バイク保険

バイク保険

 二輪車の事故により自分や他人が死亡・ケガした場合の、死亡・後遺障害・入院等による損害に備えられる保険です。

バイク保険の概要

バイク保険の基本用語

名称意味
保険金損害が発生した場合に支払われるお金のことです。
保険金額損害が発生した場合に、補償をしてくれる限度額のことです。
対人賠償事故の結果、死亡や休業などの損害を負わせてしまったときに、法律上、賠償しなくてはならない場合の補償のことです。
対物賠償事故の結果、物の損壊やその事故のための休業による売り上げの減少などの損害を負わせてしまったときに、法律上、賠償しなくてはならない場合の補償のことです。
逸失利益事故に遭わなければ本来得られていたはずの収入のことです。
後遺障害失明や腕を喪失するなど、将来も回復の見込みがないと医学的に認められた障害のことです。約款に規定されています。

バイク保険は、オートバイ、原動機付自転車などの二輪車に掛ける保険の総称です。
バイク保険は、大きく強制保険と任意保険の2つに分けて考えます。

バイク保険とは

強制保険とは、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)のことで、文字通り強制的に加入する保険であり、バイクを所有・使用する場合に加入する必要があります。(自動車に対しても同様の保険があります。)

しかし、対人補償しかない点や、賠償金・治療費の補償金額が発生しうる損害賠償額に対して 保険金額損害が発生した場合に、補償をしてくれる限度額のことです。 が十分ではない点から、強制保険のみでは対応しきれないケースが存在します。

たとえば、バイク事故は大きな損傷を負う可能性が高いです。ただし、強制保険では対人補償のみのため、自分自身へのケガなどの補償を得るためにバイク保険を検討すると良いでしょう。
また、相手方への補償という面でも、過去10年間において、 逸失利益事故に遭わなければ本来得られていたはずの収入のことです。 や介護費用なども含めて賠償金が3億円超の判決が数回出ており、その他にも高額な賠償事例があります。
このようなケースにおいては、強制保険では補いきれないため、任意保険を準備しておかないと支払いが難しくなります。

そのため、任意保険に未加入でも罰則はありませんが、任意保険にも必ず入る方が良いでしょう。

強制保険と任意保険の違い

強制保険(自賠責保険)

強制保険は、「交通事故による被害者を救済するために、加害者が負うべき経済的な負担を補填することで、基本的な 対人賠償事故の結果、死亡や休業などの損害を負わせてしまったときに、法律上、賠償しなくてはならない場合の補償のことです。 を確保すること」を目的としています。

原動機付自転車(いわゆる原付バイク)を含むすべての自動車に加入が義務付けられており、未加入者には罰則があります。

ただし、万が一無保険車による事故、ひき逃げ事故が発生した場合でも、被害者に対しては、政府保障事業による救済措置が用意されています。

任意保険

任意保険は、強制保険だけでは補償されない部分をカバーする保険です。

物に対する補償や車自体の損害、人に対する補償も、保険商品によっては限度額なしに補償することが可能です。
また、事故時に相手方への示談交渉を代替して行ってくれる「示談交渉サービス」が自動付帯されている場合が多く、任意加入ではあるものの、事故後の問題解決をスムーズに図る上では加入しておくべき保険であると言えるでしょう。

強制保険(自賠責保険)と任意保険の保険金額の主な違い

損害の種類強制保険任意保険
死亡による損害3,000万円~無制限
後遺障害失明や腕を喪失するなど、将来も回復の見込みがないと医学的に認められた障害のことです。約款に規定されています。 による損害4,000万円~無制限
傷害による損害(実損払)120万円~無制限
傷害による損害(定額払)設定不可設定可能
車両への損害設定不可設定可能
その他(弁護士費用等)設定不可設定可能

バイク保険(任意保険)の保険料の考え方

  • ノンフリート等級について

    ノンフリート等級制度とは、契約者の事故歴に応じて自動車保険の保険料を割引き・割増しする制度です。
    等級は1等級から20等級まであり、等級が高いほど割引率も高く、等級が低いほど割引率が低くなります。
    初めて加入する場合は6等級からスタートします。
    ※契約条件によっては7等級からスタートする場合もあります。
    そして1年間事故がなければ1等級ずつ上がっていきますが、事故を起こしてバイク保険を使うと、事故の種類に応じて、次年度は1もしくは3段階等級が下がります。

    ノンフリート等級について

    また、同じ等級でも事故の有無によって割引率が異なるため、事故で保険を使った場合は同じ等級の無事故の人よりも割引率が低くなり、保険料水準は高くなります。

  • 事故有係数適用期間について

    事故有係数適用期間について

    等級とは別に、「事故有係数適用期間」によっても割引率・割増率が変動します。
    事故有係数適用期間とは「事故有」の割引率が適用される期間のことです。事故有係数適用期間が0年のときは「無事故」が適用されますが、事故有係数適用期間が1~6年の場合「事故有」扱いとなり、「無事故」に比べて割引率が低くなります。

