただ、リスクをゼロにすることはできないものの、運用のしかたを工夫すればリスクを抑えることはできます。

●分散投資をすればリスクを抑えられる
資産運用でリスクを抑える方法として最も重要なのが「分散投資」です。分散投資には4つの方法があります。

図表9

(1)資産分散
お金を投じる対象を、預貯金のほかに株式、債券、投資信託など複数の種類に分散することを「資産分散」といいます。異なる複数の資産に分けて投資をすることで、どれかの価値が下がっても他方の価値は上がるなどで、全体では損失を抑えられる効果を期待できます。

リスクの大きさは資産の種類によって違います。一般的には、預貯金は最もリスクが低く、債券、投資信託、株式の順にリスクが高い傾向があります。同時に、それだけ期待できるリターン(収益)も違います。
図表10
初稿_【MSO】0206資産運用10万円_図表のご依頼_04

資産運用をするときには、全体でいろいろな種類の資産を保有するようにしましょう。もし、資産運用にあてる10万円のほかに預貯金があれば、これから投資するのは投資信託や株式などリスクのあるものでもよいかもしれませんし、あまり預貯金がないなら、預貯金を貯めることも同時に進めながら、まずは債券など安定性の高いものから投資してみてもよいでしょう。

(2)時間分散
一度に多額のお金を投じるのではなく、少額ずつタイミングを分けて投資することを「時間分散」といいます。10万円すべてを一気に投資するのではなく、今月3万円、来月3万円と、時間をおいて投資するような方法です。

常に値動きをする運用商品は、いつが安い買い時なのかを見極めるのは難しいことですが、少しずつ時間をずらして購入することで、高値でつかむことなく、購入単価を平均化する効果があります。

毎月1万円ずつなどを継続的に購入して投資する「積立投資」は、時間分散の代表的な方法です。しかし積立ではなくても、予算をわけて買うことで、時間分散をすることができます。

(3)地域分散
投資先の地域や通貨を分散させることを「地域分散」といいます。日本の国債や日本企業の株式ばかりでなく、外国の債券や株式にも投資をすることや、日本円だけでなく米ドルやユーロ、豪ドルなど複数の通貨建ての資産を持つことです。

世界全体が金融危機に瀕したときには、国や地域、通貨を問わず価値が下がってしまうことはありますが、一部の国の経済が不況の際に、他の国が好況なら、資産全体の運用成績を安定させる効果を期待できます。

(4)長期投資
資産運用は長期間にわたって継続することで、リスクを抑え、また収益率を高める効果も期待できるといわれています。

過去の実績から、国内外の株式と債券に積立、分散投資をした場合、保有期間が5年なら高い収益が出ることもあれば損失が出ることもある一方、保有期間が20年なら年率2~8%の収益率におさまるという結果も出ています。

図表11
【MSO】0206資産運用10万円_図表11
出典:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」より
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

リスクを取らずに資産運用できる?

このように、資産運用にはリスクを抑える手法があります。初心者の人でもそれほど難しくなく取り入れられるので、運用を始めるときにはぜひ意識したいものです。

ただ、それでもやはり自分のお金で投資をするのは抵抗があると感じるときには、よりハードルの低い方法もあります。それが、ポイントや買い物のおつりを使った投資です。

●ポイント運用・投資
ポイント運用やポイント投資とは、ポイントカードやネットショッピングなどのポイントサービスで貯まるポイントを原資に資産運用をできるものです。

このうちポイント運用は、ポイントを使って株式や投資信託を購入する疑似体験をできるものです。実際の株式指数や投資信託の値動きに連動して、手持ちのポイント数が変動します。

もちろん、運用したポイントは好きなタイミングで買い物に使うことができます。

また、ポイント投資は、手持ちのポイントで株式や投資信託を実際に購入するものです。証券会社に口座を開いて運用しますので、一般的な運用とほぼ同じしくみです。

元手がポイントなので、自分のお金を投じて運用するときに比べると、もしも損失が出てしまったときのショックが小さくすみそうです。

●おつり投資
おつり投資は、買い物をしたときのおつりを使って投資信託を購入して運用するものです。家計簿アプリなどと電子マネーやクレジットカードをあらかじめ登録しておくと、買い物をしたときのデータをもとにおつりに相当する金額を自動的に預金口座から引き落とし、投資信託を購入するしくみです。

たとえば1,000円単位でおつりを算出するように設定しておいたとき、800円の買い物をしたらおつりは200円になります。そして、200円で投資信託を購入します。

現在はスマートフォンのアプリやクレジットカード、電子マネーでのキャッシュレス決済のデータを使って投資をするしくみのサービスが中心ですが、金融庁によると、現金で買い物をしたときに出たおつりでも投資をするしくみの開発も進んでいるようです。

今後は、買い物のおつりのような少額で気軽に投資をできる機会が増えるかもしれません。

図表12

資産運用を気軽に始める方法はたくさんあります。また、リスクのある運用は余裕資金で行うことが大切ですが、余裕資金の幅は自分のお金だけでなく、ポイントなどにも広がりつつあります。

まずは10万円程度から始めたい人も、今後はよりいろいろな運用に挑戦したい人も、自分に合った無理のない運用方法を見つけたいものですね。

ファイナンシャルプランナー(FP)は、家計の収支や将来に確保したい資産額などを踏まえながら、資産運用に関わる相談にも対応しています。

※本記事の情報は運用・投資による利益を保証・確約するものではありません。運用・投資にはリスクがあります。価格の変動などにより、元本が割れる恐れのある商品があります。運用を検討する際には、必ず販売者や専門家から直接説明を受け、十分に理解のうえ、ご自身の判断により行ってください。
※本ページに記載されている情報は2020年3月16日時点のものです

【参考文献】
■日本証券業協会 個人投資家の証券投資に関する意識調査
http://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/2019kozintousikaishikichousa.pdf
■投資信託協会 投資信託の全体像(純資産総額・ファンド本数)
https://www.toushin.or.jp/statistics/statistics/data/
■財務省 個人向け国債
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/knowledge/basic/index.html
■金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」より
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
■金融庁 「FinTech実証実験ハブ」支援決定案件について
https://www.fsa.go.jp/news/30/20181108.html

加藤 梨里(かとう りり)

マネーステップオフィス株式会社

ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、金融知力インストラクター、健康経営アドバイザー マネーステップオフィス株式会社代表取締役 保険会社、信託銀行、ファイナンシャル・プランナー会社を経て独立。 専門は保険、ライフプラン、節約、健康経営など。マネーに関する記事のほか、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方や企業向け健康経営など健康とお金に関する執筆実績も豊富。 http://moneystep.co/