年金保険とは、主に老後資金の計画的な準備のために加入する積立の保険です。ケガなどの保障という意味合いよりも、貯蓄目的が強い保険となります。
まずは公的年金制度について確認していきましょう。
公的年金は、会社勤めの場合だと給与天引きで毎月支払っていますが、結果として老後にどのくらい受給できるのでしょうか。
目安を確認していきましょう。
また、その後に民間の年金保険のしくみや選び方も見ていきましょう。
公的年金は、20歳から60歳までの日本国民が等しく加入し、65歳から給付を受けるものです。
公的年金は賦課(ふか)方式と呼ばれる方法で積立をします。
賦課(ふか)方式とは、現在自分が納めている年金が、現在の65歳以上に給付されている年金の原資となるしくみです。
給付を受ける年齢となったときは、自分が今まで払ってきた国民年金が積み立てられた結果としての給付ではなく、自分より若い世代が納めている年金が給付されているということになります。
公的年金には、国民年金と厚生年金の2種類があります。国民年金は、払ってきた年数に応じて老後に受給できる金額が変わります。
厚生年金は、加入の期間だけでなく、加入していた間の平均給与によって受給金額に差が出ます。
これは、加入期間中に給与の高かった人の方が、その分多くの厚生年金保険料を納めていることになるからです。
また、2015年10月までは、公務員が加入する共済年金というカテゴリーがありましたが、この共済年金は厚生年金にまとめられました。
共済年金の加入者は、職域加算という加算年金の給付から、年金払い退職給付という給付に変わり、給付を受けられることになりました。
厚生労働省の平成25年度の調査によると、公的年金の月額平均受給額は、以下のようになっています。
また、厚生労働省が発表している、モデル世帯における夫婦二人の平均年金支給額は1カ月当たり22万円です。
出典:「平成25年度厚生年金保険・国民年金事業の概況について」(厚生労働省)
(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12509000-Nenkinkyoku-Chousashitsu/0000068697.pdf)
生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」によると、老後に必要だと考える生活資金は、夫婦2人で最低限が平均月22万、ゆとりのある生活が35万円です。
生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/平成28年度
仮に夫が80歳、妻が87歳の平均寿命まで生きたとし、夫の死亡後の妻の生活費は、それまでの50%とします。
この場合における老後に必要な生活資金は、最低限の生活をする場合、毎月の生活費を22万円とすると4,884万円かかります。
また、ゆとりある生活をする場合は、毎月の生活費を35万円とすると7,770万円かかります。
(生活費22万円 × 12ヶ月) × 15年 +(生活費11万円 × 12ヶ月)× 7年 = 4,884万円
(生活費35万円 × 12ヶ月)× 15年 +(生活費17.5万円 × 12ヶ月)× 7年 = 7,770万円
公的年金のみを生活費に充てると、国民年金の場合は総額2,200万円受け取れますが、最低限の生活に必要な4,884万円と比べると、2,684万円不足します。
(月額支給額10万円 × 12ヶ月)× 15年 +(月額支給額5万円 × 12ヶ月)× 7年 = 2,200万円
2,200万円 - 4,884万円 = -2,684万円
夫が厚生年金、妻が国民年金の場合は総額4,020万円受け取れますが、最低限の生活に必要な4,884万円と比べると、864万円不足します。
(月額支給額20万円 × 12ヶ月)× 15年 +(月額支給額5万円 × 12ヶ月)× 7年 = 4,020万円
4,020万円 - 4,884万円 = -864万円
夫も妻も厚生年金となると、総額6,600万円受け取れるため、最低限の生活に必要な4,884万円と比べると、生活費が不足することはありません。
しかし、ゆとりのある生活にかかる費用7,700万円と比較すると1,100万円不足する計算になります。
(月額支給額30万円 × 12ヶ月)× 15年 +(月額支給額15万円 × 12ヶ月)× 7年 = 6,600万円
6,600万円 - 7,700万円 = -1,100万円
そのため、公的年金のみを生活費に充てると、少なからず不足が出るということになります。
ライフプランシミュレーションでは、あなたにあった今後のお金の流れを試算することができます。
公的年金は賦課(ふか)方式ですが、民間の年金保険は自分自身への積立です。
ここでは、その民間の年金保険をどのように選べば良いかを整理します。
受け取り方法は大きく4種類あり、さらにそれぞれに対して通貨を選択できます。
年金保険の加入や見直しのポイントについて整理します。
貯蓄のための年金保険は、加入や見直しのときに支払い方法を注意することで、よりお得に契約することができます。
保険全般に共通することですが、保険料は月払いで支払うよりも、年払いで支払った方が、支払い保険料が割り引かれます。
支払い保険料が割り引かれても貯まる満期保険金は変わらないため、支払いに対する返戻率は年払いの方が良くなります。
前納は、保険料を一定期間分まとめて払う方法です。
まとめて支払った分、保険料は一定の割合で割り引かれるため、年払いにしてかつ前納にすることで、より返戻率を上げることができます。
据置とは、保険料を全て納めた後に、すぐに受け取るのではなく、保険会社に預けたままにしておくことです。
預けている期間も運用は続くため、一般的にはすぐに受け取りを開始するよりも多くの給付を受けることができます。
長い期間運用するため、流動性の高い銀行預金に比べ、良い利率でお金を貯めることができます。
しかし、インフレリスク、つまり物価上昇のリスクも考えられます。
今の1円の価値と、将来の1円の価値は違うかもしれません。
特に円建ての年金保険の場合、老後の受け取りの金額は加入時に定めた金額から変わりません。
そのため物価が上がった場合、受給のタイミングで思ったよりも足りなかったということになる可能性があります。
簡単には引き出せない仕組みで老後の資金を貯蓄するため、確実に資金を老後に向けて振り分けることができます。
しかし、前述した通りにインフレリスクもあります。
特に円建ての年金保険の場合、老後の受け取りの金額は加入時に定めた金額から変わりません。
そのため物価が上がった場合、受給のタイミングで思ったよりも足りなかったということになる可能性があります。
年金保険料を支払うと、生命保険料控除の対象となります。
一般的な銀行預金などで貯めている場合は、税金の控除はありませんが、年金保険に加入することで控除を受けながらお金を貯めることができます。
しかし、保険の性質上、保険に加入してすぐにお金は貯まりませんし、早期に解約した場合、基本的に解約返戻金は元本割れする恐れがあります。
そのため、流動的に使える手元資金と、将来に向けて振り分ける資金のバランスを考慮する必要があります。