    保険開始日から1年間経過するごとに事故有係数適用期間を「1年」を減算し、下限の0年になると「無事故」扱いとなります。

運転者の範囲

年齢条件

保険会社によって区分は多少異なりますが、保険の対象となるバイクの使用者の中で、最も若い人の年齢によって保険料が増減します。

年齢区分の例

  1. 年齢問わず補償:限定なし
  2. 21歳以上を補償:21~25歳
  3. 26歳以上を補償:26~29歳
  4. 30歳以上を補償:30歳以上

たとえば、30歳以上の人を補償するという設定をしていた場合に、29歳の人が運転していて事故を起こしても、 保険金損害が発生した場合に支払われるお金のことです。 が支払われないため注意が必要です。

運転する人の範囲

保険料は、運転する人の範囲が限定されていると安く、範囲が広いと高くなります。

  1. 本人のみ
  2. 本人+配偶者のみ
  3. 本人+配偶者+同居の家族のみ
    (※別居の未婚の子も含む)
  4. 限定なし

補償内容について

補償の役割ごとに分類すると以下のようになります。

  • 対人賠償保険

    人をケガ・死亡させた場合の損害賠償額を補償する保険

    <ポイント>ケガの治療費をはじめ、死亡や後遺障害の場合の賠償費用も億単位になるケースもあり、強制保険だけではまかないきれない状況もありえるため、賠償額を無制限に設定して加入すると安心です。

  • 対物賠償保険

    他人の物を壊した場合の損害賠償額を補償する保険

    <ポイント>高額な物を運んでいるトラックなどとの事故や、店舗等に突っ込んだ場合など、逸失利益も高額になるケースに備えて、保険金額は無制限で加入すると安心です。

  • 車両保険

    バイク自体の損害を補償する保険

    <ポイント>補償範囲(一般条件、エコノミー条件)と保険金額、免責設定をどのようにするかによって保険料が変わります。

  • 傷害保険(搭乗者傷害保険)

    バイク事故でケガした部位や内容に応じて、あらかじめ契約で決められた金額を補償する保険

    <日額払の例>入院日額1万円・通院日額5千円 など

    <部位・症状別払の例>入院または通院が4日以内→1万円の支払 / 5日以上→打撲や捻挫は10万円 / 骨折や靭帯断裂なら30万円 など

  • 傷害保険(人身傷害保険)

    治療関係費や休業損害、精神的損害等で掛かった費用分を実費で支払う保険

    <ポイント>保険金額は無制限まで設定が可能です。上限設定が高い方が保険料は高くなるため、状況に合わせた設定が必要です。

    人身傷害保険は、ご契約の車または他の車(自家用5車種に限ります)に搭乗中や歩行中などの自動車事故で死傷した場合の治療費用も補償されます。

    ※ 自家用5車種とは自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車、自家用軽四輪貨物車、自家用小型貨物車になります。

  • 弁護士費用特約

    バイク事故で被害を受け、相手方に損害賠償請求を行う場合にかかる費用・もらい事故等で法律上の賠償責任がないにもかかわらず、損害賠償請求された場合の弁護士の費用を補償する特約

    <ポイント>一般的に、弁護士費用:300~500万円限度 / 法律相談費用:5~30万円かかるとされています。もらい事故の場合など、保険会社の示談交渉サービスが使えない場合、弁護士に相談する必要が出てくる可能性があります。その場合の費用が補償されます。

車両保険の補償範囲と保険金額

補償範囲

補償範囲
  1. 自動車以外の物への衝突
  2. あて逃げ
  3. 転覆、墜落
  4. 自動車同士の衝突
  5. 火災、爆発
  6. 盗難
  7. 台風、洪水、高潮
  8. 窓ガラス破損、いたずら
  9. 物の飛来、落下
  10. 地震、噴火、津波(※特約で付帯)
保険金額

車両の時価額までを補償

次の条件により範囲が異なります。

一般条件:上記の内1~9が補償されます。

エコノミー条件:上記の内4~9が補償されます。

保険金額

車両保険の保険金は、その自動車の価値に対して支払われます。新車で購入した車でも、時間が経つと経年劣化し、徐々に価値が失われていきます。

そのため、自動車が古くなるにつれ、受け取れる保険金額も少なくなります。

そこで、自動車が古くなっている場合、車両保険が必要かどうかも含めて検討しましょう。

高額な賠償事例

過去の賠償事例としては、対人・対物それぞれで億単位となる場合も発生しています。

対人事故の例

認定総額被害額:5億2,853万円
  • 判決年月日:2011年11月1日
  • 被害者性別年齢:男性41歳
  • 被害者職業:眼科開業医
  • 被害態様:死亡
認定総額被害額:3億9,725万円
  • 判決年月日:2011年12月27日
  • 被害者性別年齢:男性21歳
  • 被害者職業:大学生
  • 被害態様:後遺障害
認定総額被害額:3億9,510万円
  • 判決年月日:2011年2月18日
  • 被害者性別年齢:男性20歳
  • 被害者職業:大学生
  • 被害態様:後遺障害

対物事故の例

認定総額被害額:2億6,135万円
  • 判決年月日:1994年7月19日
  • 被害物件:積荷(呉服・洋服・毛皮)
認定総額被害額:1億3,580万円
  • 判決年月日:1996年7月17日
  • 被害物件:店舗(パチンコ店)

※引用:損害保険料率算出機構発行「自動車保険の概況」(2016年度)内
「第41表 交通事故高額賠償判決例(人身事故」「第42表 交通事故高額賠償判決例(物件事故)」より

加入のポイント

加入のポイントは、補償額が適切かどうかという点です。

たとえば、運転する回数が多い場合、運転距離が長い場合、高速道路の利用が多い場合などは、事故に遭う確率や、事故の規模も大きくなりがちです。

そのような場合は、過去に起きた事故の賠償額を参考にして保険を選択すると良いでしょう。

一方で、運転回数が少ない・運転距離が少ない場合は、保険金額を少額にすることを検討しても良いでしょう。

さらに、保有しているバイクが高額ではない場合、車両補償を外すもしくは小さくすることで、保険料を下げることも可能です。

  • 割引条件の確認

    主に運転する人の運転免許証の色、車の使用目的、年齢条件によって割引額などが変わるため、同じ保険会社で更新するとしても、適切な保険に入っているかどうかを毎年確認するようにしましょう。

    • 運転する人の範囲(本人のみ、家族のみ、限定なし等)
    • 運転する人の年齢条件(20歳以下、30歳以上のみ等)
    • 運転する人の免許証の色(ブルー、ゴールド)
    • 運転するバイクの使用用途(通勤使用、日常・レジャー使用)
    • 運転するバイクの年間走行距離
  • 補償内容

    • 弁護士特約
    • 人身傷害特約の搭乗中以外を補償する部分
    • 携行品損害の補償

    バイクを複数台所有されている方は、上記の3点について各保険で補償が重複していないか確認すると良いでしょう。

見直しのポイント

  • 自分の状況にあったプランかどうか確認する
  • 契約内容の重複がないか確認する

主に運転する人の運転免許証の色(ゴールドや青など)、車の使用目的、年齢制限などで割引額も変わるため、今までと同じ保険会社で更新する場合であっても、そのときの自分の状況に沿ったものであるか毎回確認するようにしましょう。
また、バイク保険を切り替える場合には、契約が重複しないように注意しましょう。

新しい保険に加入した場合、前の保険は更新しない旨をその保険会社へきちんと連絡することが必要です。

見直しのタイミング

保険会社も含めて新規で切り替えを検討する場合には、責任開始日に注意しましょう。
現在契約している保険の満期日を迎えた後に切り替える場合には、問題ないのですが、新しい契約の場合は満期日を待たずに、契約をしてしまうと最悪の場合、今の等級を引き継ぐことができなくなってしまう恐れがあります。

継続して契約を行う場合には、現在の保険会社、新しい保険会社を問わず、満期日よりも1ヶ月以上前に継続契約をすることで、更に割引をする保険会社もあるため、満期の2か月前から見直しを検討し始めると良いでしょう。
※継続契約する場合には、満期日を過ぎた後に新しい保険の責任開始日となります。

他にも、通勤に車を利用しなくなった場合や、ゴールド免許を取得した場合、運転する人数に変更があった場合など、自分の環境が変わったときは、保険の見直しのタイミングです。

補償内容の項目で確認した対人賠償や 対物賠償事故の結果、物の損壊やその事故のための休業による売り上げの減少などの損害を負わせてしまったときに、法律上、賠償しなくてはならない場合の補償のことです。 などの6点がきちんと過不足なく設定されていることは前提として、さらに自分の状況に合わせた割引きが適用されている状態を目指しましょう。

事故時の請求について

事故にあった場合、まずは『人命、法律、補償』という順番を意識し、『救急車、警察、保険会社』という順番で連絡しましょう。
また、事故時には気が動転してしまうことも考えられますが、できるだけ現場の写真などを撮っておくと、その後における事故状況の説明などがスムーズに行えます。

たとえば、過失割合の算定や、物損状況の確認が必要な場合もあるため、なるべく状況を後から振り返られるように、写真を撮影しておきましょう。

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